酒気帯びの呼気0.15mg/Lは何の基準?酒酔いとの違い、車を提供した人・酒類を提供した人・同乗者の罰則を道路交通法と施行令で確認【2026年11月】

※この記事で紹介している動画は、2026年11月28日(土)19:00に公開予定です。公開までは、記事の中の動画は再生できません。公開後に再生できるようになります。

歌いながら話す動画『酒気帯びの呼気0.15mg/Lは何の基準?酒酔いとの違い、車を提供した人・酒類を提供した人・同乗者の罰則を道路交通法と施行令で確認【2026年11月】』の解説記事です。動画で話した内容の出どころを、道路交通法(2026年7月21日施行の版)と同施行令(2026年9月1日の版)の現行の条文、警察庁・警視庁の公開ページで確認し直し、動画で触れきれなかった補足と、動画とは別の切り口(数字の置き場所・罰則がつく条件の仕分け・思い込みの検証・処分の決まり方)を加えました。

罰則・点数・処分を比べる表は、先に公開している飲酒運転の罰則とは?酒気帯びと酒酔いの違いを解説が中心です。この記事は、そこでは扱いきれなかった『第65条に数字がなく、数字は罰則の条文と施行令にあること』『周りの人の罰則がつく条件』『同乗の禁止から除かれる車』『処分の決まり方』に絞っています。

📋 この記事の要点

✔ 第65条第1項は「何人も、酒気を帯びて車両等を運転してはならない」で、この文にアルコールの数字は書かれていない。数字は、罰則の条文(第117条の2・第117条の2の2)と、施行令(第44条の3・別表第二)にある。

✔ 酒気帯び運転の罰則の区分は、呼気1Lにつき0.15mg(血液1mLにつき0.3mg)以上。酒酔い運転は、呼気0.5mg以上(血液1.0mg以上)、またはその他アルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある状態。酒酔いの数値基準は、令和8年7月21日施行の改正で加わった。罰則は、酒気帯びが3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金、酒酔いが5年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金。警察庁は、呼気0.15mg未満でも酒気を帯びて車両等を運転することは禁止されていると書いている。

✔ 点数は、酒気帯びが呼気0.25mg以上で25点、0.15mg以上0.25mg未満で13点、酒酔いが35点(施行令 別表第二)。この点数は、自動車と一般原動機付自転車(自動車等)の運転に関するもの。免許の処分は点数と前歴などで決まる。警察庁の表(前歴やほかの累積点数がない場合)では、13点は免許停止90日、25点は免許取消し・欠格期間2年、酒酔いは免許取消し・欠格期間3年。

✔ 車両等の提供・酒類の提供・同乗にも罰則があるが、どれも運転者が実際に運転した場合に限る。同乗は、運転者が酒気を帯びていると知りながら、運転して自分を運ぶことを要求し、または依頼して同乗した場合。営業中の旅客自動車運送事業の自動車(バスやタクシーなど)と代行運転自動車は、同乗の禁止から除かれる(施行令 第26条の2)。

✔ 飲んでからの時間や量の数字は、読んだ第65条にも罰則の条文にも見当たらなかった。警察庁は、分解の力には個人差がある、夜遅くまで飲酒した場合は翌朝にもアルコールが残っている可能性があるので車の運転は控えましょう、と書いている。この記事と動画は、時間や量の目安を示さない。

▶ YouTubeで見る(YouTube「くるまのかーぎーくん」)

1. 動画の内容(要約)

動画は、かーぎーくんの質問に解説役が答える『リズムトーク』と、章の頭・まとめの歌でできています。歌の歌詞には数字や条件を入れず(『飲んだら 運転は?』『運転する人も 周りの人も 条文で確かめよう』『飲んだら 運転しない』『周りの人も 確かめよう』など。画面の字幕は漢字交じり)、数字や条件は語りと画面の表で示しています。

