緊急自動車に交差点の中で止まって譲るのは許される?第40条の動き方と反則金6,000円・1点を確認

サイレンを鳴らした救急車やパトカーが後ろから近づいてくる。そのとき自分が交差点の中にいたら、その場で止まって譲ってよいのか、それとも別の動きが必要なのか。迷った経験のある方は多いのではないでしょうか。

この記事では、道路交通法第39条・第40条・第41条、同施行令第13条・第14条(e-Gov法令検索)、警察庁の「交通の方法に関する教則」、消防庁の案内、JAF Mate Online(弁護士監修)をもとに、緊急自動車が近づいたときの譲り方を整理します。YouTubeで反応のよかったショート動画の内容を、条文と数字つきで詳しくまとめた記事です。

📋 この記事の要点

✔ 交差点またはその付近で緊急自動車が近づいたら、交差点を避け、道路の左側に寄って一時停止する(第40条第1項)。JAF Mate(弁護士監修)は、交差点内で一時停止して譲ることは「道交法上許されない一時停止」と解説

✔ 交差点付近以外では、道路の左側に寄って進路を譲る(第40条第2項)。一方通行で左に寄ると妨げになるときは右側。条文には「附近」の距離の数字は書かれていない

✔ 緊急自動車は、法令で停止が必要な場面でも停止を要しない(他の交通に注意して徐行。第39条第2項)。一般道の最高速度は80km/h(施行令第12条第3項)

✔ 緊急自動車は救急車・消防車・パトカーだけでなく、電気・ガスの応急作業車、輸血用血液製剤の応急運搬車、道路管理者の応急作業車なども施行令第13条に定められている

✔ 譲らないと「緊急車妨害等」。普通車は1点・反則金6,000円(施行令別表第六・警視庁の点数表)

🎬 動画で見る(ショート)

この記事の元になった、かーぎーくんのショート動画です。動画では触れられなかった詳しい内容や条文・公式情報は、このあと記事で確認できます。

▶ YouTubeで見る(YouTube「くるまのかーぎーくん」)

第40条の中身:交差点では「避けて・左に寄って・一時停止」

緊急自動車が近づいたときの一般の車の義務は、道路交通法第40条に書かれています。場所が「交差点またはその附近」かどうかで、求められる動きが2通りに分かれます。

📜 道路交通法 第40条(条文の引用)

第1項 交差点又はその附近において、緊急自動車が接近してきたときは、路面電車は交差点を避けて、車両(緊急自動車を除く。以下この条において同じ。)は交差点を避け、かつ、道路の左側(一方通行となつている道路においてその左側に寄ることが緊急自動車の通行を妨げることとなる場合にあつては、道路の右側。次項において同じ。)に寄つて一時停止しなければならない。
第2項 前項以外の場所において、緊急自動車が接近してきたときは、車両は、道路の左側に寄つて、これに進路を譲らなければならない。

道路交通法第40条の場面分け(交差点付近か、それ以外か)
図:第40条の場面分け。交差点またはその附近では「一時停止」、それ以外では「進路を譲る」(自作の図)

📊 場所ごとの動き方(道路交通法第40条)

場所 求められる動き 条文
交差点またはその附近 交差点を避け、道路の左側に寄って一時停止する 第40条第1項
それ以外の場所 道路の左側に寄って進路を譲る(条文に「一時停止」とは書かれていない) 第40条第2項
一方通行で、左に寄ると緊急自動車の妨げになるとき 「道路の左側」は「道路の右側」になる(第1項のかっこ書。第2項も同じ) 第40条第1項かっこ書

警察庁の「交通の方法に関する教則」(第5章第2節5「緊急自動車の優先」。2026年4月1日施行の改正を含む最新版は警察庁サイトでご確認ください)も、同じ内容を示しています。消防庁の2024年12月号の案内も、第40条の内容を「交差点又はその付近の場合」「それ以外の場合」に分けて紹介しています。

「附近」は何メートル? 第40条には「附近」の距離を示す数字は書かれていません。今回確認した条文・教則・消防庁の案内・JAFの解説からは、距離の目安を示すものは確認できませんでした。

JAFが交差点内の一時停止を「許されない」とする理由

JAF Mate Online(2022年11月10日、弁護士の松居英二氏監修)は、「片側1車線の混んだ道路で、後ろから救急車が迫り、たまたまスペースがあった交差点で左に寄せて一時停止した」という場面を取り上げ、次のように解説しています。

