台風の接近中は、「大丈夫だろう」という自己判断が、重大な事故につながることがあります。この記事では、気象庁、JAF、内閣府関連の案内、警察庁・JAFなどの公開情報をもとに、台風接近時に運転でやってはいけない行動を整理しました。
📋 この記事の要点
✔ 冠水した道路への進入は避ける。JAFは、実際の冠水路では水の深さも水の中の様子もわからないため、遭遇したら安易に進入せず、迂回するよう案内している
✔ JAFは、アンダーパス、川や海岸沿い、急傾斜地に近づかないよう案内。増水した川や高波の海岸を見に行かない
✔ 気象庁の目安では、平均風速20〜25m/sで通常の速度で運転するのが困難、25〜30m/sで走行中のトラックが横転する。1時間50mm以上の雨は「車の運転は危険」
✔ 避難勧告は2021年に廃止され、警戒レベル4は「避難指示」に一本化された。警戒レベル3では、高齢者等以外も普段の行動を見合わせ始める段階(気象庁)
✔ 災害時の燃料は、「満タン&灯油プラス1缶運動」で、車は満タンにすることが目安とされている(千葉県が紹介)
📑 目次
1. NG行動の全体像
📊 台風時の運転NG行動と、確認できた根拠(確認日: 2026年9月25日)
| NG行動 | 何が危険か | 確認できた根拠 |
|---|---|---|
| NG1 冠水した道路への進入 | 水の深さや水の中の様子がわからない。エンジン停止、車の浮き、ドアが開かなくなるおそれ | JAFユーザーテスト、JAF Mate、東京消防庁 |
| NG2 通行止め・規制区間への進入 | 現地では見えない危険を、道路管理者などの規制が示していることがある(一般的な考え方) | 一般的な安全上の考え方(個別の公的資料は確認できなかった) |
| NG3 川・海岸・急傾斜地への接近 | JAFは、アンダーパス、川や海岸沿い、急傾斜地に近づかないよう案内 | JAF 台風・大雨時のクルマに関する注意点 |
| NG4 強風下での不用意なドア開閉・屋外行動 | 20m/s以上で飛来物による負傷のおそれ。看板の落下・飛散も | 気象庁「風の強さと吹き方」 |
| NG5 視界不良でも速度を落とさない | 雨が強くなると、視界の悪化やハイドロプレーニング現象が起こる。雨天は事故が増える | 気象庁「雨の強さと降り方」、JAF Q&A |
| NG6 燃料が少ないまま行動する | 災害時に、ガソリンスタンドに行列ができたり在庫が不足したりするおそれ | 千葉県(満タン&灯油プラス1缶運動の紹介) |
📌 補足
「見物に行く」「強行突破する」といった行動は、自己判断の積み重ねが、重大な事故につながることを示しています。
2. NG1・NG3:水に近づかない
JAFは、実験をもとに、冠水路の危険を次のように示しています。
📊 JAFユーザーテスト「冠水路走行テスト」(2010年4月8日実施)より
| 水深 | 車種・速度(2010年実施) | 結果 |
|---|---|---|
| 30cm | セダン・SUV、時速10km / 30km | いずれも走行可。ただし、セダンは時速30kmでエンジンルームに多量の水が入った |
| 60cm | セダン・時速10km | 走行不可。31m地点でエンジンが停止(フロントガラスの下端まで水をかぶった) |
| 60cm | SUV・時速10km | 走行可 |
| 60cm | SUV・時速30km | 走行不可。10m地点でエンジンが停止 |
2024年10月のテスト(BEV・HV・ガソリン車の軽自動車)では、水深60cm・時速40kmで、HVはエンジンが停止し、ガソリン車は28.5m地点で停止して車内に水が大量に浸入しました。BEVは走り切れたものの、警告灯が点灯しました。JAFは、BEVもエンジンがないから安易に進入するのは危険と警告しています。
⚠️ 水深の「見た目」で判断しない
JAFは「冠水路に遭遇したら安易に進入せず、迂回しましょう」と案内しています。また、車が水没した場合のドアの開けにくさについて、東京消防庁は、水位がドアの半分程度に達するとドアが開かなくなり、外に出られなくなるおそれがあると案内しています。JAF Mateは、水深60cmでドアが重く開けられなくなると紹介しています。
- JAF ユーザーテスト 冠水路走行テスト(2010年実施)
- JAF ユーザーテスト 冠水路走行テスト(BEV・HV・ガソリン車、2024年実施)
- JAF 台風・大雨時のクルマに関する注意点
- 東京消防庁 台風・大雨に備えよう
3. NG4・NG5:風と雨の中の行動
📊 気象庁「風の強さと吹き方」「雨の強さと降り方」の抜粋
