燃費を良くする運転として知られるエコドライブは、警察庁・経済産業省・国土交通省・環境省で構成される「エコドライブ普及連絡会」が、「エコドライブ10のすすめ」として項目と効果の目安をまとめています。この記事では、同連絡会の「エコドライブ10のすすめ」(2020年1月の改訂版)と、国土交通省の燃費表示に関する発表で確認できた内容から、まず自分の燃費を知る方法、10項目の内容と数値の目安、場面ごとの実践、安全面の注意を整理しました。数値は、資料に記載された条件つきの目安です。
📋 この記事の要点
✔ 「エコドライブ10のすすめ」は、平成15年に策定され、平成18年・平成24年・令和2年に見直された(令和2年1月27日、環境省の発表)
✔ やさしい発進(最初の5秒で時速20km程度が目安)で、10%程度燃費が改善。車間距離が短いと、市街地で2%程度、郊外で6%程度燃費が悪化
✔ 早めにアクセルを離すと2%程度改善。車内の温度設定が外気と同じ25℃でも、エアコンのスイッチをONにしたままだと12%程度悪化
✔ 10分間のアイドリング(エアコンOFF)で130cc程度の燃料を消費。現在の乗用車では基本的に暖機運転は不要
✔ タイヤの空気圧が適正値より50kPa不足すると、市街地で2%程度、郊外で4%程度悪化。100kgの荷物で3%程度悪化
✔ カタログ燃費より実際の燃費が最大4割下回るとの指摘があり、走行環境や運転方法の違いが原因とされる(国土交通省、平成29年)
1. まず、自分の燃費を知る
エコドライブ10のすすめの第1項目は「自分の燃費を把握しよう」です。令和2年の見直しでは、エコドライブに取り組む、または続けるきっかけとして「燃費を把握する」ことが重要と考え、10項目の並びも、この項目を先頭に移しています(環境省の発表)。燃費の把握方法は、次の3つが紹介されています。
📊 燃費を把握する方法(環境省「エコドライブ10のすすめ」の改訂について、2020年1月27日)
| 方法 | 内容(環境省の発表) | ひとこと |
|---|---|---|
| 満タン法 | ガソリンスタンドで満タンにした状態から、次に満タンにするまでの走行距離と、消費した燃料(給油量)で計算する方法 | 走行距離÷給油量で、1リットルあたりの走行距離を求める |
| 燃費計 | エンジンコンピューターの燃料噴射量と走行距離から算出した燃費を、車内のディスプレイに表示する計測器。瞬間燃費が表示されるものもある | 車に装備されていれば、手軽に確認できる |
| 燃料管理アプリ | 満タン法や燃費計に加えて、活用が知られている。ガソリン量、給油日、オドメーター距離などを入力するだけで燃費が分かる | 記録が自動で残る |
🧭 満タン法での燃費の計算手順
満タンまで給油し、走行距離(トリップメーターなど)を記録する
ガソリンスタンドで、給油機が自動で止まるまで給油します。
普段どおりに走行する
次に給油するまでの走行距離を記録します。
もう一度、満タンまで給油し、給油量を確認する
前回と同じ方法で満タンにし、給油量を記録します。
走行距離÷給油量で、燃費を計算する
例(説明用の仮の数値):走行距離300km、給油量20リットルなら、300÷20=15km/リットルです。
📊 カタログ等に表示される、走行環境ごとの燃費(国土交通省、平成29年7月4日)
| WLTCモードの区分 | 想定される走行(国土交通省の発表) |
|---|---|
| 市街地モード | 信号や渋滞等の影響を受ける、比較的低速な走行 |
| 郊外モード | 信号や渋滞等の影響をあまり受けない走行 |
| 高速道路モード | 高速道路等での走行 |
📌 補足
国土交通省は、カタログ等に表示される燃費に比べ、実際の燃費が最大4割下回るとの指摘があり、その乖離は、走行環境や運転方法の違い等により生じていると説明しています。そこで、WLTCモード燃費に加え、「市街地」「郊外」「高速道路」の走行環境ごとの燃費を、カタログ等に表示することを義務づけました。カタログ燃費と実際の燃費が異なるのは、異常ではありません。自分の燃費を記録して、比べる基準にしましょう。
2. エコドライブ10のすすめと、効果の目安
「エコドライブ10のすすめ」(令和2年の改訂版)の10項目と、資料に記載された数値の目安を表にまとめます。数値は、資料に示された条件の下での目安で、すべての車・道路・走り方に当てはまるとは限りません。