飲酒運転の基準と周りの人の罰則を道路交通法と施行令で確認
図:この記事で確かめる内容(自作の図)
章 開始 内容 主な出どころ
イントロ 00:00 歌のフックと、4つのポイント(第65条の禁止・酒気帯びと酒酔いの数字・点数・周りの人の罰則) (各章の出どころ)
第65条の禁止 00:33 第65条第1項の原文。文にアルコールの数字がないこと。車両等には自転車も入ること 道路交通法 第2条・第65条・第117条の2の2
酒気帯びと酒酔いの数字 01:16 酒気帯びの罰則の区分(呼気0.15mg・血液0.3mg)、酒酔い(呼気0.5mg・血液1.0mg、その他正常な運転ができないおそれがある状態)、罰則、0.15未満でも禁止、時間の数字は見当たらない 道路交通法 第117条の2・第117条の2の2、同施行令 第44条の3、警察庁
点数と処分 03:26 点数13点・25点・35点。処分は点数と前歴などで決まる。警察庁の表(前歴などがない場合) 同施行令 別表第二・第38条・別表第三、警察庁
周りの人の罰則(使用者の決まりを含む) 04:26 車両等の提供・酒類の提供・同乗。どれも運転者が実際に運転した場合に限る。同乗の除外。仕事で車を使う使用者(第75条)にも一言触れた 道路交通法 第65条第2〜4項・第75条・第117条の2〜第117条の3の2、同施行令 第26条の2
まとめ 06:27 4つの確認と、条文は改正されることがあること (上記)
動画の歌詞は、数字や条件を含まない一般的な内容に限りました。条文の言い換えは大意で、原文は次の章で確認できます。

2. 動画で触れきれなかった補足

2-1. 第65条(酒気帯び運転等の禁止)の原文

条文の原文は次のとおりです(e-Gov法令検索で取得。施行日2026年7月21日の版。条文中の「」は、ここでは『』に直しました)。

📜 道路交通法 第65条第1項

「何人も、酒気を帯びて車両等を運転してはならない。」

📜 同 第2項(車両等の提供)

「何人も、酒気を帯びている者で、前項の規定に違反して車両等を運転することとなるおそれがあるものに対し、車両等を提供してはならない。」

📜 同 第3項(酒類の提供・飲酒をすすめること)

「何人も、第一項の規定に違反して車両等を運転することとなるおそれがある者に対し、酒類を提供し、又は飲酒をすすめてはならない。」

📜 同 第4項(同乗)

「何人も、車両(トロリーバス及び旅客自動車運送事業の用に供する自動車で当該業務に従事中のものその他の政令で定める自動車を除く。以下この項、第百十七条の二の二第一項第六号及び第百十七条の三の二第三号において同じ。)の運転者が酒気を帯びていることを知りながら、当該運転者に対し、当該車両を運転して自己を運送することを要求し、又は依頼して、当該運転者が第一項の規定に違反して運転する車両に同乗してはならない。」

第1項から第4項の本文に、アルコールの数字は書かれていません。第65条の見出しは「酒気帯び運転等の禁止」ですが、第1項の文は「酒気を帯びて」と書くだけで、何ミリグラムから、という数字の定義は第65条の中にありません。数字が出てくるのは、次の2-3の罰則の条文と、施行令です。

2-2. 「車両等」の範囲(第2条)

用語 条文の定義(第2条第1項) 出どころ
車両 「自動車、原動機付自転車、軽車両及びトロリーバスをいう。」 第8号
軽車両(大意) 自転車、荷車などで、人や動物の力で、または他の車両にけん引されて、レールによらないで運転する車(小児用の車などを除く) 第11号イ(原文は長いので大意)
運転(車両等の定義を含む) 「道路において、車両又は路面電車(以下『車両等』という。)をその本来の用い方に従つて用いること(原動機に加えてペダルその他の人の力により走行させることができる装置を備えている自動車又は原動機付自転車にあつては当該装置を用いて走行させる場合を含み、特定自動運行を行う場合を除く。)をいう。」 第17号

第17号が「車両又は路面電車(以下「車両等」という。)」と定めるので、車両等は、車両と路面電車を合わせたものです。軽車両には自転車が入るため、第65条第1項の『車両等』には自転車も含まれます。

一方、酒気帯び運転の罰則を定める第117条の2の2第1項第3号は、「車両等(自転車以外の軽車両を除く。次号において同じ。)」と書いて、荷車などの自転車以外の軽車両を除いています(酒酔い運転の第117条の2第1項第1号には、この除外のかっこは書かれていません)。

2-3. 酒酔い・酒気帯びの罰則の条文と、施行令の数字

📜 道路交通法 第117条の2第1項第1号(酒酔い運転。5年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金)

「第六十五条(酒気帯び運転等の禁止)第一項の規定に違反して車両等を運転した者で、その運転をした場合において酒に酔つた状態(身体に血液一ミリリットルにつき一・〇ミリグラム以上又は呼気一リットルにつき〇・五ミリグラム以上のアルコールを保有する状態その他アルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある状態をいう。以下同じ。)にあつたもの」

