ヨーロッパの車には標準装備されていることが多い「リアフォグランプ(後部霧灯)」。日本車ではあまり見かけません。この違いは、どこから来るのでしょうか。この記事では、日本の保安基準での位置づけ、EUの規則との違い、後付けする場合の基準、JAFなどが案内する使い方を、法令・告示・JAFの公式情報で整理しました。
📋 この記事の要点
✔ 日本の保安基準第37条の2は、自動車の後面には後部霧灯を備えることができる、と定めている(備えることを義務づけてはいない)
✔ 後部霧灯は、霧等により視界が制限されている場合に、後方の他の交通からの視認性を向上させる灯火とされている
✔ EU(国連規則第48号)では、後部霧灯の備え付けが要件とされている
✔ 基準:灯光の色は赤、数は2個以下、照明部の上縁が地上1m以下・下縁が地上0.25m以上、制動灯の照明部から100mm以上離す
1. 日本の保安基準での位置づけ
道路運送車両の保安基準第37条の2は、後部霧灯について次のように定めています。
📊 保安基準における後部霧灯(確認日: 2026年9月25日)
| 項目 | 内容 | 出典 |
|---|---|---|
| 備え付け | 自動車の後面には、後部霧灯を備えることができる | 保安基準 第37条の2第1項 |
| 趣旨 | 霧等により視界が制限されている場合に、自動車の後方にある他の交通からの視認性を向上させ、かつ、照射光線が他の交通を妨げないもの | 保安基準 第37条の2第2項 |
| 取付方法 | 性能を損なわないよう、取付位置・取付方法等に関し告示で定める基準に適合するように取り付ける | 保安基準 第37条の2第3項 |
| 詳細な基準 | 細目告示第207条(後部霧灯)に定められている | 国土交通省 細目告示 第207条 |
📌 補足
尾灯(テールランプ)は、保安基準第37条で、自動車の後面の両側に備えなければならないとされている灯火です。後部霧灯は、これとは別に「備えることができる」灯火です。備えるかどうかは任意のため、装備の有無は車種ごとに異なります。
2. 欧州との違い
国連規則第48号(灯火器の取付規則)の欧州官報掲載版には、後部霧灯について「F、F1、F2のカテゴリーの装置はMandatory(必須)」と書かれ、数は「1個または2個」とされています。日本の「備えることができる」とは、位置づけが異なります。
📊 日本とEUの規則の比較(確認日: 2026年9月25日)
| 項目 | 日本 | EU(国連規則第48号の欧州官報掲載版) |
|---|---|---|
| 備え付け | 備えることができる(第37条の2) | 必須(Mandatory) |
| 数 | 2個以下(細目告示第207条) | 1個または2個 |
| 取付位置(高さ) | 照明部の上縁が地上1m以下、下縁が地上0.25m以上 | 地上250mm以上1,000mm以下(一部の条件で1,200mmまで) |
| 1個の場合の位置 | 中心が車両中心面上またはこれより右側 | 登録国の通行方向と反対側(または車両中心面上) |
| 点灯の条件 | 前照灯または前部霧灯が点灯している場合にのみ点灯できる | 主ビーム・すれ違いビーム・前部霧灯が点灯している場合のみ点灯できる |
📌 補足
そのため、この記事では背景の推測は載せていません。
3. 後付けする場合の基準(細目告示 第207条)
標準装備されていない車に後部霧灯を後付けする場合も、次の基準を満たす必要があります(細目告示第207条)。基準に適合しない場合は、車検に通らない可能性があります。
📊 後部霧灯の主な基準(細目告示 第207条、確認日: 2026年9月25日)
| 項目 | 基準の内容 |
|---|---|
| 灯光の色 | 赤色であること |
| 明るさ・大きさ | 光源が35W以下で、照明部の大きさが140cm2以下であり、機能が正常であれば、他の交通を妨げない基準に適合するものとされる |
| 数 | 2個以下 |
| 取付位置(高さ) | 照明部の上縁の高さが地上1m以下、下縁の高さが地上0.25m以上(二輪自動車等を除く) |
| 制動灯との距離 | 後部霧灯の照明部は、制動灯の照明部から100mm以上離れていること |
| 1個の場合 | 中心が車両中心面上、またはこれより右側の位置となるように取り付ける |
| 点灯の条件 | 前照灯または前部霧灯が点灯している場合にのみ点灯できる構造。また、いずれが点灯している場合でも消灯できる構造 |
| 点灯を忘れない工夫 | 次のいずれかの要件に適合すること:(1)エンジンを停止し運転席のドアを開けたとき、点灯操作装置が点灯位置にあれば音で警報する、(2)前照灯等を消しても点灯している場合、尾灯は点灯しており、尾灯を消したあと前照灯等を点灯したときは、再度点灯操作するまで消灯している |