📊 エコドライブ10のすすめ(エコドライブ普及連絡会、2020年1月改訂版、2026年9月25日確認)
| 番号 | 項目 | 内容と数値の目安(資料の記載) |
|---|---|---|
| 1 | 自分の燃費を把握しよう | 燃費計、エコドライブナビゲーション、インターネットでの燃費管理などを使うと便利。日々の燃費が分かると、エコドライブの効果を実感できる |
| 2 | ふんわりアクセル「eスタート」 | 穏やかにアクセルを踏んで発進する(最初の5秒で時速20km程度が目安)。やさしい発進を心がけるだけで、10%程度燃費が改善。安全運転にもつながる |
| 3 | 車間距離にゆとりをもって、加速・減速の少ない運転 | 一定の速度で走る。車間距離が短くなると、ムダな加速・減速が増え、市街地で2%程度、郊外で6%程度、燃費が悪化 |
| 4 | 減速時は早めにアクセルを離そう | 停止することが分かったら、早めにアクセルから足を離す。エンジンブレーキが作動し、2%程度燃費が改善。減速時や坂道の下りでも活用 |
| 5 | エアコンの使用は適切に | 暖房のみ必要なときは、エアコンスイッチをOFFに。冷房が必要なときも、冷やしすぎない。車内の温度設定が外気と同じ25℃でも、スイッチをONにしたままだと12%程度悪化 |
| 6 | ムダなアイドリングはやめよう | 待ち合わせや荷物の積み下ろしなどの駐停車では、アイドリングをやめる。10分間(エアコンOFF)で130cc程度の燃料を消費。現在の乗用車では基本的に暖機運転は不要で、エンジンをかけたらすぐに出発 |
| 7 | 渋滞を避け、余裕をもって出発しよう | 出かける前に、道路交通情報や地図・カーナビでルートを確認。1時間のドライブで道に迷い、10分間余計に走行すると、17%程度、燃料消費量が増加 |
| 8 | タイヤの空気圧から始める点検・整備 | 空気圧チェックを習慣に。適正値より50kPa(0.5kg/cm2)不足すると、市街地で2%程度、郊外で4%程度悪化。空気圧は1ヶ月で5%程度低下する。エンジンオイル・オイルフィルタ・エアクリーナエレメントなどの定期的な交換でも燃費が改善 |
| 9 | 不要な荷物はおろそう | 100kgの荷物を載せて走ると、3%程度悪化。スキーキャリアなどの外装品は、空気抵抗の面から、使用しないときは外す |
| 10 | 走行の妨げとなる駐車はやめよう | 迷惑駐車は渋滞をもたらし、他の車の燃費を悪化させ、交通事故の原因にもなる |
📌 補足
資料は、項目ごとに個別の数値の目安を示しており、すべてを組み合わせたときの合計の効果(何%改善するか)は示していません。数値を足し合わせて「合計で何%改善する」と考えることはできないため、まず自分の車で燃費を記録し、変化を確かめましょう。ハイブリッド車・電気自動車のエコドライブのコツは、環境省の発表にある「リーフレット」(別添2)に記載されています。
3. 場面別の実践と、確認したいこと
🧭 場面ごとの実践の流れ(エコドライブ10のすすめ)
出発前:ルートと荷物を確認する
道路交通情報や地図・カーナビで、行き先とルートを確認します。不要な荷物や、使わない外装品(スキーキャリアなど)は下ろします。タイヤの空気圧もチェックします。
発進:ふんわりアクセルで
最初の5秒で時速20km程度を目安に、穏やかに発進します。
走行:一定の速度を心がける
車間距離にゆとりをもち、加速・減速の少ない運転をします。
減速:早めにアクセルから足を離す
信号や停止が分かったら、早めにアクセルを離し、エンジンブレーキを使います。
停車:ムダなアイドリングをしない
待ち合わせや荷物の積み下ろしなどで駐停車するときは、アイドリングをやめます。
駐車:交通の妨げにならない場所に
交差点付近などの、渋滞や事故の原因になる場所には停めません。
📊 場面ごとのチェック
| 場面 | やること | 対応する項目 |
|---|---|---|
| 出発前 | ルート確認、不要な荷物の取り出し、空気圧の点検、燃費の記録 | 第1・7・8・9項目 |
| 発進 | 穏やかにアクセルを踏む(最初の5秒で時速20km程度) | 第2項目 |
| 走行中 | 一定速度、車間距離にゆとり。エアコンは必要なときだけ、冷やしすぎない | 第3・5項目 |
| 減速・停止 | 早めにアクセルを離す。停車中のアイドリングをやめる | 第4・6項目 |
| 駐車 | 走行の妨げにならない場所に停める | 第10項目 |
