※この記事で紹介している動画は、2026年11月18日(水)19:00に公開予定です。公開までは、記事の中の動画は再生できません。公開後に再生できるようになります。
※確認日は2026年10月26日です。法令の改正は11月9日までの分を確認した内容で、公開日は11月18日のため、その後に施行された改正は確認していません。条文や罰則は改正されることがあるため、最新の条文はe-Gov法令検索でご確認ください。
あおり運転(正式には妨害運転)は、道路交通法第117条の2の2第1項第8号の罪です。この記事は、歌いながら話す動画『あおり運転(妨害運転)は何をすると罪?車間距離・ハイビーム・クラクションの線引きと、されたときの110番の手順』の解説編で、運転する人が誤解されないための線引き(条文の「目的」「おそれ」と、車間距離・ライト・警音器の決まり)と、あおられたときの手順を、道路交通法・同施行令の現行の条文、警察庁の教則・通達・「あおり運転」のページ、警視庁の110番の案内、JAFの案内で確認してまとめています。動画で触れきれなかった条文の原文、ふつうの違反との比較、思い込みの検証もあります。高速道路であおられたときの避難先は別の記事の『高速道路であおられたら避難先はSA・PA?』、対処法と罰則の一覧は『「あおり運転」をされたらどうする?対処法と罰則』で整理しています。
📋 この記事の要点
✔ 妨害運転罪は、道路交通法第117条の2の2第1項第8号。「他の車両等の通行を妨害する目的で」、決められた11種類の行為のどれかを、「交通の危険を生じさせるおそれのある方法」でした場合。3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金、違反点数25点。高速自動車国道等で他の自動車を停止させるなど著しい交通の危険を生じさせた場合は、第117条の2第1項第4号で5年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金、35点。警察庁は、妨害運転をした者は運転免許の取消処分の対象としている。
✔ 「目的」の見分け方は、条文にも、警察庁・政府広報オンライン・JAFの資料にも書かれていなかった。自分で「大丈夫」と決めず、誤解されない運転を心がけるのが安心。条文に「あおり運転」「ハイビーム」「パッシング」「クラクション」という言葉は出てこない(条文の語は「警音器」「灯火」)。
✔ 車間距離(第26条)に、何メートルという数字は書かれていない。教則には高速道路の目安がある(路面が乾いてタイヤが新しいとき、時速100キロメートルで約100メートル、時速80キロメートルで約80メートル。雨でぬれ、タイヤがすり減っているときは約2倍程度)。一般的な運転方法の項(第5章)には、メートルの数字の目安は見当たらなかった(同じ項に、雨でぬれタイヤがすり減っていると停止距離が2倍程度に延びることがある、という記載はある)。
✔ ハイビームの使用を一律に禁じる文は、道路交通法・施行令に見当たらなかった。第52条第2項は、夜間、他の車両等と行き違うときや直後を進むときで、その交通を妨げるおそれがあるときに、灯火を操作する決まり。クラクション(警音器)は、鳴らす決まりのある場合と「危険を防止するためやむを得ないとき」を除き、鳴らしてはいけない(第54条第2項)。
✔ されたときは、警察庁の案内で、サービスエリアやパーキングエリア等の交通事故に遭わない場所に避難し、車外に出ず、ためらわず110番。やむを得ず本線車道や路肩に止まったときは、警察庁の高速道路のページは、車内にとどまらず、ガードレールの外側など安全な場所への避難を案内している(事故・故障・走行に危険を感じた場合の案内)。運転中の手で持つ通話は第71条第5号の5で禁止(例外あり)。あおりの通報が例外に当たるかを書いた公的な資料は見つからなかった。JAFは、同乗者に頼む、ひとりなら安全な場所に停めてから通報、と案内している。
▶ YouTubeで見る(YouTube「くるまのかーぎーくん」)
📑 目次
2. 動画で触れきれなかった補足:条文の原文・教則の記載・点数と反則金・止まったあとの行動・110番・確認できなかったこと
1. 動画の内容(要約)
動画は、聞き役の「かーぎーくん」と解説役のかけ合いです。冒頭と章の頭、まとめで歌い、本文はリズムに乗せた会話です。歌詞には数字や条件を入れず(『あおりって なにが罪?』『ねらいと 危険が 鍵』『ゆずり合って ゆったり』『避難して 警察に』『迷ったら ゆずろうよ』『ゆとりを もって いこう』など)、条件と数字は語りと画面の表で示しています。歌詞は条文を簡略化した呼びかけで、「目的」と「危険のおそれ」に加えて11種類の行為という条件があることは、語りと画面にあります。各章の開始時刻は、動画の概要欄の目次と同じです。

