プリウスの足まわりは、世代によって構造が異なります。この記事では、トヨタの主要諸元表、取扱書・User Guide、国の自動車点検基準、JAFの解説で確認できたことだけを整理しました。
📋 この記事の要点
✔ トヨタの主要諸元表では、前輪はどの世代もストラット式、後輪は3代目がトーションビーム式、4代目・5代目がダブルウィッシュボーン式と記載されている
✔ 自動車点検基準(別表第6)では、緩衝装置の「取付部及び連結部の緩み、がた及び損傷」と「ショック・アブソーバの油漏れ及び損傷」は、2年ごとの点検項目
✔ 5代目のUser Guide(2026年7月版)は、純正品以外のサスペンションの取り付け、サスペンションの改造をしないよう注意している(センサーを使う運転支援・駐車支援に影響するおそれ)
✔ ショックアブソーバーの交換時期を、年数・走行距離で定めた公式情報は確認できなかった。油漏れ・異音・ふらつきなどの変化が、点検のきっかけになる
1. 世代別のサスペンション形式(トヨタ主要諸元表)
ショックアブソーバーは、走行中の車体の上下動を抑える部品です。プリウスの前輪は、ショックアブソーバーとコイルスプリングを一体にしたストラット式が採用されています。トヨタの主要諸元表で確認できた、世代ごとの形式は次のとおりです。
📊 プリウスのサスペンション形式(確認日: 2026年9月25日)
| 世代 | 前輪 | 後輪 | 出典 |
|---|---|---|---|
| 3代目(ZVW30系) | ストラット式コイルスプリング(スタビライザー付) | トーションビーム式コイルスプリング | 主要諸元表(2015年6月版) |
| 4代目(ZVW50系) | ストラット式コイルスプリング(スタビライザー付) | ダブルウィッシュボーン式コイルスプリング(スタビライザー付) | 主要諸元表(ベース車両、2021年6月版) |
| 5代目(ZVW60系) | マクファーソンストラット式コイルスプリング(スタビライザー付) | ダブルウィッシュボーン式コイルスプリング(スタビライザー付) | 主要諸元表(2023年12月版) |
※表は横にスクロールできます
📌 「ショックアブソーバー」と「ストラット」の関係
一般的な構造の説明として、ストラット式のサスペンションでは、ショックアブソーバーが車体を支える構造部品の役目も兼ねます。そのため、「ショックアブソーバーだけ」の交換か、「ストラット(スプリング等を含む)一式」の交換かは、車の構造・傷み方によって変わります。どちらが必要かは、点検を受けたうえで整備工場・販売店に確認してください。
2. 自動車点検基準に載っている、足まわりの点検項目
マイカーの定期点検は、自動車点検基準の別表第6(自家用乗用自動車等の定期点検基準)が基準になります。足まわりに関する項目を、時期ごとに整理しました。
📊 自動車点検基準 別表第6の、足まわりの項目
| 点検箇所 | 点検内容 | 時期 |
|---|---|---|
| 緩衝装置: 取付部及び連結部 | 緩み、がた及び損傷 | 2年ごと |
| 緩衝装置: ショック・アブソーバ | 油漏れ及び損傷 | 2年ごと |
| 走行装置: ホイール | タイヤの状態、ホイール・ナット及びホイール・ボルトの緩み | 1年ごと |
| 走行装置: ホイール | フロント・ホイール・ベアリングのがた、リヤ・ホイール・ベアリングのがた | 2年ごと |
| かじ取り装置: かじ取り車輪 | ホイール・アライメント | 2年ごと |
📌 補足
2年ごとの点検は、1年ごとの点検に上の項目を加えたものです。一部の項目(タイヤの状態、ホイールのがた、アライメントなど)には、走行距離が1年あたり5,000km以下なら省略できる場合がある、という注記があります。新車の初回車検(有効期間3年)は、2年目は1年ごとの欄、3年目は2年ごとの欄の基準による、との注記もあります。
