サンキューハザードは違法?何回点滅が正解?JAF調査の85.6%の意味と非常点滅表示灯の法令を条文で確認

高速道路の合流や車線変更で道を譲ってもらったときに、ハザードランプを数回点滅させてお礼を伝える「サンキューハザード」。法律で決まっているのか、何回点滅させるのが正解なのか、JAFの調査では何が分かっているのか。気になったことはありませんか。

この記事では、道路交通法施行令・道路運送車両の保安基準・細目告示(e-Gov法令検索・国土交通省)、警察庁交通局の回答を伝える報道、JAF Mate Onlineの調査記事、NEXCO中日本の呼びかけをもとに、サンキューハザードの位置づけを整理します。YouTubeのショート動画「サンキューハザードは何回点滅?」の内容を、一次情報で確認し直して詳しくまとめた記事です。

動画の訂正:ショート動画では「JAFの調査で、2〜3回が約7割」とお伝えしましたが、その数字をJAFの公開資料で確認できませんでした。JAF Mate総研の調査記事(2024年11月3日掲載)で確認できたのは「サンキューハザードをしている人の割合(85.6%)」で、点滅回数を尋ねた結果ではありません(詳しくは3章)。また、「1回だと気づかれにくい」「4回以上は停車の合図と誤解される」という説明や、由来について「手を挙げても見えないから」と説明した部分も、今回確認した資料では公的な裏づけが取れませんでした。お詫びして訂正します。

📋 この記事の要点

✔ ハザードランプの正式名称は非常点滅表示灯。点灯が義務なのは、施行令で定められた夜間・幅員5.5m以上の道路での停車・駐車(非常点滅表示灯または尾灯)と、通学通園バスの乗降時の2つ

✔ サンキューハザードは法令に定めのない使い方。警察庁交通局は「直ちに違法とは解されない」と回答(2021年の報道)。ただし他に危険を及ぼせば安全運転義務違反(道路交通法第70条)になりうる

✔ JAF Mate総研の調査記事(2024年11月3日掲載)は「サンキューハザードをしている」が85.6%(埼玉県91.3%、北海道76.7%、東北地方79.4%)。点滅回数を尋ねた結果は確認できず

✔ 点滅回数に法令の定めはない。ハザードの点滅周期は毎分60〜120回の基準があり、計算上は2〜3回で約1〜3秒。「2〜3回が目安」は報道・解説で広く言われている目安

✔ NEXCO中日本は渋滞末尾でのハザード点灯を呼びかけている。合流のお礼と紛らわしくなる場面もあるため、状況に応じた判断が必要

🎬 動画で見る(ショート)

この記事の元になった、かーぎーくんのショート動画です。動画では触れられなかった詳しい内容や条文・公式情報は、このあと記事で確認できます。

▶ YouTubeで見る(YouTube「くるまのかーぎーくん」)

1. ハザードランプ(非常点滅表示灯)の法令上の位置づけ

ハザードランプの点灯が法令で定められている場面と、定めのない使い方の整理
図:ハザードランプの点灯が法令で定められている場面(道路交通法施行令)と、法令に定めのない使い方(自作イラスト)

ハザードランプは、法令上は「非常点滅表示灯」といいます。車に備える義務は道路運送車両の保安基準に、点灯が必要な場面は道路交通法施行令に書かれています。なお、道路交通法そのものの条文には「非常点滅表示灯」という語は出てきません(第52条は灯火の点灯を政令に委ねています)。

📊 非常点滅表示灯に関する主な規定

規定 内容
保安基準 第41条の3第1項 自動車には非常点滅表示灯を備えなければならない。ただし、二輪自動車、側車付二輪自動車、カタピラ及びそりを有する軽自動車、大型特殊自動車、幅0.8m以下の自動車、最高速度40km/h未満の自動車などは除く
保安基準 第41条の3第2項 非常時等に他の交通に警告することができ、照射光線が他の交通を妨げないものとして、色や明るさ等に関する告示の基準に適合すること
細目告示 第217条(2025年6月17日版) 色・明るさ等は方向指示器の基準を準用。すべての非常点滅表示灯は同時に作動し、左右対称のものは同時に点滅する構造。手動で操作するもの(緊急制動表示灯の作動が停止した場合、衝突事故にあった場合などは自動で作動させることができる)

点灯が決められているのは2つの場面

道路交通法施行令には、非常点滅表示灯の点灯について次の2つの規定があります。

📜 道路交通法施行令 第18条第2項(条文の要約)