| 章 | 開始 | 内容 | 使った一次情報 |
|---|---|---|---|
| イントロ | 00:00 | 歌のフック、先に大事なこと(安全な場所に避難・ロック・車外に出ず110番)、4つのポイント(罪になる条件・車間距離・ライトと警音器・されたときの手順) | 警察庁、政府広報、JAF(各章の出典) |
| 1. 罪になる条件 | 00:44 | 第117条の2の2第1項第8号。三つの条件(目的・行為・危険のおそれのある方法)。「目的」の見分け方が書かれていないこと。点数と免許、著しい危険の場合 | 道路交通法、施行令 別表第二、警察庁 |
| 2. 対象の11種類 | 01:53 | 11種類の一覧(2026年4月1日に第18条第3項が追加)。条文に「あおり運転」などの言葉がないこと。ふつうの違反の反則金と点数 | 道路交通法、警視庁の反則金・点数一覧 |
| 3. 車間距離 | 02:37 | 第26条の原文(数字は書かれていない)。教則の高速道路の目安 | 道路交通法、教則 |
| 4. ハイビーム・点滅 | 03:26 | 第52条第2項。ハイビームを一律に禁じる文は見当たらないこと。教則の上向き・減光・点滅。執拗なパッシングの例 | 道路交通法、教則、政府広報・JAF |
| 5. クラクション | 04:24 | 第54条第2項の原文と、鳴らす決まりのある場合(第1項) | 道路交通法、教則 |
| 6. 誤解されないために | 05:00 | 追い越されるときの教則の記載。やり返さない(JAF Mate)。ドライブレコーダー(警察庁) | 教則、JAF Mate、警察庁 |
| 7. されたときの手順 | 05:28 | 急ブレーキ・急加速はしない(一般道は道を譲る・高速道路は速度を一定に) → 避難 → SA・PA・駐車場などに止めたらロック・車外に出ない(やむを得ず本線車道・路肩に止まったときは車内にとどまらない) → 110番(運転中の通話の決まり)→ 伝えること | 警察庁、JAF Mate、JAF、政府広報、警視庁、第71条第5号の5 |
| まとめ | 07:04 | 4つの確認と、締めの歌 | (上記) |
2. 動画で触れきれなかった補足
2-1. 妨害運転罪の条文(道路交通法 第117条の2の2第1項第8号)
e-Gov法令検索で取得した現行の条文です(施行日2026年7月21日の版)。罰則は同条第1項の柱書で、「三年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金」と定められています(2025年6月1日から「懲役」は「拘禁刑」)。
📜 道路交通法 第117条の2の2第1項第8号(原文。イ〜ルの行為を除く)
「他の車両等の通行を妨害する目的で、次のいずれかに掲げる行為であつて、当該他の車両等に道路における交通の危険を生じさせるおそれのある方法によるものをした者」
📊 第8号イ〜ルの行為(11類型。条文は条番号で書かれている)
| 号 | 条文(原文) | 警察庁・JAFの呼び方 |
|---|---|---|
| イ | 第十七条(通行区分)第四項の規定の違反となるような行為 | 通行区分違反 |
| ロ | 第十八条(左側寄り通行等)第三項の規定の違反となるような行為 | 自転車等の右側を通過するとき、間隔に応じた安全な速度で進行しなかった違反(第18条第3項。2026年4月1日追加) |
| ハ | 第二十四条(急ブレーキの禁止)の規定に違反する行為 | 急ブレーキ禁止違反 |
| ニ | 第二十六条(車間距離の保持)の規定の違反となるような行為 | 車間距離不保持 |
| ホ | 第二十六条の二(進路の変更の禁止)第二項の規定の違反となるような行為 | 進路変更禁止違反 |
| ヘ | 第二十八条(追越しの方法)第一項又は第四項の規定の違反となるような行為 | 追越し違反 |
| ト | 第五十二条(車両等の灯火)第二項の規定に違反する行為 | 減光等義務違反(執拗なパッシング。JAF Mate Onlineは「ハイビーム」も例示。条文の要件は2-4を参照) |
| チ | 第五十四条(警音器の使用等)第二項の規定に違反する行為 | 警音器使用制限違反(不必要なクラクションの反復など) |
| リ | 第七十条(安全運転の義務)の規定に違反する行為 | 安全運転義務違反 |
| ヌ | 第七十五条の四(最低速度)の規定の違反となるような行為 | 最低速度違反(高速自動車国道の本線車道) |