📜 同 第117条の2の2第1項第3号(酒気帯び運転。3年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金)

「第六十五条(酒気帯び運転等の禁止)第一項の規定に違反して車両等(自転車以外の軽車両を除く。次号において同じ。)を運転した者で、その運転をした場合において身体に血液一ミリリットルにつき一・〇ミリグラム未満の範囲内又は呼気一リットルにつき〇・五ミリグラム未満の範囲内において政令で定める程度以上にアルコールを保有する状態にあつたもの」

📜 道路交通法施行令 第44条の3(アルコールの程度)

「法第百十七条の二の二第一項第三号の政令で定める身体に保有するアルコールの程度は、血液一ミリリットルにつき〇・三ミリグラム又は呼気一リットルにつき〇・一五ミリグラムとする。」

区分 呼気1Lにつき 血液1mLにつき 出どころ
酒気帯び運転の罰則の区分の下限 0.15mg 0.3mg 施行令 第44条の3(法第117条の2の2第1項第3号の「政令で定める程度」)
酒気帯び運転の罰則の範囲の上限 0.5mg未満 1.0mg未満 法 第117条の2の2第1項第3号
酒酔い運転の数値基準 0.5mg以上 1.0mg以上 法 第117条の2第1項第1号(その他アルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある状態でも酒酔い)
点数の区切り(酒気帯び25点) 0.25mg以上 0.5mg以上 施行令 別表第二 備考二の2
呼気中アルコール濃度の0.15・0.25・0.5mg/Lの区切りと点数・罰則を一本の線で示した図
図:呼気1Lにつきの数字の区切り(線の長さは数値に比例した模式図。自作の図)

警察庁のページ(みんなで守る「飲酒運転を絶対にしない、させない」)は、酒気帯び運転の要件を呼気中アルコール濃度0.15mg/l以上と書き、「酒気を帯びて車両等を運転することは法律で禁止されています」と続けています(「0.15mg/l」未満の場合についての注記)。警視庁のページ(更新日2026年7月24日)も、酒気帯びを呼気0.15mg以上0.5mg未満(血液0.3mg以上1.0mg未満)、酒酔いを呼気0.5mg以上(血液1.0mg以上)またはその他アルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある状態、と書いています。

2-4. 点数(施行令 別表第二)

違反の種別(別表第二の名称) 状態 基礎点数
酒気帯び運転(0.25以上) 法第65条第1項違反のうち、血液1mLにつき0.5mg以上または呼気1Lにつき0.25mg以上のアルコールを保有する状態で運転(備考二の2) 25点
酒気帯び運転(0.25未満) 法第65条第1項違反のうち、施行令第44条の3に定める程度以上で、上の状態を除くもの(備考二の10) 13点
酒酔い運転(特定違反行為の表) 法第117条の2第1項第1号の罪に当たる行為(自動車等の運転に関し行われたものに限る。)(備考二の129) 35点

この点数の表は、自動車と一般原動機付自転車の運転に関するものです。施行令第33条の2第1項第1号は、一般違反行為を次のように定義しています(別表第二の一の表の上欄に掲げる違反行為がこの『一般違反行為』です)。

📜 道路交通法施行令 第33条の2第1項第1号(一般違反行為の定義。部分)

「自動車又は一般原動機付自転車(以下『自動車等』という。)の運転に関し法若しくは法に基づく命令の規定又は法の規定に基づく処分に違反する行為で別表第二の一の表の上欄に掲げるもの」

酒酔い運転の定義(備考二の129)にも『自動車等の運転に関し行われたものに限る』と書かれています。免許の取消しを定める法第103条第2項第3号も、『自動車等の運転に関し』第117条の2第1項第1号などの違反行為をしたとき、と書いています。自転車の運転の点数や処分は、この記事では読んでいません。

施行令の語は『一般原動機付自転車』で、施行令は、これを法第18条第1項に規定する一般原動機付自転車と書いています。法第18条第1項は、一般原動機付自転車を、原動機付自転車のうち第2条第1項第10号イに該当するものと定めています。特定小型原動機付自転車は、法第17条第3項が「原動機付自転車のうち第二条第一項第十号ロに該当するものをいう」と定める別の語で、第33条の2の定義の語には入っていません。特定小型原動機付自転車の運転の点数や免許の処分も、この記事では読んでいません(法第108条の3の5は、特定小型原動機付自転車(第1項)と自転車(第2項)の危険行為を反復した人への講習の受講命令を、別の制度として定めています)。