つまり、ショックアブソーバーの油漏れや、サスペンションの取付部の緩み・がたは、2年ごとの定期点検(24か月点検)で見てもらう項目です。Hondaのメンテナンスガイドでは、サスペンションの取付部・連結部の緩み、がた、損傷の項目に、悪路や雪道の走行が多い、走行距離が多い、山道が多いなどのシビアコンディション(条件A・B・C)の表記が付いています。トヨタ車のメンテナンスノートの内容は、ここでは確認できなかったため、お手元のメンテナンスノートで確認してください。
3. 取扱書・User Guideにある、サスペンションの注意
プリウス(5代目)のUser Guide(2026年7月版)には、サスペンションに関する注意が、センサーを使う機能の項目に書かれています。ローダウン(車高を下げる)や、社外品への交換を考えるときの、重要な確認点です。
📊 5代目User Guide(2026年7月版)の、サスペンションに関する記載
| 場面 | User Guideの記載 | 意味 |
|---|---|---|
| 純正品以外のサスペンション | 「システムを正しく作動させるために」の注意事項の一つとして、純正品以外のサスペンションを取り付けないよう案内している(あわせて、適正なタイヤ空気圧の維持、改造・分解・塗装をしないことも記載) | センサーを使う機能を正しく作動させる前提として、書かれている |
| 駐車支援(パーキングサポートブレーキ) | 車高や車の傾きが変化すると、センサーが作動対象物を正しく検知できなくなり、システムが正しく作動しなくなるおそれがあり危険。サスペンションの改造はしない | 車高の変化は、安全機能の作動に影響する |
| 機能をOFFにする場面 | パーキングサポートブレーキをOFFにする場面として、ローダウンサスペンションや純正と異なるサイズのタイヤを取り付けたとき、積載状況などで車高が著しく変化したとき(ノーズアップ、ノーズダウンなど)が挙げられている。リヤの機能(RCD)をOFFにする場面にも、純正品以外のサスペンションを取り付けたときが挙げられている | 車高が変わる状況は、機能の使い方にも関わる |
| 運転を補助するシステム全般 | 問題があるタイヤを使用したり、サスペンションを改造したりすると、運転を補助するシステムに悪影響をおよぼし、システムの故障につながるおそれがある | タイヤとサスペンションの状態が、運転支援の前提になる |
| 高圧洗車 | 駆動系・ステアリング・サスペンション・ブレーキ部品の結合部やブーツ類に、ノズルの先端を近づけすぎない。高い水圧で部品が損傷するおそれがある | 洗車でも、足まわりのゴム部品に配慮する |
⚠️ ローダウンや社外サスペンションは、事前に販売店へ確認を
車高や乗車姿勢が変わると、運転支援システムの作動に影響するおそれがあると、取扱書が案内しています。社外品への交換や車高の調整を考えるときは、トヨタ販売店と依頼先に、システムへの影響を確認してからにしましょう。
4. 劣化のサインと、点検を頼むきっかけ
ショックアブソーバーの交換時期を、年数や走行距離で定めた公式情報は、今回の調査では確認できませんでした。そのため、点検基準の項目とJAFの解説をもとに、「気づいたら点検を頼む」サインとして整理します。
📊 足まわりの変化と、対応の考え方
| サイン | 考えられること | 対応 |
|---|---|---|
| ショックアブソーバーの周囲に、油のにじみ・漏れがある | 自動車点検基準の「油漏れ及び損傷」に当たる項目 | 点検・整備を依頼する |
| 段差を越えた瞬間に、下回りから「コトコト」「ゴトゴト」という乾いた音がする | JAFは、スタビライザーリンクのボールジョイントやブッシュの遊びが原因と考えられると説明 | 早めに点検を受ける。ガタが進むと、走行安定性を損なうおそれがある(JAF) |
| 足まわりのゴムブーツの破れ、グリスの漏れ | JAFは、ボールジョイントのブーツが破れると、防塵性・潤滑性が低下し摩耗が進むと説明 | 点検・交換を相談する |
| 車線変更で揺れが大きい、カーブで以前より傾きを感じる | JAFは、こうした症状があるとき、スタビライザー周辺部品の劣化が疑われると説明している(足まわり全体の状態にも関わる) | 放置せず、整備工場で点検を受ける |