自動車(大型自動二輪車、普通自動二輪車及び小型特殊自動車を除く。)は、夜間、道路(歩道又は路側帯と車道の区別のある道路においては、車道)の幅員が5.5メートル以上の道路に停車し、又は駐車しているときは、車両の保安基準に関する規定により設けられる非常点滅表示灯又は尾灯をつけなければならない。ただし、駐車灯をつけているとき、後方50メートルから明りょうに見える程度に照明が行われている場所(高速自動車国道・自動車専用道路以外)に停車・駐車しているとき、停止表示器材や警告反射板を置いているときなどは、この限りでない。

📜 道路交通法施行令 第26条の3第2項

通学通園バスは、小学校等の児童、生徒又は幼児の乗降のため停車しているときは、車両の保安基準に関する規定に定める非常点滅表示灯をつけなければならない。

「義務」の読み方:JAF Mate Onlineは、この2つを「ハザードランプを点滅させることが義務付けられているのは」と紹介しています。条文を読むと、夜間の駐停車は「非常点滅表示灯又は尾灯」で、ただし書の例外もあります。ハザードでなければならないという書き方ではありません。

走行中の使い方(故障時、渋滞の最後尾、駐車場、お礼など)については、この2つ以外に、施行令や保安基準に定めは見当たりませんでした。サンキューハザードは「法令に定めのない使い方」にあたります。

2. サンキューハザードは違法なのか

法令に定めのない使い方なら、違法なのでしょうか。警察庁交通局は、弁護士ドットコムニュース(2021年1月4日掲載)の取材に対し、ハザードランプを道路交通法施行令に定められた方法以外で使用することは「直ちに違法とは解されません」と回答しています。サンキューハザードを取り締まった実例については「把握していない」とも答えています。

ただし、同じ回答の中で、「道路交通上、他に危険を及ぼすような場合には、安全運転義務違反(道交法70条)となる可能性があります」とも述べています。

📜 道路交通法 第70条(安全運転の義務)

車両等の運転者は、当該車両等のハンドル、ブレーキその他の装置を確実に操作し、かつ、道路、交通及び当該車両等の状況に応じ、他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転しなければならない。

安全運転義務違反の違反点数は、警視庁の点数表で2点です(2026年10月時点で確認)。たとえば、お礼のつもりで長くハザードを点け、後続車が停車の合図と受け取って急ブレーキを踏むような状況は、この条文が問題にする「他人に危害を及ぼさない方法」から外れるおそれがあります。ここは本記事の整理で、個別の判断は警察などにご確認ください。

JAF Mate Onlineの見方

JAF Mate Online(2024年11月3日)は、サンキューハザードを「目的外の使用」とし、周囲のドライバーに誤解を与える危険性があると述べています(同記事は編集部制作で、JAFの見解とは異なる場合があると明記されています)。読者から寄せられた声として、お礼だと思っていたが実際は停車の合図で、車間が詰まってヒヤリとした、お礼なのか止まるのか判断がつかず危ないと思った、という体験が紹介されています。一方で、譲ってもらったことを伝えるために点灯するという声も多く、受け止め方は分かれています。

JAF Mate Onlineの2022年のコラム(筆者は高齢者安全運転支援研究会の理事長)も、ハザードは緊急時や夜間の停止時に使うもので、挨拶代わりに使うべきではないとし、誤解があれば事故になりかねないと指摘しています。

3. JAF調査「約7割」の中身

JAF Mate総研の調査結果(サンキューハザードをしている人の割合)
図:JAF Mate総研「サンキューハザード」調査の実施率(JAF Mate Online 2024年11月3日の記載より。自作図)

動画で「JAFの調査で約7割」とお伝えした根拠を探したところ、JAF Mate Onlineの「みんなの本音を大調査!JAF Mate総研」(2024年11月3日)の調査記事が見つかりました。記事の内容は次のとおりです。

項目 記事に書かれていること
質問 「あなたは道を譲ってもらったときなどに点灯する、通称『サンキューハザード』をしていますか?」
対象 JAF会員
結果(全体) 「はい」と回答したJAF会員は全体の85.6%
結果(地域別) 埼玉県が91.3%で最多。関東や中部など、交通量が多く道が複雑な地域で多い。北海道76.7%、東北地方79.4%など、交通量が少ない地域では少ない傾向
調査時期・回答数 記事には記載がなく、確認できませんでした
点滅回数 尋ねた結果は記載なし

つまり、この調査が示しているのは「サンキューハザードをしている人の割合」で、「2〜3回」を選んだ人の割合ではありません。「約7割が2〜3回」という数字は、今回確認できたJAFの公開資料の中には見つかりませんでした。