JAF Mateの解説の要点 内容
規制の理由 交差点を通過する緊急車両と他の車両との事故を防ぐため、一時的にその交差点を空白状態にしておくことが望ましいことによる規制
交差点の先が渋滞しているとき 交差点内で一時停止して道を譲ると、交差道路から進行してくる車両と緊急車両との事故を発生させる危険があるので、道交法上許されない一時停止(第40条)
手前で左に寄れないとき 交差点の外に出てから道路の左側に寄って一時停止する
交差点の中で止まって譲る場合と、交差点を避けて左に寄る場合の違い
図:交差点の中で止まる(左)と、交差点を避けて手前で左に寄る(右)の違い(自作イラスト。根拠は第40条第1項とJAF Mateの解説)

消防庁の案内(2018年12月号)にも、図のなかに「交差点内で停車しないでください」という注意書きがあります。

緊急自動車には、交差点で止まらなくてよい特例がある

交差点が「空けておく場所」になる背景には、緊急自動車に認められた特例があります。

特例 内容 条文
道路の右側にはみ出して通行 追越しのためなど、やむを得ない必要があるときは、道路の右側部分に全部または一部をはみ出して通行できる 第39条第1項
停止の義務が免除される 法令の規定により停止しなければならない場合でも、停止を要しない。この場合は他の交通に注意して徐行しなければならない 第39条第2項
最高速度 一般道路では80km/h(高速自動車国道の本線車道等では100km/h) 施行令第12条第3項・第27条第2項

消防庁は、これらの特例のなかに「赤信号の交差点に進入できること」を挙げたうえで、緊急自動車がより安全に通行するためには一般車両の協力が必要不可欠だとしています。

参考:救急車の出動の規模(消防庁)

令和7年版消防白書によると、令和6年(2024年)中の救急自動車の出動件数は771万8,380件、119番通報を受けてから現場に到着するまでの平均は約9.8分(前年は約10.0分)でした。なお、道を譲ることと到着時間の関係を直接示すデータは、今回の確認では見つかりませんでした。

もう一つの条文:交差点の中で立ち往生しない(第50条)

📜 道路交通法 第50条第1項(条文の要約)

交通整理の行なわれている交差点に入ろうとする車両等は、進路の前方の車両等の状況により、交差点に入つた場合には当該交差点内で停止することとなり、よつて交差道路における車両等の通行の妨害となるおそれがあるときは、当該交差点に入つてはならない。

第50条は緊急自動車に限った規定ではありませんが、渋滞時に「交差点の中で止まってしまう」状況そのものを避ける内容です。違反(交差点等進入禁止違反)は、普通車で1点・反則金6,000円です(下の表)。

場面別:どう動く?(公的資料で確認できた範囲)

交差点の手前で左に寄って一時停止し、緊急自動車が交差点を通れるようにする
図:交差点の手前で左に寄って一時停止し、交差点の中を空けておく(自作イラスト。実際の道路の形や車の位置は状況によって異なります)

📊 場面別の動き方(条文・JAF・消防庁より)

場面 動き方 根拠
交差点の手前を走っていて、サイレンが近づいてきた 交差点に入らず、手前で道路の左側に寄って一時停止する 第40条第1項
手前で左に寄っても、緊急自動車が通れるスペースがない JAFは、通れるスペースが取れる場所まで進んで左に寄ることは「やむを得ない走行になる」との見解。ただし、交差点の外に出てから左に寄って一時停止する JAF Mate(弁護士の見解)
交差点の先も長く渋滞していて、自分の車が緊急車両の進行を妨げるような場合 JAFは、交差点で右左折するなどして、交差点内に一時停止せずに道を譲る対応を考えることが望ましいとしている JAF Mate(弁護士の見解)
一方通行の道路で、左に寄ると妨げになる 右側に寄る 第40条第1項かっこ書
交差点から離れた場所を走っている 道路の左側に寄って進路を譲る 第40条第2項
車線の境が黄色の実線(進路変更禁止の標示) 第40条の規定により道路の左側または右側に寄るときは、進路変更禁止の標示をこえて進路を変更してもよい 第26条の2第3項第1号
交差点の中を走っているときに気づいた/赤信号で停止中に気づいた 具体的な動き方を示した条文や公的資料は、今回の確認では見つかりませんでした(第40条の「交差点を避け」が基本)。信号待ちで前に出てよいかなどは断定できません 確認できなかった
安全のために:消防庁(2012年11月号)は「周囲の状況に注意し進路を譲って」と案内しています。急ブレーキや無理な進路変更は後続車などとの事故のもとになるため(一般的な注意)、後続車や歩行者、交差道路の車に注意して、落ち着いて動くことが大切です。個別の状況の判断は、警察などの公的窓口にご確認ください。