⚠️ 手動のアイドリングストップは、安全面に注意
エコドライブ10のすすめは、交差点で自分でエンジンを止める手動のアイドリングストップについて、次の理由から注意を促しています(自動アイドリングストップ機能搭載車は問題ないとされています)。・何度かブレーキを踏むと、ブレーキの効きが悪くなる。・慣れないと誤動作や発進遅れが生じる。バッテリーなどの部品寿命の低下により、エンジンが再始動しない場合がある。・エアバッグなどの安全装置や方向指示器が作動しないため、先頭車両付近や坂道では避ける。
💡 ポイント
エコドライブ10のすすめは、エコドライブは「交通事故の削減につながる」とも述べています。燃料消費量が少ない運転は、同乗者が安心できる安全な運転でもあります。時間にゆとりをもって走ることも、大切な心がけとされています。
4. 資料では確認できなかった「よく聞く話」
燃費の話題では、よく聞くけれど、公的な資料では数値や根拠を確認できなかった情報もあります。断定せずに、確認できたことと分けて整理します。
📊 公的資料で数値を確認できなかった話(2026年9月25日確認)
| よく聞く話 | 確認できたこと | 確認できなかったこと |
|---|---|---|
| 窓を開けるとエアコンより燃費が良い(低速時)など、窓の開閉と燃費 | エアコンについては、暖房のみのときはスイッチをOFFに、冷房も冷やしすぎない、と案内 | 窓の開閉と燃費の関係を示す数値は、エコドライブ10のすすめには記載がなかった |
| 高速道路で速度を落とすと燃費が大きく改善する | 一定の速度で走る、加速・減速の少ない運転を心がける、と案内 | 「時速100kmから80kmに落とすと何%改善」といった数値は、確認できなかった |
| 定期点検で燃費が平均何%向上する | エンジンオイル・オイルフィルタ・エアクリーナエレメントの定期的な交換で燃費が改善、と記載 | 点検による改善率の数値は、確認できなかった |
| 気温が低いとき・高いときの燃費 | 暖機運転は、-20℃程度の極寒冷地など特別な状況を除き不要 | 季節ごとの燃費の変化を示す数値は、確認できなかった |
📝 燃費を記録するときのチェックリスト
☑️ 満タン法(給油量と走行距離)、または燃費計で、燃費を記録している
☑️ タイヤの空気圧を、定期的に点検している(適正値は車種ごとに、取扱説明書などで確認)
☑️ 使わない荷物や外装品を、車から下ろしている
☑️ エアコンは、必要なときだけ、冷やしすぎない設定で使っている
☑️ 停車中は、ムダなアイドリングをしていない
☑️ 出発前に、ルートと渋滞情報を確認している
☑️ ブレーキ、方向指示器、エアバッグに関わる手動のアイドリングストップは、安全面の注意を理解している
- 環境省「エコドライブ10のすすめ」
- 環境省「『エコドライブ10のすすめ』の改訂について」(2020年1月27日)
- 国土交通省「乗用車等の燃費表示に走行環境毎の燃費表示が加わります!」(平成29年7月4日)
- エコドライブ普及推進協議会「エコドライブ10のすすめ」
5. よくある質問
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まとめ
燃費を良くするには、まず自分の燃費を満タン法や燃費計で把握し、エコドライブ10のすすめの項目を、場面ごとに実践することが基本です。やさしい発進で10%程度、早めのアクセルオフで2%程度、不要な荷物(100kg)で3%程度など、項目ごとの条件つきの目安が示されています。現在の乗用車では、基本的に暖機運転は不要で、10分間のアイドリングで130cc程度の燃料を使います。数値は目安のため、自分の車で記録しながら、安全な運転の範囲で取り組みましょう。
※本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。制度・料金・基準・製品仕様は変更されることがあるため、最新の内容は、公的機関・メーカー・各公式サイトでご確認ください(2026年10月時点)。
アイキャッチ画像: Gas Pump Handle – Fueling Station by Tony Webster, CC BY-SA 2.0, via Wikimedia Commons


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