別表第二の一の表・二の表・備考を全文で検索すると、車両等の提供・酒類の提供・同乗を種別とする行は見当たりませんでした(「提供」「同乗」「酒類」の語が0件)。運転者以外の人の行政処分の根拠条文は、この記事では読んでいません(2-9の警視庁の事例を参照)。

2-5. 罰則の全パターン(運転した人・車両等を提供した人・酒類を提供した人・同乗した人)

罰則は、第65条の項ごとに、運転者の状態に応じて2つの条文に分かれています。表の『酒気帯びの程度』は、第117条の2の2第1項第3号の『政令で定める程度以上』(施行令第44条の3。呼気0.15mg以上など)の意味です。

立場(禁止の条文) 罰則の条文 罰則がつく条件(条文の「限る」) 罰則
運転した人(第65条第1項) 第117条の2第1項第1号 酒に酔った状態で運転した 5年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金
運転した人(同) 第117条の2の2第1項第3号 酒気帯びの程度で運転した(車両等は自転車以外の軽車両を除く) 3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金
車両等を提供した人(第65条第2項) 第117条の2第1項第2号 提供を受けた人が、酒に酔った状態で運転した場合に限る 5年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金
同(第2項) 第117条の2の2第1項第4号 提供を受けた人が、酒気帯びの程度で運転した場合に限る(前の行の場合を除く) 3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金
酒類を提供した人(第65条第3項) 第117条の2の2第1項第5号 酒類の提供を受けた人が、酒に酔った状態で運転した場合に限る 3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金
同(第3項) 第117条の3の2第2号 酒類の提供を受けた人が、酒気帯びの程度で運転した場合に限る(前の行の場合を除く。自転車以外の軽車両を除く) 2年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金
同乗した人(第65条第4項) 第117条の2の2第1項第6号 運転者が酒に酔った状態にあることを知りながら同乗し、運転者が酒に酔った状態で運転したときに限る 3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金
同(第4項) 第117条の3の2第3号 同乗した車両の運転者が、酒に酔った状態、または酒気帯びの程度で運転した場合に限る(前の行の場合を除く。自転車以外の軽車両を除く) 2年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金

車両等を提供した人の第117条の2の2第1項第4号は『車両等』の語だけを使っていますが、第3号のかっこ書き(自転車以外の軽車両を除く。次号において同じ。)が次号(第4号)にも及ぶので、第4号でも自転車以外の軽車両は除かれます。

第65条第3項の禁止の文は『酒類を提供し、又は飲酒をすすめてはならない』ですが、罰則の条文(第117条の2の2第1項第5号・第117条の3の2第2号)の文は『酒類を提供した者』と書いています。『飲酒をすすめる』行為に罰則が及ぶかどうかは、読んだ条文だけでは判断できませんでした(この記事は判断を示しません)。

車両等を提供した人・酒類を提供した人・同乗した人の罰則と、運転者が実際に運転した場合に限る条件の図
図:車両等の提供・酒類の提供・同乗の罰則と条件(使用者の決まりは2-8。自作の図)

2-6. 同乗の禁止から除かれる車(施行令 第26条の2)

📜 道路交通法施行令 第26条の2(同乗の禁止の対象とならない自動車)

「法第六十四条第三項及び第六十五条第四項の政令で定める自動車は、次に掲げる自動車とする。」
一 「道路運送法第二条第三項に規定する旅客自動車運送事業(以下『旅客自動車運送事業』という。)の用に供する自動車で当該業務に従事中のもの」
二 「自動車運転代行業の業務の適正化に関する法律(平成十三年法律第五十七号)第二条第六項に規定する代行運転自動車」

除かれる車 定義の出どころ 読んだ範囲
旅客自動車運送事業の用に供する自動車で、当該業務に従事中のもの 道路運送法 第2条第3項・第3条 「旅客自動車運送事業」は、他人の需要に応じ、有償で、自動車を使用して旅客を運送する事業で、一般乗合・一般貸切・一般乗用の各旅客自動車運送事業と、特定旅客自動車運送事業。バスやタクシーは、この事業の例(条文は「バス」「タクシー」の語を使わず、この区分で書く)
代行運転自動車 自動車運転代行業の業務の適正化に関する法律 第2条第6項 自動車運転代行業を営む者による代行運転役務の対象となっている自動車