| ル | 第七十五条の八(停車及び駐車の禁止)第一項の規定の違反となるような行為 | 高速自動車国道等での停車・駐車の違反 |
警察庁は、2026年4月1日に第18条第3項(自動車等が自転車等の右側を通過する場合の通行方法)が施行され、その違反が妨害運転の違反類型に追加されたと説明しています。政府広報オンラインとJAFのページには、追加前の「10類型」という数え方と「懲役」という古い表記が残っています(現行の条文は11類型・拘禁刑)。

2-2. 著しい交通の危険を生じさせた場合と、点数・免許
📜 道路交通法 第117条の2第1項第4号(原文)
「次条第一項第八号の罪を犯し、よつて高速自動車国道等において他の自動車を停止させ、その他道路における著しい交通の危険を生じさせた者」
同条第1項の柱書: 「五年以下の拘禁刑又は百万円以下の罰金に処する」
| 区分 | 根拠 | 罰則 | 違反点数 |
|---|---|---|---|
| 交通の危険のおそれ | 第117条の2の2第1項第8号 | 3年以下の拘禁刑 または 50万円以下の罰金 | 25点 |
| 著しい交通の危険 | 第117条の2第1項第4号 | 5年以下の拘禁刑 または 100万円以下の罰金 | 35点 |
点数は、道路交通法施行令の別表第二(一般違反行為に付する基礎点数)で、「妨害運転(交通の危険のおそれ)」が二十五点、「妨害運転(著しい交通の危険)」が三十五点と定められています。警視庁の違反点数一覧(2026年4月1日更新)でも同じです。警察庁は、妨害運転をした者は、その行為のみで運転免許の取消処分の対象になるとしています。取消しの欠格期間(前歴なしの場合の2年・3年)は、政府広報オンラインの表で確認しました。
人を死傷させた場合について、警察庁は、危険運転致死傷罪(妨害目的運転)等にも当たる場合があり、さらに厳罰に処せられることがあると説明しています。自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律の第2条には、通行を妨害する目的で走行中の車の直前に進入するなどの行為(第7号〜第9号)が定められています(この記事では罰則の詳細は扱いません)。
2-3. 車間距離(第26条・第24条)
📜 道路交通法 第26条(原文)
「車両等は、同一の進路を進行している他の車両等の直後を進行するときは、その直前の車両等が急に停止したときにおいてもこれに追突するのを避けることができるため必要な距離を、これから保たなければならない。」
第26条にも、道路交通法施行令にも、何メートルという数字は書かれていません(「車間距離」を全件検索して確認。施行令に出てくるのは、反則行為の定義と点数表の中だけでした)。国家公安委員会告示である教則(警察庁が公開)には、次の記載があります。
📜 教則 第5章 第4節 2(4)(PDF p.50。第5章 自動車の運転の方法)
「天候、路面やタイヤの状態、荷物の重さなどを考えに入れ、前の車が急に止まつても、これに追突しないような安全な車間距離をとらなければなりません。」
📜 教則 第5章 第4節 2(3)(PDF p.50。停止距離の記載)
「路面が雨にぬれ、タイヤがすり減つている場合の停止距離は、乾燥した路面でタイヤの状態が良い場合に比べて2倍程度に延びることがあります。」
📜 教則 第7章 第2節 2(4)(PDF p.72。高速道路での走行)
「路面が乾燥していて、タイヤが新しい場合は、時速100キロメートルでは約100メートル、時速80キロメートルでは約80メートルの車間距離をとる必要があります。また、路面が雨にぬれ、タイヤが減つている場合は、この約2倍程度の車間距離が必要となることがあります。」

第5章の(3)は停止距離の記載(停止距離が2倍程度に延びることがある)で、車間距離のメートルの目安ではありません。高速道路の項(第7章)の目安(p.72)は、車間距離そのものの記載です。
急ブレーキについて、第24条は「車両等の運転者は、危険を防止するためやむを得ない場合を除き、その車両等を急に停止させ、又はその速度を急激に減ずることとなるような急ブレーキをかけてはならない。」と定め、教則も「危険を避けるためにやむを得ない場合のほかは、急ブレーキを掛けてはいけません。」と書いています。
2-4. ハイビームとライトの点滅(第52条第2項・施行令第20条・教則)
📜 道路交通法 第52条第2項(原文)