緊急自動車に指定される車と、サイレン・赤色灯の決まり

道路交通法第39条は、緊急自動車を「消防用自動車、救急用自動車その他の政令で定める自動車で、当該緊急用務のため、政令で定めるところにより、運転中のもの」と定義しています。政令(施行令第13条第1項)には、次のような自動車が並んでいます。

📊 緊急自動車として定められている主な自動車(施行令第13条第1項より整理)

区分 定められている使い方
消防用自動車 消防のための出動に使用するもの
救急用自動車 国・自治体・医療機関などが傷病者の緊急搬送のために使用するもの
救急の二輪車 都道府県・市町村が、傷病者の応急手当のための出動に使う大型自動二輪車・普通自動二輪車
医師を運ぶ自動車 緊急搬送の要請を受けた医療機関が、応急の治療を行う医師を現場まで運ぶもの。重度の傷病者の居宅へ緊急の往診を行う医師を運ぶもの(基準に該当する医療機関)
警察用自動車 犯罪の捜査、交通の取締りその他の警察の責務の遂行のため使用するもの
公益事業の応急作業車 電気事業・ガス事業その他の公益事業で、危険防止のための応急作業に使用するもの
血液・臓器の応急運搬車 輸血に用いる血液製剤の応急運搬、臓器移植のための臓器・医師・器材の応急運搬に使用するもの
道路管理者の自動車 道路の通行を禁止・制限する応急措置や、障害物を排除する応急作業に使用するもの
その他 自衛隊用自動車、検察庁・矯正施設・入国管理関係の自動車、水防機関の自動車、原子力災害の応急対策に使用する自動車など

このほか、緊急自動車である警察用自動車に誘導されている自動車なども対象です(第13条第2項)。

「指定」と「届出」:施行令第13条第1項は、これらの自動車を「申請に基づき公安委員会が指定したもの」としています。ただし、消防機関などが出動に使う消防用自動車(第1号)と、救急用自動車(第1号の2)は、公安委員会への届出でよいとされています。動画では「公安委員会が指定した車」と簡単に説明しましたが、正確にはこの区別があります。

サイレンと赤色の警光灯はセット

施行令第14条は、これらの自動車が緊急の用務のため運転するときは、サイレンを鳴らし、赤色の警光灯をつけなければならないと定めています。ただし、警察用自動車が最高速度違反などの車両を取り締まる場合に、特に必要があると認めるときは、サイレンを鳴らさなくてもよいとされています。

項目 内容 出典
備える義務 緊急自動車は、警光灯の色・明るさ、サイレンの音量について告示で定める基準に適合する警光灯とサイレンを備える 道路運送車両の保安基準第49条第1項
警光灯 前方300mの距離から点灯を確認できる赤色 細目告示 第231条第1号(第153条にも同内容)
サイレン その自動車の前方20mの位置で90dB以上120dB以下 細目告示 第231条第2号

なお、国土交通省が公開している細目告示の該当ページ(PDF)には、「2009.3.24」という版の表記があります。現行版との違いの有無までは確認できていないため、最新の基準は国土交通省の公式ページでご確認ください。

譲らなかったときの反則金・点数

緊急自動車の進路を妨げる行為は、施行令別表第二の備考で「緊急車妨害等」と呼ばれ、第40条のほか、第41条の2第1項・第2項(消防用車両の優先)の違反が含まれます。点数は警視庁の「交通違反の点数一覧表」(2026年4月1日更新)、反則金は施行令別表第六で確認しました。

📊 緊急自動車に関係する違反の点数・反則金【2026年10月確認】

違反の名称 どんな行為か 根拠 違反点数 反則金(普通車)
緊急車妨害等 緊急自動車が近づいたときに、交差点を避けて左に寄って一時停止しない/進路を譲らない 第40条(消防用車両は第41条の2第1項・第2項) 1点 6,000円
交差点等進入禁止違反 前方の状況から交差点内で停止して交差道路の通行を妨げるおそれがあるのに、交差点に入る 第50条第1項 1点 6,000円