一部の解説サイトには「JAFの調査でも、最も多いのは2〜3回で約7割のドライバーが採用」という記述がありますが、調査名・実施時期・回答数が書かれておらず、元の資料を確認できませんでした。また、報道では「ハザード挨拶をするドライバーは全国で7割超え」というJAFのデータ紹介(乗りものニュース、2025年4月)もあります。こちらは実施率の話です(記事に挙がっている地域で最も低い北海道でも76.7%)。確認できていない数字は、この記事では使いません。

4. 点滅は何回がよいのか

点滅回数についての法令の定めは、確認できませんでした。回数は習慣やドライバーの感覚にゆだねられています。報道や解説では「2〜3回」を目安とするものが多く、たとえばカーナリズム(レスポンス)は、決まりはないとしたうえで2〜3回が妥当としています。ただし、この目安の根拠となる公的な調査は、今回確認できていません。

くるまのニュース(2024年10月23日)が紹介した質問サイトのやり取りでも、2回で十分という声、3回という声、3回もされると事故や渋滞かと気になるという声など、意見は分かれていました。

ハザードの点滅周期は「毎分60〜120回」

ハザードランプの点滅の速さには基準があります。細目告示第217条は、非常点滅表示灯について方向指示器の取付基準(第215条第4項。一部を除く)を準用しており、その第1号は「毎分60回以上120回以下の一定の周期で点滅するもの」と定めています(盗難・車内事故などを知らせる「非常灯」など、この周期の例外が認められている場合もあります)。

毎分60回と毎分120回で2〜3回点滅する時間の比較
図:点滅周期が毎分60回の場合と毎分120回の場合の、1〜3秒間の点滅(自作の計算図。1回を点灯と消灯の1周期とした)
点滅周期 1回の長さ 2回 3回
毎分60回(最も遅い) 1.0秒 約2秒 約3秒
毎分120回(最も速い) 0.5秒 約1秒 約1.5秒

つまり、2〜3回の点滅でもおおよそ1〜3秒、後続車にハザードが見えている計算です。数字は基準の範囲から計算したもので、実際の車ごとの周期や、何回をどう数えるかによって変わります。

長く点けると、停車の合図と受け取られるおそれ

JAF Mate Onlineの2022年のコラムは、都市高速で合流したあと「少し長く」ハザードを点けた同乗体験を紹介し、後続車は急停止するのかと身構えるのではないかと書いています。2024年の調査記事でも、前述のとおり、お礼を停車の合図と誤解した体験が寄せられています。点けるなら短く、すぐ消すことが、誤解を減らすうえで大切だと考えられます(本記事の整理)。

高速道路では渋滞末尾の合図との区別が必要

NEXCO中日本は、安全走行のお願いとして「渋滞末尾で停止・減速する際はハザードランプを点灯して後続車に合図」を挙げています(同社の資料。2025年は管理する高速道路で21件の交通死亡事故が発生し、停止車両や車外の人に後続車が追突する形態が約5割を占めたとしています)。

高速道路でハザードが点灯していれば、後続車が「前方で渋滞や停止が起きている」と受け取る可能性があります(本記事の考察)。合流のお礼で点けたハザードが、渋滞末尾の合図と紛らわしくならないか。JAF Mate Onlineの調査記事には、地域によって習慣が違うために戸惑った体験談もありました(渋滞最後尾で点灯するのが主だった地域から来て、お礼のハザードに困惑した、など)。高速道路では特に、点灯の意味が正しく伝わる状況かを考えて使うことが必要です。

お礼の伝え方は、ほかにもある

JAF Mate Onlineの調査記事には、手を上げてお礼をしている、お辞儀をして感謝を伝えている、ハザードボタンを操作するほうがややこしい、というハザードを使わない人の声が紹介されています。運転中にハザードのスイッチを探すことで注意がそれるのを避けたい、という考え方です。

5. 由来と地域差

いつ、誰が始めたのかについて、公的機関の資料は確認できませんでした。報道では、くるまのニュース(2019年8月17日)は、お礼の意味でハザードを使うようになったのは1980年代に高速道路上のトラックドライバー同士が合言葉や挨拶の代わりに使ったのが始まりで、それを一般のドライバーが真似して全国に広まった、といわれていると紹介しています(長距離トラックの運転手の証言を含む記事です)。あくまで「いわれている」という説です。

動画では「車体が長いトラックは手を挙げても見えないから」と説明しましたが、今回確認した上記の記事には、その理由は書かれていませんでした。この部分は、裏づけを確認できなかったため、訂正します。