「車両等が、夜間(前項後段の場合を含む。)、他の車両等と行き違う場合又は他の車両等の直後を進行する場合において、他の車両等の交通を妨げるおそれがあるときは、車両等の運転者は、政令で定めるところにより、灯火を消し、灯火の光度を減ずる等灯火を操作しなければならない。」
📜 道路交通法施行令 第20条第1号(原文)
【区分】「車両の保安基準に関する規定に定める走行用前照灯で光度が一万カンデラを超えるものをつけ、車両の保安基準に関する規定に定めるすれ違い用前照灯又は前部霧灯を備える自動車」
【方法】「すれ違い用前照灯又は前部霧灯のいずれかをつけて走行用前照灯を消すこと。」
(第2号以下は、その他の自動車・原動機付自転車・トロリーバスについて、光度が一万カンデラを超える前照灯の光度を減じ、又は照射方向を下向きとすることと定めている)
📜 教則 第6章 第3節「夜間」2 灯火 (2)・(4)(PDF p.67)
(2)「前照灯は、交通量の多い市街地などを通行しているときを除き、上向きにして、歩行者などを少しでも早く発見するようにしましよう。ただし、対向車と行き違うときや、ほかの車の直後を通行しているときは、前照灯を減光するか、下向きに切り替えなければなりません。」
(4)「見通しの悪い交差点やカーブなどの手前では、前照灯を上向きにするか点滅させて、ほかの車や歩行者に交差点への接近を知らせましよう。」
道路交通法と施行令の条文を検索したところ、「ハイビーム」「パッシング」「クラクション」「あおり」という言葉は出てきませんでした。ハイビームの使用を一律に禁じる文も、見当たりませんでした。第52条第2項が定めているのは、夜間、他の車両等と行き違う場合や直後を進行する場合で、その交通を妨げるおそれがあるときの灯火の操作です。政府広報オンラインとJAFは、「執拗なパッシング」を減光等義務違反の例に挙げています(施行令は、減光等義務違反を、法第52条第2項の違反と定義しています)。JAF Mate Onlineは、減光等義務違反の例を「執拗なパッシング、ハイビーム」と書いていますが、第52条第2項の条文の要件は、夜間、他の車両等と行き違う場合または直後を進行する場合で、他の車両等の交通を妨げるおそれがあるときです。一方で教則は、見通しの悪い交差点などの手前では、上向きにするか点滅させて接近を知らせるよう書いています。保安基準(道路運送車両法の関係規定)のハイビームの規定は、この記事では確認していません。
▶ あわせて読みたい(ハイビーム): 夜間走行のヘッドライト、ハイビームとロービームの使い分け(警察庁・JAFの案内)
2-5. クラクション(警音器。第54条)
📜 道路交通法 第54条第2項(原文)
「車両等の運転者は、法令の規定により警音器を鳴らさなければならないこととされている場合を除き、警音器を鳴らしてはならない。ただし、危険を防止するためやむを得ないときは、この限りでない。」
📜 同 第54条第1項第1号(原文の一部)
「左右の見とおしのきかない交差点、見とおしのきかない道路のまがりかど又は見とおしのきかない上り坂の頂上で道路標識等により指定された場所を通行しようとするとき。」
📜 教則 第5章 第5節 1(5)(PDF p.52)
「警音器は「警笛鳴らせ」の標識(付表3(1)36)がある場所を通るときや、「警笛区間」の標識(付表3(1)37)がある区間内で見通しのきかない交差点、曲がり角、上り坂の頂上を通るときには、鳴らさなければなりません。また、危険を避けるためやむを得ない場合は、鳴らすことができますが、これらの場合以外は鳴らしてはいけません。」
条文の言葉は「クラクション」ではなく「警音器」です。お礼や挨拶のために鳴らしてよい、という文は、第54条と教則の警音器の項には見当たりませんでした。ふつうの違反としての反則金(警音器使用制限違反)は、警視庁の一覧で3,000円(車の種類を問わず)です。
2-6. ふつうの違反の点数と反則金(普通車)
目的がなくても、それぞれ違反になります。警視庁の違反点数一覧・反則金一覧(どちらも2026年4月1日更新)と、道路交通法施行令の別表で確認しました。
| 違反の名前 | 条文 | 反則金(普通車) | 点数 |
|---|---|---|---|
| 車間距離不保持 | 第26条 | 6,000円 | 1点 |
| 高速自動車国道等車間距離不保持 | 第26条 | 9,000円 | 2点 |
| 急ブレーキ禁止違反 | 第24条 | 7,000円 | 2点 |
| 減光等義務違反 | 第52条第2項 | 6,000円 | 1点 |
| 警音器使用制限違反 | 第54条第2項 | 3,000円 | 警視庁の点数一覧に記載なし |