| 気象庁の目安 | 影響 |
|---|---|
| 平均風速20以上25未満(m/s) | 何かにつかまっていないと立っていられない。飛来物によって負傷するおそれ。看板が落下・飛散する。通常の速度で運転するのが困難 |
| 平均風速25以上30未満(m/s) | 屋外での行動は極めて危険。走行中のトラックが横転する |
| 1時間雨量20以上30未満(mm) | ワイパーを速くしても見づらい |
| 1時間雨量30以上50未満(mm) | 高速走行時、水膜が生じブレーキが効かなくなる(ハイドロプレーニング現象) |
| 1時間雨量50以上80未満(mm) | 水しぶきで視界が悪くなる。車の運転は危険 |
📊 JAF クルマ何でも質問箱より
| JAFの案内 | 内容 |
|---|---|
| 雨天時のスリップ事故を防ぐ | 最も重要なのは、スピードを出さないこと。車間距離を長めにとる。雨の降り始めは、路面のホコリや泥が浮き上がり、特に滑りやすい |
| 雨の日の事故 | 首都高速道路の調査で、雨天時の時間当たりの死傷事故件数は晴天時の約4倍、施設接触事故件数は約7倍 |
💡 ドアの開閉と、風の中の行動
強風時のドア開閉について、公的機関が示した具体的な基準は確認できませんでした。気象庁の目安のとおり、20m/s以上では飛来物で負傷するおそれがあるため、外に出る必要が生じたら、周囲の状況を確認し、手短に行動することが、一般的な安全上の考え方です。
4. 警戒レベルで「動かない判断」をする
台風のときは、天気だけでなく、避難に関する情報を確認しましょう。気象庁は、警戒レベルごとに、住民がとるべき行動を次のように示しています。
📊 気象庁「警戒レベルと防災気象情報」(確認日: 2026年9月25日)
| 警戒レベル | 名称 | とるべき行動(気象庁) |
|---|---|---|
| 5 | 緊急安全確保 | 命の危険が迫っているため、直ちに身の安全を確保する |
| 4 | 避難指示 | 自治体の避難指示に注意し、指示がなくても、キキクルや河川水位情報を用いて自ら避難の判断をする |
| 3 | 高齢者等避難 | 高齢者等以外の方も、普段の行動を見合わせ始めたり、避難の準備をしたり、自ら避難の判断をしたりする |
| 2 | 注意報 | ハザードマップ等で、災害が想定されている区域や避難先、避難経路を確認する |
| 1 | 早期注意情報 | 最新の防災気象情報等に留意し、災害への心構えを高める |
5. NG2・NG6:規制と燃料
📊 規制と燃料の考え方
| 項目 | 確認できた内容 | 考え方 |
|---|---|---|
| 通行止め・通行規制 | 規制の理由を示した公的な資料は、この記事では個別に確認できなかった | 規制の表示や係員の指示に従う。迂回が面倒でも、規制区間へは進入しない(一般的な安全上の考え方) |
| 燃料の備え | 「満タン&灯油プラス1缶運動」は、全国石油商業組合連合会と47都道府県石油組合が主導。災害時に、ガソリンスタンドの行列や在庫不足が懸念されるため、自動車は満タン、灯油は1缶余裕を持つことが目安。ガソリンスタンド周辺の大規模渋滞が、復旧支援活動を妨げるおそれも指摘されている | 台風の接近前に、燃料を満タンに近づけておく。日常的に、半分程度になったら給油する運用も考えられる |
📝 台風接近時の運転前チェックリスト
☑️ 気象庁の警戒レベルと、自治体の避難情報を確認した
☑️ 今の移動が、本当に必要か(延期できないか)を考えた
☑️ ルートに、アンダーパス・川沿い・海岸沿い・急傾斜地がないことを確認した
☑️ ルートに通行止めの情報がないか確認した(あれば迂回か、延期)
☑️ 燃料が十分にあることを確認した
☑️ 冠水路には進入しないと決めた
☑️ 危険を感じたら、安全な場所に停車し、行動を中止・変更する
6. よくある質問
📚 あわせて読みたい
まとめ
台風接近時のNG行動に共通するのは、「大丈夫だろう」という自己判断です。冠水路は、JAFが「安易に進入せず、迂回」と案内しています。気象庁の目安では、平均風速20m/sを超えると通常の速度での運転が困難になり、1時間50mm以上の雨では車の運転は危険です。警戒レベルと自治体の情報を確認し、危険を感じたら、行動を中止・変更する勇気を持ちましょう。
※本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。気象情報・避難情報は刻々と変わります。最新の情報は、気象庁・自治体・道路管理者の発表でご確認ください(確認日: 2026年9月25日)。


コメント