キャッツアイ(道路鋲)の間隔は1〜5m?中央線と車線境界線の基準・光る仕組み・視線誘導標の色を解説

夜の道に、ポツポツと光る点々。通称「キャッツアイ」と呼ばれるこの部品の、法令や基準での呼び名は「道路鋲(どうろびょう)」です。YouTubeのショート動画「キャッツアイの間隔は1〜5メートル?」で紹介した内容を、警察庁の「交通規制基準」、国土交通省サイトに掲載の視線誘導標設置基準、標識令(e-Gov)、JAF、路面標示材協会、メーカーの公開資料で確認し直して、動画に入らなかった条件や例外まで詳しくまとめました。

📋 この記事の要点

✔ 夜に光る点々は、自分で光っているのではなく、ヘッドライトの光を来た方向へ返す「再帰反射」(JAF)。キャッツアイは通称で、基準での呼び名は道路鋲

✔ 警察庁「交通規制基準」では、中央線に道路鋲等を使うとき、幅は10〜15センチ、間隔は1〜5メートル。車線のあいだの線(車両通行帯境界線)では、基準の間隔は5メートル(標識令の規定欄は1〜5メートル)

✔ この間隔は、公安委員会(警察)が道路標識等を設置・管理するときの一般的な基準。道路鋲すべての決まりではない

✔ 道路鋲の反射は、メーカー資料によるとプリズム式とガラス式がある。LEDで光る自発光式もあり、中央線変移では黄色の灯火の自発光式道路鋲を使うと基準に書かれている

✔ 光を返す仕掛けは道路鋲だけではない。視線誘導標(左側は白、中央分離帯と右側は橙)と、路面標示用塗料のガラスビーズ(雨用の全天候型もある)

🎬 動画で見る(ショート)

この記事の元になった、かーぎーくんのショート動画です。動画では触れられなかった詳しい内容や条文・公式情報は、このあと記事で確認できます。

▶ YouTubeで見る(YouTube「くるまのかーぎーくん」)

動画との関係(補足):動画で紹介した3つの内容は、いずれも一次情報で確認できました。補足が2点あります。(1)「1〜5メートル」は警察庁「交通規制基準」の中央線の項の数字で、車線のあいだの線に道路鋲等を使う場合は表の基準が5メートルです。(2)この基準は都道府県公安委員会が道路標識等を設置・管理するときの基準で、道路を管理する国や自治体などが設ける区画線の基準は、今回確認できませんでした。

1. 光って見える仕組み:再帰反射と道路鋲

夜の道で光る点々は、自分で光を出しているわけではありません。JAFの解説によると、光の跳ね返し方には「乱反射」「鏡面反射」「再帰性反射」の3種類があり、反射材を使った道路標識などは、ヘッドライトの光を光源の方向へ戻す再帰性反射をするため、運転する人から明るく光って見えます。

乱反射・鏡面反射・再帰反射の違い
図:光の返し方の3種類。再帰反射は、光が来た方向(光源)へ戻る(自作の模式図。JAFの解説にもとづく)

通常の反射では、入ってきた光は元の方向に戻りません。そこで光の屈折を利用します。JAFによると、現在の反射材には、ガラスビーズで光を屈折させる方法とプリズムで光を屈折させる方法の2種類があります。ガラスビーズのタイプについてJAFは、夜に車で走っていて猫の目が光って見える現象と同じ仕組みを利用していると説明しています。

左側通行の道路で、ヘッドライトの光が道路鋲から車へ返るイメージ
図:右(→)へ進む車のヘッドライトを、中央線の道路鋲が来た方向へ返すイメージ。日本の左側通行(自作の模式図)

道路鋲の反射体は何でできている?

国内メーカーの公開資料では、道路鋲の反射体にも2つの方式が見られます。積水樹脂の縁石鋲「ナイトリバーEX」はプリズムレンズの再帰反射式で、遠方(観測角0.2〜0.5度)からの視認性をうたっています。同社の「ED-2」「スマートマーカー」は、スワロフスキー社製の特殊ガラスの反射体(スワレフレックス)を使っています。

汚れについては、東邦ステンレス工業のカタログが、同社のアクリルレンズ埋込タイプの道路鋲について、反射面を路面に対して約30度の角度で設置するため、車両の通行と雨でレンズ面の汚れが落ちると説明しています(メーカーの説明です)。国土交通省サイトの視線誘導標設置基準にも、反射面の汚れは視線誘導効果を下げるので清掃する、と書かれています。