第65条第4項の本文にも、「トロリーバス及び旅客自動車運送事業の用に供する自動車で当該業務に従事中のものその他の政令で定める自動車」は、禁止の対象の車両から除くというかっこ書きがあります。

2-7. 呼気検査(第67条第3項)と、拒んだ場合の罰則

📜 道路交通法 第67条第3項

「車両等に乗車し、又は乗車しようとしている者が第六十五条第一項の規定に違反して車両等を運転するおそれがあると認められるときは、警察官は、次項の規定による措置に関し、その者が身体に保有しているアルコールの程度について調査するため、政令で定めるところにより、その者の呼気の検査をすることができる。」

📜 同 第118条の2

「第六十七条(危険防止の措置)第三項の規定による警察官の検査を拒み、又は妨げた者は、三月以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処する。」

検査の方法は、施行令第26条の2の2が定めています(大意:検査を受ける人に呼気を風船やアルコールを検知する機器に吹き込ませる)。この記事は、検査の細かい手順には触れません。

2-8. 仕事で車を使う場合(使用者の義務と安全運転管理者)

動画の4つ目のポイントで見た提供・酒類提供・同乗のほかに、仕事で自動車を使う使用者についての決まりがあります。第75条第1項は、自動車の使用者(安全運転管理者等を含む)は、その業務に関し、運転者に次の各号の行為をすることを命じ、または運転者がこれらの行為をすることを容認してはならない、と書き、その第3号が第65条第1項違反の運転です。

📜 道路交通法 第75条第1項第3号

「第六十五条第一項の規定に違反して自動車を運転すること。」

罰則の条文 罰則 条文の条件
第117条の2第2項第1号 5年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金 「第七十五条(自動車の使用者の義務等)第一項第三号の規定に違反して、酒に酔つた状態で自動車を運転することを命じ、又は容認したとき。」
第117条の2の2第2項第2号 3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金 「第七十五条(自動車の使用者の義務等)第一項第三号の規定に違反したとき(当該違反により運転者が酒に酔つた状態で自動車を運転し、又は身体に前項第三号の政令で定める程度以上にアルコールを保有する状態で自動車を運転した場合に限るものとし、前条第二項第一号に該当する場合を除く。)。」

どちらも対象は「自動車」で、車両等(自転車を含む)ではありません。2つ目の条文は、運転者が実際に酒に酔った状態、または酒気帯びの程度で自動車を運転した場合に限り、1つ目の条文に当たる場合は除かれます。この記事は、使用者の義務の細かい解釈には触れていません。

警察庁のページ(安全運転管理者の業務の拡充等)によると、令和3年の道路交通法施行規則の改正で、安全運転管理者は、目視等による運転者の酒気帯びの確認と、その内容を記録して1年間保存することが義務づけられ(令和4年4月1日施行)、アルコール検知器を用いた確認と記録の保存、検知器の常時有効な保持は、令和5年12月1日から施行されています。令和4年の道路交通法の改正で、安全運転管理者の選任義務違反の罰則は、5万円以下の罰金から50万円以下の罰金に引き上げられました(令和4年10月1日施行)。

2-9. 警視庁のページにある、運転者以外の人の行政処分の事例

警視庁の「飲酒運転の罰則等」(更新日2026年7月24日)には、「飲酒運転周辺者に対する行政処分の事例」として、次の2つが書かれています。事例であって、一般的な基準ではありません。

事例 警視庁のページの記載(大意)
事例1 知人が酒を飲んでいることを知りながら、車の助手席に乗り込み、二次会の場所まで送るように依頼して同乗した人が、同乗罪で2年間の運転免許取消し(東京都葛飾区)
事例2 飲食店を経営する店主が、客が車で来店しているのを知りながら、店内で日本酒、ビールなどを提供し、酒類提供罪として2年間の運転免許取消し(東京都調布市)