一方、地域差はJAF Mate Onlineの調査から読み取れます。実施率は埼玉県91.3%に対し、北海道76.7%、東北地方79.4%と差があり、寄せられた声には、沖縄県では5人に1人くらいしか使っていないと思う、東北地方に行ったときほとんどされたことがない、といった個人の体験が並びます(個人の感想で、統計ではありません)。

6. よくある質問

Q. サンキューハザードは違反になりますか?

A. 施行令などに定めのない使い方ですが、警察庁交通局は「直ちに違法とは解されない」と回答しています(2021年の報道)。ただし、他に危険を及ぼす場合は安全運転義務違反(第70条)になる可能性があるとも述べています。個別の判断は警察などにご確認ください。

Q. 何回点滅させるのが正解ですか?

A. 法令に回数の定めはありません。報道や解説では2〜3回を目安とするものが多いものの、その根拠となる公的な調査は確認できませんでした。ハザードの周期(毎分60〜120回)から計算すると、2〜3回で約1〜3秒です。長く点けると停車の合図と誤解されるおそれがあります。

Q. 「JAFの調査で2〜3回が約7割」は本当ですか?

A. JAF Mate総研の調査記事(2024年11月3日掲載)で確認できたのは、サンキューハザードをしている人が85.6%という実施率で、点滅回数の割合ではありません。「約7割が2〜3回」という数字は、JAFの公開資料では確認できませんでした。

Q. 高速道路でもサンキューハザードを使ってよいですか?

A. 法令上の禁止規定は確認できませんでしたが、NEXCO中日本は渋滞末尾でのハザード点灯を呼びかけています。お礼の点灯が渋滞や停止の合図と紛らわしくならないか、状況を見て判断してください。迷う場合は、ハザードを使わない選択もあります。

Q. ハザードを使わずにお礼を伝える方法はありますか?

A. JAF Mate Onlineの調査には、手を上げる、会釈・お辞儀をするという声が寄せられています。ただし、走行中の車線変更や合流では相手から見えにくいこともあります。状況に応じて、安全に操作できる方法を選んでください。

まとめ

サンキューハザードについて、確認できたことを整理します。(1)ハザードランプ(非常点滅表示灯)の点灯が義務なのは、夜間・幅員5.5m以上の道路での停車・駐車(非常点滅表示灯または尾灯)と、通学通園バスの乗降時です(道路交通法施行令第18条第2項・第26条の3第2項)。(2)サンキューハザードは法令に定めのない使い方で、警察庁交通局は直ちに違法とは解されないと回答していますが、他に危険を及ぼせば安全運転義務違反(第70条、2点)になりえます。(3)JAF Mate総研の調査は「している人」が85.6%という実施率で、点滅回数の調査ではありません。(4)回数に法令の定めはなく、2〜3回は計算上約1〜3秒です。長く点けず、高速道路では渋滞末尾の合図との区別に気をつけましょう。

動画でお伝えした「JAFの調査で2〜3回が約7割」という点は、確認できなかったため訂正します。法的な位置づけと実施率という、確認できた事実をもとに、ご自身の運転に取り入れてください。

※本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。法令・基準・点数は改正されることがあるため、最新の内容や個別の判断は、警察庁・各都道府県警察など公的機関の公式情報でご確認ください(2026年10月時点)。警察庁交通局の回答は、弁護士ドットコムニュースの2021年1月4日掲載記事の引用による二次情報で、現在の見解は公式の情報をご確認ください。調査記事の数値はJAF Mate Onlineの記載に基づきます。

参考(一次情報・公的機関・JAF・報道): e-Gov法令検索 道路交通法施行令(第18条・第26条の3)/同 道路交通法(第52条・第70条)/同 道路運送車両の保安基準(第41条の3)/国土交通省 細目告示 第217条(非常点滅表示灯)/同 第215条(方向指示器)/警視庁 違反点数/JAF Mate Online みんなの本音を大調査!「サンキューハザード」あなたはどう思いますか?(2024年11月3日)/JAF Mate Online サンキューハザードの誤解(2022年10月30日)/弁護士ドットコムニュース 運転中のサンキューハザード、本当は違法なの?警察庁に聞いてみた(2021年1月4日)/NEXCO中日本 安全走行のお願い(資料PDF)/くるまのニュース サンキューハザードはいつから(2019年8月17日)/くるまのニュース 2回と3回どっちが良い?(2024年10月23日)/乗りものニュース ハザード挨拶(2025年4月20日)/カーナリズム サンキューハザードはどんな場面で使う?(2024年1月13日)

図はすべて自作のイラストです(AI生成なし)。

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