「キャッツアイ」という名前

「キャッツアイ」は通称で、標識令(道路標識、区画線及び道路標示に関する命令)や警察庁の基準では「道路鋲」と書かれます。英国のカルダーデール博物館の解説によると、英国のパーシー・ショーが1934年に「Catseyes」を特許取得し、1935年に会社を設立しました。ゴム製のクッションが雨水をため、車のタイヤが乗るとまぶたのように閉じて、ガラスの反射体をきれいに保つ仕組みだったと紹介されています(名前の由来の逸話は資料によって異なります)。

2. 道路鋲の種類:反射式と自発光式

標識令は、区画線(車道中央線・車線境界線・車道外側線など)や道路標示(中央線・車線境界線など)について、「道路鋲による場合」の様式を別に定めています。道路鋲そのものの種類は、メーカーの公開資料から整理すると次のとおりです(いずれも各社の説明で、公的な保証ではありません)。

📊 メーカー資料で見られる道路鋲の種類

種類 光り方 メーカー資料の例(縁石鋲を含む)
反射式(プリズム) プリズムレンズでヘッドライトの光を返す 積水樹脂の縁石鋲「ナイトリバーEX」。日本道路協会「反射式道路鋲設置基準・同解説(案)」(昭和56年3月)の反射性能の基準(案)と比較している
反射式(ガラス) 特殊ガラスの反射体で光を返す 積水樹脂の縁石鋲「ED-2」、道路鋲(小型設計)「スマートマーカー」(外形直径115mm・高さ15mmの小型タイプ)
自発光式 LEDを内蔵し、太陽電池で夜間に点灯・点滅する 東邦ステンレス工業の「センター鋲」(中央線・はみ出し禁止線用、設置高7mm)など
車線分離鋲 進行方向に対して45度の角度で設置し、乗り上げたときの復元を狙う 東邦ステンレス工業のカタログ(車両逸脱防止をうたう製品)

自発光式の道路鋲は、警察庁の基準にも出てきます。中央線変移(時間帯によって中央線の位置を動かす仕組み)では、道路の中央に指定する部分にあらかじめ幅15センチの実線の「中央線」を設け、その実線にあらかじめ敷設した黄色の灯火の自発光式道路鋲を、指定する日や時間ごとに点灯させると定められています(冊子89ページ)。点灯している方の実線が、そのときの中央線です。標識令の別表第六の備考にも、「黄色の灯火のついている道路鋲」による様式への言及があります。中央線変移の詳しい扱いは、黄色い線の記事で解説しています。

3. 「間隔1〜5メートル」の条件

動画で紹介した「中央線に道路鋲を使うとき、間隔は1〜5メートル」は、警察庁の「交通規制基準」(2026年3月16日付のPDF)の第10 中央線に書かれています。

📜 警察庁「交通規制基準」第10 中央線(冊子86〜87ページ。要約)

道路標示の材料は、中央線を破線とする場合は原則としてペイント等を用い、特に必要がある場合はペイント等に代えて道路鋲、石等を用いる。実線とする場合はペイント等を用いるが、道路鋲を併用することができる。この場合における道路鋲等の幅は10〜15センチメートルとし、間隔は1〜5メートルとする。

道路鋲の間隔の基準(中央線と車両通行帯境界線)
図:中央線は道路鋲等の間隔が1〜5メートル。車両通行帯境界線は基準が5メートル(自作の図。出典は警察庁「交通規制基準」)

📊 警察庁「交通規制基準」の間隔(道路鋲等を使う場合)

場所 道路鋲等の間隔 ペイントの場合(参考)
中央線 1〜5メートル(幅10〜15センチ) 破線の長さ・間隔は原則各5メートル(第10)
車両通行帯境界線(車線のあいだの線) 標識令の規定欄:1〜5メートル
基準:5メートル(市街地、非市街地及び自動車専用道路、高速自動車国道及びこれに準ずる高規格の道路のいずれも)
破線の長さ・間隔は、市街地および非市街地・自動車専用道路が6メートル・9メートル、高規格の道路が8メートル・12メートル(第15)

注意したい点が3つあります。

(1)車線のあいだの線は、基準が5メートルです。動画の「1〜5メートル」は中央線の数字なので、すべての道路鋲に当てはめないようにしましょう。

(2)通達の基準です。交通規制基準は、都道府県公安委員会などが標識令等に基づいて道路標識等を設置・管理するときの一般的な基準(第1章)で、法律の条文ではありません。なお、道路管理者が設置した区画線「車道中央線」は、道路標示「中央線」とみなされると書かれています(冊子86ページ)。道路管理者が設ける区画線に道路鋲を使うときの間隔の基準は、今回確認できませんでした。