この記事では、運転者以外の人の免許の処分の根拠条文と基準までは読んでいません。個別の判断は、警察などの公的な案内で確認してください。

2-10. 確認できなかったこと・使わなかったこと

項目 扱い
飲んでからの時間・量の数字 読んだ第65条・第117条の2・第117条の2の2・第117条の3の2の文に見当たらない。警察庁のリーフレットは、分解の能力には個人差があるため目安であることを断ったうえで、量の目安を載せているが、この記事は量や時間の目安を示さない。警察庁のページには「夜遅くまで飲酒した場合、翌朝には体内にアルコールが残っている可能性がありますので、車の運転は控えましょう」ともある
厚生労働省 e-ヘルスネット(分解時間) ページに接続できず確認できなかった。分解時間の数字は使っていない
取締り件数・事故の統計 警察庁の資料の行の対応を確認できなかったため使っていない
酒酔い運転の処分の区分の読み切り 特定違反行為の別の表(別表第三の二の表)と第103条第2項第3号が関わるが、読み切っていない。警察庁・警視庁の表の記載(前歴及びその他の累積点数がない場合)だけを使った
自転車・特定小型原動機付自転車の運転の点数と免許の処分 読んでいない。法第108条の3の5(第1項が特定小型原動機付自転車、第2項が自転車)は、危険行為を反復した人への講習の受講命令を定める別の制度で、その細かい要件も読んでいない
運転者以外の人の行政処分の根拠 警視庁のページの事例だけ。根拠条文・基準は読んでいない
判例・通達(「酒気を帯びて」の解釈) 読んでいない。第65条第1項の文に数字の定義はない、という条文の範囲だけを言っている

3. 違った観点から整理する

3-1. 立場別:何が禁じられ、罰則はどんな条件でつくか

立場 条文が禁じていること 罰則がつく条件 見たところ
運転する人 酒気を帯びて車両等を運転すること(第65条第1項) 酒酔い、または酒気帯びの程度(呼気0.15mg以上など)で運転した 動画 00:33・01:16・03:26
車を提供する人 酒気を帯びていて、運転するおそれがある人に、車両等を提供すること(第65条第2項) 提供を受けた人が、実際に酒酔い・酒気帯びの程度で運転した 動画 04:26
お酒を出す人 運転するおそれがある人に、酒類を提供し、または飲酒をすすめること(第65条第3項) 罰則の条文は『酒類を提供した者』。提供を受けた人が、実際に酒酔い・酒気帯びの程度で運転した 動画 04:26
同乗する人 運転者が酒気を帯びていると知りながら、運転して自分を運ぶことを要求し、または依頼して同乗すること(第65条第4項) 運転者が、実際に酒酔い・酒気帯びの程度で運転した(3年の区分は、酒に酔った状態にあると知りながら同乗した場合) 動画 04:26
仕事で車を使う使用者(安全運転管理者等を含む) 業務に関し、運転者に、酒気を帯びての自動車の運転を命じ、または容認すること(第75条第1項第3号) 酒酔いで運転することを命じ・容認したなら第117条の2第2項第1号。運転者が実際に酒酔い・酒気帯びの程度で運転した場合は第117条の2の2第2項第2号(自動車が対象) 動画 04:26
営業中のバス・タクシーなど、運転代行の車に乗る人 第65条第4項の同乗の禁止から、旅客自動車運送事業の自動車で業務に従事中のものと、代行運転自動車が除かれる(施行令 第26条の2) (除かれる車への同乗は、第65条第4項の対象外) 動画 04:26

3-2. 数字の置き場所を整理する

『呼気0.15mgは何の基準か』という疑問は、数字がどの条文にあるかを見ると整理できます。第65条の禁止の文に数字はなく、酒気帯びの罰則を定める第117条の2の2第1項第3号が『政令で定める程度以上』と書き、その程度を施行令第44条の3が決めています。点数の区切りの0.25mgは、別表第二の備考にあります。酒酔いの0.5mg・1.0mgは、罰則の条文(第117条の2第1項第1号)の中にあります。

数字が第65条にはなく、罰則の条文と施行令にあることを示した図
図:数字の置き場所(自作の図)