| 歩行者等側方安全通過義務違反(第18条第3項は、自転車等の右側を通過するとき、間隔に応じた安全な速度で進行しなかった違反。同条第2項は歩行者の側方の通過) | 第18条第2項・第3項 | 7,000円 | 2点 |
反則金は、反則者に当たらない人(交通事故を起こした者など)には適用されません(道路交通法第125条第2項)。法律上の罰則は、急ブレーキ禁止違反が3か月以下の拘禁刑または5万円以下の罰金(第119条第1項第3号)、一般道の車間距離不保持が5万円以下の罰金(第120条第1項第2号)、高速自動車国道等での車間距離不保持が第119条第1項第4号、減光等義務違反が5万円以下の罰金(第120条第1項第6号)、警音器使用制限違反が2万円以下の罰金または科料(第121条第1項第9号)です。

2-7. 止まったあとの行動(SA・PA・駐車場などの場合と、やむを得ず本線車道・路肩に止まった場合)
あおりを受けて車を止めたあとの案内は、止まった場所によって、公的な資料の書き方が分かれます。
| 止まった場所 | 公的な資料に書かれていること |
|---|---|
| SA・PA・駐車場など(あおりを受けたとき) | 警察庁「あおり運転」のページ: 「サービスエリアやパーキングエリア等、交通事故に遭わない場所に避難するとともに車外に出ることなく、ためらわずに110番通報をしてください。」 政府広報オンライン: 「車を止めたら、ドアを必ずロックし、警察が到着するまでは車内で待機すること。」 JAF Q&A: 「警察官が到着するまで車内に待機し、身の安全を確保しましょう。」 |
| やむを得ず本線車道・路肩に止まったとき(事故・故障・走行に危険を感じた場合) | 警察庁「高速道路」のページ(「本線車道、路肩に停止した場合」の項): 「停止した車両内に留まることや、停止した車両から降りて車両付近に立っていることは大変危険です。」「ガードレールの外側等の安全な場所に避難してください。」 |
| 道路上に止まること | 政府広報オンライン: 「事故の危険があるため、道路上には停車しないようにし、人目のある駐車場やPA等へ移動すること。」 JAF Q&A: 「車線上や路側帯に停車すると、後続車に追突される危険があるからです。」 |
警察庁の「高速道路」のページは、事故や故障、走行に危険を感じて本線車道や路肩に停止した場合の案内で、あおりを名指ししたものではありません。あおりを受けたとき、SA・PA・駐車場などに避難して車内で待つ案内と、本線車道・路肩に止まった場合の案内のどちらを優先するかを書いた公的な資料は、見つかりませんでした。ここで見た案内は、いずれも、まず道路上に止まらない場所への避難を挙げています。動画の『車外に出ない』は、SA・PA・駐車場などに止めた場合の案内です。
2-8. 運転中の通話と110番
📜 道路交通法 第71条第5号の5(原文)
「自動車、原動機付自転車又は自転車(以下この号において「自動車等」という。)を運転する場合においては、当該自動車等が停止しているときを除き、携帯電話用装置、自動車電話用装置その他の無線通話装置(その全部又は一部を手で保持しなければ送信及び受信のいずれをも行うことができないものに限る。第百十八条第一項第四号において「無線通話装置」という。)を通話(傷病者の救護又は公共の安全の維持のため当該自動車等の走行中に緊急やむを得ずに行うものを除く。同号において同じ。)のために使用し、又は当該自動車等に取り付けられ若しくは持ち込まれた画像表示用装置(道路運送車両法第四十一条第一項第十六号若しくは第十七号又は第四十四条第十一号に規定する装置であるものを除く。第百十八条第一項第四号において同じ。)に表示された画像を注視しないこと。」
あおりの通報がこの括弧書きの除外(「傷病者の救護又は公共の安全の維持のため…緊急やむを得ずに行うもの」。…は「当該自動車等の走行中に」を省略)に当たるかを書いた公的な資料は、警察庁・JAF・政府広報オンライン・警視庁の案内には見つかりませんでした。ハンズフリー通話の扱いも、これらの資料に書かれていないため、この記事では判断しません。JAFは、同乗者がいれば走行中でも通報を頼む、ひとりのときは安全な場所に停めてから通報、と案内しています。
警視庁は、110番を「緊急時のためのダイヤル」とし、警察官にすぐ現場に駆けつけてほしい事件や事故のときにかけるよう案内しています。通報で聞かれる内容は、次のとおりです(警視庁「こんなときこそ110番」。更新日2026年1月1日)。警視庁の項目は事件・事故全般の案内で、原文のまま載せています(あおりに限った案内ではありません)。