| サスペンションの取付部の緩み・がた | 自動車点検基準の「取付部及び連結部の緩み、がた及び損傷」に当たる項目 | 点検・整備を依頼する |
💡 交換の時期の考え方
JAFはスタビライザーリンクやブッシュについて、交換時期に決まった年数・走行距離の基準はなく、異常が現れた段階が実質的な交換のタイミングと説明しています。ショックアブソーバーについても、車の使われ方や路面状況で傷み方が変わるため、点検で状態を確認してから判断するのが基本です。
5. 点検・交換を頼むときの流れと、自分で行うときの注意
🧭 点検・交換を頼むときの流れ
症状を控える
いつ、どの速度・路面で、どんな音や揺れがあるかをメモします。写真や動画があると伝わりやすくなります。
整備記録簿・メンテナンスノートを確認する
前回の足まわりの点検・整備の履歴を確認します。
販売店・整備工場に点検を依頼する
ショックアブソーバーの状態、取付部、ブーツ、スタビライザー周辺を、まとめて見てもらいます。
見積もりの内訳を確認する
部品代・工賃・アライメント調整の要否など、内訳を確認します。費用は公式資料で確認できなかったため、この記事では金額を示しません。
作業後の確認
試乗して、異音や揺れが改善したかを確認します。改善しないときは、再点検を相談します。
⚠️ 自分で行う作業は、慎重に
JAFは、スタビライザーについて、車体の下に入る作業で車が落下すると重大な事故につながるおそれがあること、締め付けが不十分だとリンクの緩みや脱落につながるおそれがあることから、点検・交換は原則として販売店や整備工場に依頼するよう案内しています。サスペンションは走行の安全に直結する保安部品です。
6. 中古のプリウスを見るときのチェックリスト
📝 実車確認のチェックリスト(足まわり)
☑️ ショックアブソーバー周辺に、油のにじみや漏れがないか目視した
☑️ 足まわりのゴムブーツに、破れやグリスの漏れがないか確認した
☑️ 試乗で、段差の通過時にコトコト・ゴトゴトという音がしないか確認した
☑️ カーブや車線変更で、ふらつき・大きな揺れがないか確認した
☑️ ローダウンや社外サスペンションなど、改造の有無を確認した(運転支援システムへの影響を、販売店に確認した)
☑️ タイヤの偏摩耗がないか確認した(足まわりの状態を示すことがあるため)
☑️ 整備記録簿で、足まわりの点検・整備歴を確認した
7. よくある質問
📚 あわせて読みたい
▶ 車の足回りメンテナンス|タイヤ・ブレーキ・サスペンションの点検目安
▶ アクアの足まわり:ショックアブソーバーの点検と交換の目安
▶ カローラのショックアブソーバー|ストラットとの違い・点検の目安・交換の考え方
▶ ワゴンRのショックアブソーバーとストラット|構造・点検の目安・依頼の考え方
▶ プリウスのタイヤサイズと点検|世代別サイズ・空気圧・交換目安
まとめ
プリウスの前輪はどの世代もストラット式、後輪は3代目がトーションビーム式、4代目・5代目がダブルウィッシュボーン式です。ショックアブソーバーの油漏れや取付部の緩みは、自動車点検基準で2年ごとの点検項目になっています。交換時期を年数・距離で定めた公式情報は確認できなかったため、油漏れ・異音・ふらつきなどの変化を点検のきっかけにしてください。ローダウンや社外品の取り付けは、運転支援システムへの影響を、事前に販売店に確認しましょう。
※本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。制度・料金・基準・製品仕様は変更されることがあるため、最新の内容は、公的機関・メーカー・各公式サイトでご確認ください(2026年10月時点)。
Toyota Prius HEV XLE XW60 Silver Metallic by Damian B Oh, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons


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