3-3. よくある思い込みを、条文で検証する

よく聞く説 読んだ条文・資料での確認 結論
呼気0.15mg/L未満なら、運転しても問題ない 第65条第1項は数字を書かず「酒気を帯びて」運転することを禁じる。警察庁は、0.15mg/l未満でも酒気を帯びて車両等を運転することは禁止されていると書く 言えない。0.15は、酒気帯びの罰則の区分に使われる数字
ビール1杯なら大丈夫・何時間あければ大丈夫 読んだ第65条・罰則の条文に、飲んだ量や時間の数字は見当たらない。警察庁は、分解の力には個人差がある、夜遅くまで飲酒した場合は翌朝にも体内にアルコールが残っている可能性があるので車の運転は控えましょう、と書く 数字では言えない(この記事は目安を示さない)。時間の数字が見当たらないことは、あけなくてよいという意味ではない
酒酔いは、数字だけで決まる 呼気0.5mg以上・血液1.0mg以上のほか、その他アルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある状態も酒酔い(第117条の2第1項第1号)。警察庁は、0.5mg/l未満でも、そう認定されれば酒酔いと書く 言えない
酒気帯びなら、必ず免許取消し 警察庁の表(前歴などがない場合)で、13点は免許停止90日。処分は点数と前歴で決まる(施行令 第38条・別表第三) 必ずとは言えない
同乗しただけで処罰される 第65条第4項は、運転者が酒気を帯びていると知りながら、運転して自分を運ぶことを要求し、または依頼して同乗した場合。罰則は、運転者が実際に運転した場合に限る 言えない
お酒を出す側は、相手が運転しなくても罰則がある 罰則の条文(第117条の2の2第1項第5号・第117条の3の2第2号)は、酒類の提供を受けた人が運転した場合に限ると書く 罰則の条文には「限る」がある
自転車にも、この点数がつく 点数の表(別表第二の一般違反行為)は、自動車又は一般原動機付自転車の運転に関するもの(施行令 第33条の2)。自転車の運転の点数は、この記事では読んでいない この表だけでは言えない(自動車等の運転に関する表)
自転車なら、飲酒運転にならない 軽車両に自転車が入り、車両等に軽車両が入る。酒気帯びの罰則は「自転車以外の軽車両を除く」と書いて、自転車は除かれていない 言えない

3-4. 処分は、点数と前歴で決まる(別表第三)

免許の取消し・停止の基準は、施行令第38条と別表第三にあります(自動車と一般原動機付自転車の運転に関する一般違反行為の点数が対象です)。第38条第5項は、一般違反行為の累積点数が別表第三の一の表の第2〜6欄に当たるときは免許を取り消し、第7欄に当たるときは免許の効力を停止する、と定めます。同じ13点でも、前歴の回数で、どの欄に当たるかが変わります。

前歴 第6欄(取消しの区分の下のほう) 第7欄(停止の区分) 13点が当たる欄
前歴がない者 15点から24点まで 6点から14点まで 第7欄(停止の区分)
前歴が1回である者 10点から19点まで 4点から9点まで 第6欄(取消しの区分)
前歴が2回である者 5点から14点まで 2点から4点まで 第6欄(取消しの区分)
前歴が3回以上である者 4点から9点まで 2点又は3点 第5欄(取消しの区分)(10点から19点まで)

上の表は、別表第三の一の表(一般違反行為)の、累積点数だけで見た区分です。前歴の数え方(過去3年以内の処分など)や、点数を足す仕組みは、別表第三の備考などにあり、この記事では読み切っていません。警察庁・警視庁の表の『免許停止90日』『欠格期間2年』『欠格期間3年』は、前歴及びその他の累積点数がない場合の例で、前歴や累積点数があるときは、処分は変わりえます。酒酔い運転(35点)は特定違反行為の別の表(別表第三の二の表)で、第103条第2項第3号(第117条の2第1項第1号の違反行為)も関わりますが、読み切っていません。詳しい処分の手続きは、免許取り消し・停止処分からの再取得手続き完全ガイドや、車検切れで走るとどうなる?(免許6点の処分を前歴別に整理)も参考になります。

酒気帯び13点・25点と酒酔い35点の点数と、警察庁の表の処分(前歴などがない場合)
図:点数と処分の見方(自作の図)

3-5. 令和8年7月21日施行の改正で、酒酔いに数値基準が加わった

酒酔い運転の要件 酒気帯び運転の要件
改正前 アルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある状態(数値基準なし) 呼気中アルコール濃度0.15mg/l以上
改正後(令和8年7月21日施行) 呼気中アルコール濃度0.5mg/l以上、またはアルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある状態 変更なし

出どころは、警察庁のリーフレット(令和8年7月21日施行 道路交通法改正)と、e-Govの現行の条文(第117条の2第1項第1号)です。警察庁のページには、そこで紹介している警察庁のYouTube動画2本に出てくる「危険運転致死傷罪」と「酒酔い運転」の要件は法改正前の要件で、法改正後の内容に修正作業中、という注記があります(2026年10月27日取得時点)。古い要件で書かれた解説には、数値基準が書かれていないことがあります。

4. よくある質問

Q. 酒気帯び運転の呼気0.15mg/Lは、『ここまでなら運転してよい』という基準ですか?

A. 違います。第65条第1項は「酒気を帯びて」運転することを禁じ、その文に数字は書かれていません。0.15は、酒気帯びの罰則を定める第117条の2の2第1項第3号が「政令で定める程度以上」と書き、施行令第44条の3が決めている数字です。警察庁のページは、0.15mg/l未満でも酒気を帯びて車両等を運転することは法律で禁止されていると書いています。