| 警視庁の案内(110番で伝えてほしいこと) | JAF Mate Onlineの案内(あおりのとき。高速道路の場合) |
|---|---|
| 何があったのか | 位置情報(高速道路名・キロポスト番号・最寄りのインターチェンジ名など) |
| 通報の何分前のことか | 相手の車の特徴(ナンバー・車種・色) |
| 場所(住所や目標となる店舗や建物、階数など) | あおりの状況(接近・追い越し・急な車線変更など) |
| 被害や目撃の状況、けが人は | (キロポストは道路の左側に掲示されている番号。通報の前に確認しておくとよい) |
| 犯人を覚えているか(性別、人数、年齢、服装や逃走方向など) | ドライブレコーダーがないときは、ナンバーや特徴、時間と場所をメモ。同乗者がいればスマートフォンで撮影 |
右の欄は、JAF Mate Onlineの高速道路の場合の案内です。一般道の場合のJAF Mate Onlineの案内は、「現在の位置情報」、相手車両の特徴(ナンバープレートの番号、車種、色)、「あおり運転の状況」の3つで、高速道路の場合は、位置情報が高速道路名・キロポスト番号・最寄りのインターチェンジ名など、状況の例が接近・追い越し・急な車線変更などの行為になります。
緊急でない相談は、警察相談専用電話の「#9110」(110番の前に「#9」)です(警視庁)。たった今、被害や交通事故に遭った場合は、110番にかけます。通報を受けた警察職員が必要と判断したときは、通報者の同意を得て、スマートフォンで撮った映像を送る「110番映像通報システム」の案内が出ることがあります。警察庁は、利用の際は周囲の状況をよく確認し、自分の安全の確保を最優先にするよう注意しています。

2-9. 確認できなかったこと
| 確認できなかったこと | 確認した範囲 |
|---|---|
| 「目的」をどのように見分けるか | 第117条の2の2の条文、警察庁のページと通達、政府広報オンライン、JAFのQ&AとJAF Mate Online。通達には、捜査で「客観的な証拠資料の収集等を積極的に行い」とあるが、認定基準の説明ではない |
| 妨害運転罪の最新の適用・検挙件数 | 警察庁の令和7年の年報PDF、令和8年上半期の分析資料、令和8年版の交通安全白書。件数の記載が見つからなかった(古い報道値は再確認できていないため、この記事では使っていません) |
| あおりの通報が「緊急やむを得ず」の除外に当たるか。ハンズフリーの扱い | 警察庁・JAF・政府広報オンライン・警視庁の案内 |
| 高速道路以外の車間距離のメートルの目安 | 教則の第5章の車間距離の項(p.49〜51)には、メートルの数字は見当たらなかった。(3)に、停止距離が2倍程度に延びることがある、という倍率の記載はある(p.50)。メートルの目安は高速道路の項(p.72)のみ |
| あおりを受けたときに、SA・PA・駐車場などへ避難して車内で待つ案内と、本線車道・路肩に止まった場合の案内(車内にとどまらず、ガードレールの外側へ)のどちらを優先するか | 警察庁の「あおり運転」のページと「高速道路」のページ、政府広報オンライン、JAF。「高速道路」のページは、事故・故障・走行に危険を感じた場合の案内で、あおりを名指ししていない |
| SA・PAの設置間隔の公的な基準 | JAF Mateは『PAおよそ15km・SA50km間隔』と書いていますが、国土交通省・NEXCOの公式文書では確認できなかったため、この記事では使っていません |
| 保安基準側のハイビームの規定 | 今回は見ていない(道路交通法・施行令の条文のみ確認) |
2-10. 最新の数字(統計)
内閣府の令和8年交通安全白書(第1-15表。警察庁資料による)によると、高速道路での交通違反取締りのうち、主法令違反が車間距離不保持のものは、令和6年が4,710件、令和7年が2,881件(前年比-38.8%)でした。これは高速道路での取締り件数で、妨害運転罪の適用件数ではありません。妨害運転罪の最新の件数は、確認できた警察庁・内閣府の最新の資料には載っていませんでした(確認日2026年10月26日)。警察庁は2026年3月6日の通達で、妨害運転罪の創設後も、毎年、妨害運転等に起因する交通死亡事故が継続的に発生していることを踏まえ、広報啓発・講習・指導取締り・行政処分を一層推進するよう都道府県警察に指示しています。
3. 違った観点から整理する
3-1. ふつうの違反から妨害運転罪までの階段
同じ「車間距離」でも、条文の上では段階があります。この表は、条文に書かれていることを並べただけで、個別の事案がどの段階になるかを示すものではありません。