反則金は車の種類で異なり、緊急車妨害等・交差点等進入禁止違反は施行令別表第六の十八の項で、大型車7,000円・普通車または二輪車6,000円・原付等5,000円です。第40条の規定の違反には、罰則として5万円以下の罰金(第120条第1項第2号)も定められています。

金額・点数について:反則金の額や点数は、法令の改正によって変わることがあります。この記事の内容は、道路交通法・同施行令の現行条文(e-Gov掲載分)と、警視庁が公開している点数表で確認したものです(2026年10月時点)。最新の内容は、警察庁・各都道府県警察の公式ページでご確認ください。

よくある質問

Q. 交差点の中で止まって譲ったら、必ず違反になりますか?

A. 第40条第1項は「交差点を避け」て一時停止することを求めており、JAF Mate(弁護士監修)は、交差点内で一時停止して譲ることを「道交法上許されない一時停止」と解説しています。ただし、個別の場面で違反として扱われるかどうかを断定できる公的資料は確認できませんでした。判断は警察などの公的窓口にご確認ください。

Q. サイレンは聞こえるのに、姿が見えないときはどうしますか?

A. 第40条は「緊急自動車が接近してきたとき」と書いていますが、距離の数字は定められていません。消防庁(2012年11月号)は、緊急自動車が接近してきた場合は「周囲の状況に注意し進路を譲って」と案内しています。音量を下げ、ミラーなどで周囲を確認しておくと対応しやすくなります。

Q. 自転車や歩行者も、道を譲る必要がありますか?

A. 第40条の義務の対象は、車両と路面電車です。そのうえで消防庁は、自転車や、歩道のない道路を歩いている人(横断歩道の歩行者を含む)にも、速やかに進路を譲ってほしいと案内しています(2012年11月号)。

Q. 緊急自動車に誘導されている車にも、道を譲るのですか?

A. 施行令第13条第2項は、緊急自動車である警察用自動車に誘導されている自動車なども、緊急自動車に含めると定めています。

Q. 高速道路で後ろから緊急自動車が来たときは?

A. 高速道路では、JAFが「制限速度以下で走行車線を走っているときは、進路を妨げないよう安全を確保して走行を続ける」などと解説しています。くわしくは、下の「あわせて読みたい」の記事をご覧ください。

まとめ

緊急自動車が近づいたときの譲り方は、場所で2通りです。(1)交差点またはその附近では、交差点を避け、道路の左側(一方通行で妨げになるときは右側)に寄って一時停止する(第40条第1項)。(2)それ以外の場所では、道路の左側に寄って進路を譲る(第40条第2項)。交差点内で止まって譲ることについて、JAF Mate(弁護士監修)は「道交法上許されない一時停止」と解説しています。違反は緊急車妨害等で、普通車は1点・反則金6,000円です。

緊急自動車は、赤信号の交差点にも進入できる特例を持つ一方で、サイレンと赤色の警光灯で接近を知らせています。サイレンが聞こえたら、周囲を確認して、交差点の中を空けるように落ち着いて動きましょう。

※本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。法令・反則金・基準は改正されることがあるため、最新の内容や個別の判断は、警察庁・各都道府県警察・公安委員会など公的機関の公式情報でご確認ください(2026年10月時点)。弁護士の見解として紹介したJAF Mateの解説は、法的な判断を保証するものではありません。

参考(一次情報・公的機関・JAF): e-Gov法令検索 道路交通法(第2条・第26条の2・第39条・第40条・第41条・第41条の2・第50条・第120条)/同 道路交通法施行令(第12条・第13条・第14条・第27条・別表第二・別表第六)/同 道路運送車両の保安基準(第49条)/国土交通省 保安基準の細目を定める告示 第231条(緊急自動車)/警察庁 交通の方法に関する教則/警視庁 交通違反の点数一覧表/消防庁「消防の動き」2024年12月号・2018年12月号・2012年11月号/消防庁 令和7年版消防白書(救急体制)/JAF Mate Online 交差点内で一時停止して、緊急車両に道を譲ってもいい?

図はすべて自作のイラストです(AI生成なし)。実際の道路の形や車の位置は状況によって異なります。

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