Q. 酒酔い運転は、数字だけで決まりますか?

A. いいえ。令和8年7月21日施行の改正で、呼気0.5mg以上(血液1.0mg以上)という数値基準が加わりましたが、そのほか、アルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある状態も酒酔いです(第117条の2第1項第1号)。数字に届かなくても、そう認定されれば酒酔いになる、と警察庁は書いています。

Q. 同乗しただけでも罰則がありますか?

A. 第65条第4項は、運転者が酒気を帯びていると知りながら、その運転者に運転して自分を運ぶことを要求し、または依頼して同乗することを禁じています。罰則は、運転者が実際に酒酔い・酒気帯びの程度で運転した場合に限られ、3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金の区分は、同乗した人が、運転者が酒に酔った状態にあると知りながら同乗した場合です。営業中のバスやタクシーなどの旅客自動車運送事業の自動車と、代行運転自動車は、同乗の禁止から除かれます。

Q. お酒を出した人には、どんな場合に罰則がありますか?

A. 罰則の条文(第117条の2の2第1項第5号・第117条の3の2第2号)は、酒類を提供した者のうち、酒類の提供を受けた人が運転した場合に限ると書いています。酒に酔った状態で運転したなら3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金、酒気帯びの程度なら2年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金です。個別の場面での判断は、警察などの公的な案内で確認してください。

Q. 飲んだ翌朝に運転してよい時間の目安はありますか?

A. 読んだ第65条にも罰則の条文にも、飲んでからの時間の数字は見当たりませんでした。警察庁のリーフレットは、アルコールの分解能力には個人差があると書き、警察庁のページは、夜遅くまで飲酒した場合、翌朝には体内にアルコールが残っている可能性があるので、車の運転は控えましょう、と書いています。時間の数字が見当たらないことは、あけなくてよいという意味ではありません。この記事は、時間や量の目安は示しません。

5. あわせて読みたい・まとめ・出典

あわせて読みたい

▶ 飲酒運転の罰則とは?酒気帯びと酒酔いの違いを解説(罰則・点数・処分の比較表)

▶ 免許取り消し・停止処分からの再取得手続き完全ガイド(処分を受けたあとの手続き)

▶ 車検切れで走るとどうなる?無車検運行の罰則と免許6点の処分(前歴別)(前歴別の処分の見方)

まとめ

ポイント 確認したこと
1. 第65条の禁止 第1項は「何人も、酒気を帯びて車両等を運転してはならない」。この文に、アルコールの数字は書かれていない
2. 酒気帯びと酒酔いの数字 酒気帯びの罰則の区分は呼気0.15mg以上(施行令)。酒酔いは呼気0.5mg以上、または正常な運転ができないおそれがある状態。罰則は3年以下・50万円以下と、5年以下・100万円以下
3. 点数 自動車と一般原動機付自転車の運転で、酒気帯びが13点と25点、酒酔いが35点。処分は点数と前歴などで決まる
4. 周りの人の罰則 車両等の提供・酒類の提供・同乗にも罰則があるが、どれも運転者が実際に運転した場合に限る。同乗の禁止から除かれる車がある。仕事で車を使う使用者の決まり(第75条)は、別の条文
条文・点数・処分は改正されることがあります。この記事は2026年10月27日時点の、道路交通法(2026年7月21日施行の版)・同施行令(2026年9月1日の版)に基づく解説で、個別の判断は、最新の条文や警察などの公的な案内で確認してください。

免責・出典

この記事は、法律の解釈や個別の事案への助言を目的としたものではありません。条文の言い換えは大意で、原文は上の囲みにあります。確認日は2026年10月27日です。

🔗 道路交通法(e-Gov法令検索。施行日2026年7月21日)

🔗 道路交通法施行令(e-Gov法令検索。施行日2026年9月1日)

🔗 警察庁「みんなで守る「飲酒運転を絶対にしない、させない」」

🔗 警察庁『令和8年7月21日施行 道路交通法改正リーフレット』(PDF)

🔗 警察庁「安全運転管理者の業務の拡充等」

🔗 警視庁「飲酒運転の罰則等」(更新日2026年7月24日)

🔗 道路運送法(e-Gov法令検索)

🔗 自動車運転代行業の業務の適正化に関する法律(e-Gov法令検索)

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