| 段階 | 条件(条文の言い方) | 罰則・処分(条文・公的資料) |
|---|---|---|
| 1. ふつうの違反 | 第26条(車間距離の保持)などの違反。目的は条件に入っていない | 反則金・点数(普通車で6,000円・1点など)、罰則は罰金など |
| 2. 妨害運転罪 | 「他の車両等の通行を妨害する目的で」11種類の行為のどれかを「交通の危険を生じさせるおそれのある方法」でした | 3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金。25点。運転免許の取消処分の対象(警察庁) |
| 3. 著しい交通の危険 | 2の罪を犯し、高速自動車国道等で他の自動車を停止させるなど、道路における著しい交通の危険を生じさせた | 5年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金。35点 |
| 4. 人を死傷させた場合 | (別の法律)危険運転致死傷罪(妨害目的運転)等に当たる場合がある | 警察庁: さらに厳罰に処せられることがある |
3-2. 思い込みの検証
| よくある思い込み | 条文・公的資料で確認できたこと |
|---|---|
| ハイビームを使うと違反になる | ハイビームの使用を一律に禁じる文は、道路交通法・施行令に見当たらなかった。第52条第2項は夜間の行き違い・直後で交通を妨げるおそれがあるときの灯火の操作。教則(夜間の項)は市街地などを除き上向きにするよう書く。JAF Mate Onlineは減光等義務違反の例に「ハイビーム」も挙げるが、条文の要件は行き違い・直後で他の車両等の交通を妨げるおそれがあるとき |
| ライトを点滅させる(パッシング)のは、すべて違反 | 「パッシング」の語は条文にない。政府広報とJAFは「執拗な」パッシングを減光等義務違反の例に挙げる。教則は、見通しの悪い交差点やカーブの手前で上向きにするか点滅させて接近を知らせるよう書く |
| 車間距離は○メートル空ければ大丈夫 | 第26条に数字はなく「追突するのを避けることができるため必要な距離」。教則の目安は高速道路のもので、天候やタイヤの状態で必要な距離が変わる(約2倍程度のことがある) |
| 軽くクラクションを鳴らしてお礼を伝えるのは問題ない | 第54条第2項は、鳴らす決まりのある場合と危険を防止するためやむを得ないとき以外は鳴らしてはならない。お礼のために鳴らしてよい、という文は見当たらなかった。反則金は3,000円 |
| あおられたから、やり返してもよい | JAF Mateは、急ブレーキやクラクションで返すと、自分も同様に罪に問われる可能性があると注意している |
| あおり運転は高速道路だけの話 | 11類型のうち、最低速度(第75条の4)と停車・駐車(第75条の8第1項)は高速自動車国道等の規定だが、通行区分・急ブレーキ・車間距離・進路変更・追越し・灯火・警音器・安全運転義務などは一般道にも関わる条文 |
| ドライブレコーダーは、あおられたときだけ役に立つ | 警察庁は、運転行為が記録されることから、妨害運転等の抑止に有効で、「事故やトラブルのときにあなたを守る」としている |
3-3. 立場別の行動
| 立場 | 公的資料に書かれていること |
|---|---|
| 運転する人(誤解されないために) | 教則: 「追い越されるときは、追越しが終わるまで速度を上げてはいけません。また、追越しに十分な余地のない場合は、できるだけ左に寄り進路を譲らなければなりません。」「最も右側の車両通行帯を通行し続けると、速度超過になつたり、車間距離が短くなつたりして危険です。また、ほかの車の追越しを妨害し、交通の流れを阻害するなど、迷惑にもなります。」/ 政府広報: 追いつかれたら早目に道を譲る、車間距離を十分にとり急な割り込みはしない、急発進や急停車はしない / 警察庁の通達: 速度に応じた適切な車両通行帯の利用や、追越しをしようとする車への配慮 |
| イライラしたとき | 政府広報オンライン: 「一度深呼吸をして心を落ち着けましょう」 |
| された人(運転者) | 警察庁: サービスエリアやパーキングエリア等、交通事故に遭わない場所に避難し、車外に出ることなく、ためらわずに110番。JAF: 一般道は駐車場など人目の多い場所、近くの警察署や交番に助けを求めてもかまわない。やむを得ず本線車道・路肩に止まったときは、警察庁の高速道路のページが、車内にとどまらずガードレールの外側など安全な場所への避難を案内(2-7) |