(3)使う場所は限られます。中央線の破線に道路鋲を使うのは「特に必要がある場合」とされています。また、追越しのための右側部分はみ出し通行禁止の規制では、特に危険性の高い区間について、道路鋲等の設置、道路標示のワイド化、高輝度の道路標示の設置を考慮する、と書かれています(冊子91ページ)。

参考(英国との比較):左側通行の英国の運輸省「Traffic Signs Manual」第5章(2018年)では、中央線に鋲を使うときの間隔は道路の幅や制限速度によって6・9・12・18メートルなどと決められ(表2-1)、二重白線のあいだの鋲は3〜4.5メートルとされています。中央分離帯のある道路などの鋲と単路の端線の鋲は標準18メートルで、曲線半径450メートル未満の曲がりや霧の出やすい道路などでは9メートルに縮めます。国によって考え方が違うので、日本の基準とは別のものとして見てください。

4. 視線誘導標と白線のガラスビーズ

道路鋲・視線誘導標・白線のガラスビーズの3つ
図:夜の道で光を返す3つの仕掛け(自作の模式図。実際の形や色味は道路によって異なります)

視線誘導標:左側は白、中央分離帯と右側は橙

道ばたに立つ丸い反射板は「視線誘導標」です。国土交通省サイトに掲載されている昭和59年(1984年)の通達「視線誘導標設置基準」は、視線誘導標を「車道の側方に沿って道路線形等を明示し、運転者の視線誘導を行う施設」と定義しています。反射体は、自動車の前照灯の光を再帰反射する部分です。

📊 視線誘導標設置基準(昭和59年通達)のおもな内容

項目 一般国道等 高速自動車国道等
反射体の色(左側路側) 白色(単眼、直径70〜100mm) 本線の左側路側は白色(直径100mm)
反射体の色(中央分離帯・右側路側) 橙色(単眼、直径70〜100mm) 中央分離帯・本線の右側路側・ランプ・変速車線は橙色(変速車線は縦に並べた複眼)
設置場所 左側路側が原則。必要に応じて中央分離帯・右側路側にも 原則として全線連続(道路照明があれば省略可)
設置間隔 線形等を勘案して定める。最大40メートル 線形等を勘案して定める。最大50メートル
反射体の高さ 路面上50〜100センチの範囲 路面から反射体の中心まで、本線左側路側は120センチ、その他は90センチを標準

動画で「左側は白、中央分離帯と右側は橙」と紹介した内容は、この基準の表のとおりです。なお、この基準は昭和59年のもので、国土交通省の審議会資料(2019年10月)には、以後35年間改訂されていないと書かれています。その後の改正は確認できませんでした。反射体の性能は、基準ではJIS D 5500の反射性試験装置で試験するとされています。

白線のガラスビーズ

警察庁の基準は、道路標示について原則として反射材料を用いると定めています(冊子18・45ページ)。特に視認性を高める必要がある「追越しのための右側部分はみ出し通行禁止」「横断歩道」「自転車横断帯」などは、夜間・雨天時の反射輝度や視認性に優れた高輝度の道路標示を設置するとされています。標識令にも、区画線・道路標示には必要に応じて反射材料を用いる、と書かれています。

路面標示材協会によると、区画線や道路標示用の塗料の種類はJIS K 5665で定義されています。このうち3種(溶融して施工する粉体塗料)は塗料中にガラスビーズを含み、夜間の反射材にはJIS R 3301規格のビーズが使われます。

📊 JIS K 5665の3種(ガラスビーズを含む粉体塗料)

種類 ガラスビーズの含有量(質量分率)
3種 1号 15〜18%
3種 2号 20〜23%
3種 3号 25%以上

雨の日の工夫もあります。同協会は、屈折率の異なるガラスビーズを混ぜて散布・固着させた「全天候型」の塗料は、晴天時も雨天時も良好な視認性を与えると説明しています。また、塗膜上の突起(リブ)を水膜から露出させて、雨天時にもガラスビーズの再帰反射を確保する「リブ式」の高視認性標示塗料もあります。

5. 色の意味:確認できたこと・できなかったこと

📊 一次情報で確認できた色

対象 色 根拠
視線誘導標(一般国道等) 左側路側=白、中央分離帯・右側路側=橙 国土交通省サイト掲載の視線誘導標設置基準(昭和59年)
視線誘導標(高速自動車国道等) 本線左側=白、中央分離帯・本線右側・ランプ・変速車線=橙 同上
中央線変移の道路鋲 黄色の灯火(自発光式) 警察庁「交通規制基準」冊子89ページ。標識令別表第六の備考にも言及
追越しのための右側部分はみ出し通行禁止の標示(道路標示) 黄(基準色はマンセル参考値5.5YR6.5/12) 警察庁「交通規制基準」冊子45ページ