| 表示 | 後部霧灯の点灯操作状態を運転者に表示する装置を備える |
| 点滅・向き | 点滅するものでない。前方を照射しないように取り付ける |
| 状態 | 灯器が損傷し、またはレンズ面が著しく汚損していない。取付部に緩み・がたがない |
⚠️ 後付けは、基準を満たす製品・取付位置で
個数・高さ・制動灯からの距離・点灯操作・表示装置など、複数の基準が同時に関わります。DIYでの後付けに不安がある場合は、専門店やディーラーに、取付作業も含めて相談してください。
4. 正しい使い方:いつ点灯し、いつ消すか
保安基準の趣旨は、霧等により視界が制限されている場合に、後方の他の交通からの視認性を向上させることです。JAFの「濃霧のとき、前方のクルマや歩行者はどう見える?」のユーザーテストでは、視程30mと60mの霧で、無灯火、テールランプ点灯、リアフォグランプ点灯、ブレーキランプ点灯などの見え方を確認しています。昼間、視程30mでは、無灯火やテールランプだけでは見えづらく、リアフォグランプやブレーキランプの点灯が有効という結果でした。
📊 リアフォグランプを使う場面(確認日: 2026年9月25日)
| 場面 | 考え方 | 出典 |
|---|---|---|
| 濃い霧で、後続車から見えにくい | リアフォグランプの点灯が、後方からの視認性を高めるのに有効 | JAFユーザーテスト |
| 停止しているとき | ブレーキを踏んで、ブレーキランプを点灯させることが重要 | JAFユーザーテスト |
| 霧が晴れて視界が回復した | 視界が制限されている場合という趣旨から外れるため、消灯する | 保安基準 第37条の2の趣旨 |
| 通常の走行(晴れ・小雨など) | 後部霧灯が必要な状況ではないため、点灯しない | 保安基準 第37条の2の趣旨 |
⚠️ 注意
後部霧灯を視界が良いときに点灯していると、後続車の運転者にとってまぶしくなるおそれがあります。細目告示第207条にも、後部霧灯の直射光または反射光は、他の自動車の運転操作を妨げないものとする、という基準があります。
🧭 リアフォグランプの使い方の流れ
自分の車に、リアフォグランプがあるか確認する
取扱説明書で、スイッチの位置と、点灯表示灯(メーターなど)の場所を確認します。
前照灯またはフォグランプを点灯する
日本の基準では、前照灯または前部霧灯が点灯している場合にのみ、後部霧灯を点灯できます。
霧などで視界が制限されているとき、点灯する
点灯したら、メーターの表示灯で点灯状態を確認します。
視界が回復したら、すぐ消灯する
点灯したままにしないよう、表示灯を確認します。
停止するときは、ブレーキを踏む
JAFのテストでも、停止中はブレーキランプの点灯が重要とされています。
📝 点検・使用前のチェックリスト
☑️ 自分の車にリアフォグランプがあるか確認した
☑️ スイッチの位置と、点灯表示灯の意味を確認した
☑️ 点灯するときは、前照灯かフォグランプが点灯している
☑️ 霧などで視界が制限されている場合にのみ点灯している
☑️ 視界が回復したら消灯した
☑️ 後付けの場合は、色・数・高さ・制動灯からの距離が基準に適合しているか確認した
☑️ 車検前に、専門店で点灯状態を確認してもらった
- e-Gov法令検索 道路運送車両の保安基準(第37条の2)
- 国土交通省 細目告示 第207条(後部霧灯)
- JAF 濃霧のとき、前方のクルマや歩行者はどう見える?(JAFユーザーテスト)
- EUR-Lex Regulation No 48 of the Economic Commission for Europe(欧州官報掲載版)
5. よくある質問
まとめ
リアフォグランプは、日本の保安基準では「備えることができる」灯火で、備えることは義務づけられていません。欧州の国連規則第48号では必須とされており、位置づけが異なります。後付けする場合は、赤色・2個以下・高さ・制動灯から100mm以上離すなど、細目告示第207条の基準を満たす必要があります。使うのは霧などで視界が制限されているときだけにし、視界が回復したら消灯しましょう。
※本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。制度・料金・基準・製品仕様は変更されることがあるため、最新の内容は、公的機関・メーカー・各公式サイトでご確認ください(2026年10月時点)。
アイキャッチ画像: BMW 7 Series G70 Tail-lights by RpM Tartar, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons(タイで撮影)


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