| 同乗者 | JAF: 同乗者がいれば、走行中でも通報を頼む。JAF Mate: ドライブレコーダーがないときは、同乗者がスマートフォンで撮影するのもよい |
3-4. これまでの経緯
| 日付 | できごと | 出典 |
|---|---|---|
| 2020年6月30日 | 妨害運転罪の施行(他の車両等の通行を妨害する目的で、急ブレーキ禁止違反や車間距離不保持等の違反を行うことが、厳正な取締りの対象に) | 警察庁 |
| 2025年6月1日 | 刑罰の「懲役」が「拘禁刑」に(道路交通法の現行条文は拘禁刑) | e-Gov法令検索(改正履歴) |
| 2026年3月6日 | 警察庁が通達「妨害運転等の悪質・危険な運転に対する厳正な対処について」を発出(旧通達は廃止) | 警察庁 |
| 2026年4月1日 | 第18条第3項(自動車等が自転車等の右側を通過する場合の通行方法)の違反が、妨害運転の類型に追加され11類型に | 警察庁 |
| 2026年7月21日 | 道路交通法の現行版の施行日(この記事で条文を確認した版) | e-Gov法令検索 |
4. よくある質問
5. あわせて読みたい・まとめ・出典
📊 あわせて読みたい
▶ 高速道路であおられたら避難先はSA・PA?路側帯・車線上に止まる危険と110番の手順を警察庁・条文で確認
▶ オートハイビームの『約750m』は何の数字?歩行者・自転車は検知する?道路交通法第52条とあわせて解説
▶ 夜間走行のヘッドライト、ハイビームとロービームの使い分け(警察庁・JAFの案内)
まとめ
妨害運転罪は、「他の車両等の通行を妨害する目的」と、決められた11種類の行為と、「交通の危険を生じさせるおそれのある方法」がそろったときの罪です(第117条の2の2第1項第8号。3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金、25点)。「目的」の見分け方は、見た資料には書かれていませんでした。車間距離(第26条)に数字はなく、ハイビームを一律に禁じる文は見当たらず、クラクション(警音器)は鳴らす決まりのある場合と危険を防止するためやむを得ないとき以外は鳴らせません。誤解されないために、道を譲り、車間をあけ、やり返さず、ドライブレコーダーで記録しておく。されたときは、SA・PA・駐車場など安全な場所に避難し、ドアをロックし、車外に出ず、ためらわず110番(やむを得ず本線車道や路肩に止まったときは、警察庁は、車内にとどまらず、ガードレールの外側など安全な場所への避難を案内しています)。
本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。確認日は2026年10月26日で、道路交通法は施行日2026年7月21日の版、施行令は2026年9月1日の版です(2026年11月9日までに施行される改正は、e-Govの改正履歴で確認できませんでした)。教則は2024年11月13日付のPDFを使っています(2026年7月17日告示第32号による一部改正は、引用した節を対象にしていません)。点数・反則金・罰則・各機関の案内は変更されることがあります。個別の事案の判断や、被害・加害の当事者になったときは、警察や弁護士などの公的窓口・専門家に相談してください。危険を感じたときは、安全を最優先に、ためらわず110番に通報してください。
出典(法令・公的機関・JAF): e-Gov法令検索 道路交通法(第24条・第26条・第52条・第54条・第71条・第117条の2・第117条の2の2・第119条〜第121条・第125条) / 同 道路交通法施行令(第20条・別表第二・別表第六) / 同 自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律(第2条) / 警察庁「交通の方法に関する教則」 / 警察庁「危険!「あおり運転」はやめましょう」 / 警察庁 通達「妨害運転等の悪質・危険な運転に対する厳正な対処について」 / 警察庁「110番映像通報システム」 / 政府広報オンライン「「あおり運転」は犯罪です!一発で免許取消し!」 / JAF クルマ何でも質問箱「「あおり運転」をされたら、どうすればよいのでしょうか?」 / JAF Mate Online「街中や高速道路であおり運転を受けたら、どうすればいいの!?」 / 警視庁「こんなときこそ110番」 / 警視庁「相談ホットラインのご案内」 / 警視庁 違反点数一覧 / 警視庁 反則金一覧 / 内閣府 令和8年交通安全白書(第1部第2章第5節)
図はすべて自作のイラストです(AI生成なし)。図の車や道路は模式図で、実際の道路や車の形状とは異なります。


コメント