確認できなかったこと:日本の道路鋲について、赤・青・緑など色ごとの意味を定めた公的な資料は、今回確認できませんでした。標識令には「道路鋲による場合」の様式が図で示されていますが、色は図の中にあり、文字データからは読み取れませんでした。メーカー資料では、積水樹脂が、本体と反射体の色を視線誘導標設置基準に合わせた二色仕様や、薄暮・雨天・曇天で目立つ蛍光黄緑色のタイプを紹介しています。

英国の場合(参考):英国運輸省のTraffic Signs Manual第5章(2018年)では、鋲の反射体の色は白(車線・中央線)、赤(越えるべきでない線。主に左端)、橙(越えるべきでない線。右端や中央分離帯側)、緑(越えてよい区間。駐車帯や加減速車線の境界など)と定められています。日本と同じ左側通行でも、色の決め方は違います。

6. よくある質問

Q. キャッツアイと道路鋲は同じものですか?

A. 同じものを指すのが一般的です。「キャッツアイ」は通称で、標識令や警察庁の基準では「道路鋲」と書かれます。英国で1934年に特許が取られた鋲の名前に由来します(カルダーデール博物館の解説)。

Q. 道路鋲の間隔は、どこでも1〜5メートルですか?

A. いいえ。警察庁の交通規制基準で、中央線に道路鋲等を使うときが1〜5メートルです。車線のあいだの線(車両通行帯境界線)では基準が5メートルで、標識令の規定欄が1〜5メートルです。道路管理者が設ける区画線の基準は確認できませんでした。

Q. 汚れると光らなくなりませんか?

A. 国土交通省サイトの視線誘導標設置基準は、反射面の汚れは視線誘導効果を下げるので清掃する、としています。道路鋲については、東邦ステンレス工業のカタログが、同社のアクリルレンズ埋込タイプの道路鋲について、約30度の角度で設置するため車の通行や雨で汚れが落ちると説明しています(メーカーの説明です)。英国の道路鋲では、車が押し下げて反射体を拭う方式も紹介されています。

Q. 自分で光る道路鋲もありますか?

A. あります。LEDを内蔵し、太陽電池で夜間に点灯する自発光式がメーカーから出ています。警察庁の基準では、中央線変移で、黄色の灯火の自発光式道路鋲を指定した時間ごとに点灯させるとされています。

Q. 雨の夜に白線が見えにくいときの工夫はありますか?

A. 路面標示材協会によると、屈折率の異なるガラスビーズを混ぜた全天候型の塗料や、突起(リブ)を水膜から露出させるリブ式の高視認性標示塗料があります。なお、雨の夜は反射だけに頼らず、速度を落として走ることが基本です。

まとめ

夜の道で光る点々の正体は、ヘッドライトの光を来た方向へ返す再帰反射です。キャッツアイは通称で、基準での名前は道路鋲。警察庁の交通規制基準では、中央線に道路鋲等を使うとき、幅10〜15センチ・間隔1〜5メートルとされ、車線のあいだの線では基準が5メートルです。光を返す仕掛けは、ほかに視線誘導標(左側は白、中央分離帯と右側は橙)と、白線のガラスビーズ(雨用の全天候型もあり)があります。

道路鋲の色ごとの意味など、確認できなかったこともあります。道路の形や標示は、場所や管理者によって異なります。夜は早めにライトをつけて、標示や反射板をよく見ながら走りましょう。

※本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。基準や製品は改訂・変更されることがあります。メーカーの製品に関する記述は各社の公開資料の説明で、公的な保証ではありません。最新の内容や個別の判断は、警察庁・国土交通省・各都道府県警察・道路管理者などの公式情報でご確認ください(確認日:2026年10月)。

参考(一次情報・公的機関・JAF・業界団体・メーカー): 警察庁「交通規制基準」(2026年3月16日付)/国土交通省サイト掲載「視線誘導標設置基準」(昭和59年4月16日通知)/国土交通省 審議会資料「視線誘導標設置基準改正について」/e-Gov法令検索 道路標識、区画線及び道路標示に関する命令/JAF Safety Light「闇夜に光って目立たせる反射材の秘密に迫る!」/路面標示材協会「路面標示材の基礎知識」/積水樹脂 道路鋲(ナイトリバーEX・ED-2・スマートマーカー)/東邦ステンレス工業 総合カタログ/英国運輸省 Traffic Signs Manual Chapter 5 Road Markings/カルダーデール博物館 パーシー・ショー

図はすべて自作のイラストです(AI生成なし)。実際の形・色味は道路によって異なります。

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