高速道路で後ろから車間を詰められたり、執拗にパッシングされたりしたとき、「どこに止まればいいのか」「走行中に110番してよいのか」と迷う方は多いのではないでしょうか。
この記事では、ショート動画「高速道路であおられたら、避難先はどこ?対処の3択クイズ」で扱った3問の答えの根拠を、警察庁、政府広報オンライン、NEXCO中日本、JAF・JAF Mateの案内と、道路交通法の現行条文(e-Gov法令検索)で確かめ直し、動画では触れられなかった高速道路での停車の条文や妨害運転罪の最新の罰則(2026年10月時点)も加えてまとめます。
📋 この記事の要点
✔ 避難先として案内されているのはSA・PAなどの安全な場所(警察庁・政府広報・NEXCO中日本・JAF)。JAFは「車線上や路側帯に停車すると、後続車に追突される危険がある」と理由を説明している
✔ 高速自動車国道等での停車・駐車は原則禁止(道路交通法第75条の8)。故障などでやむを得ない場合に十分な幅の路肩・路側帯へ停める例外はあるが、あおり運転を受けた場合がこれに当たるかを明記した公的資料は確認できなかった
✔ 避難したらドアをロックし、車外に出ず、110番。運転中に手で保持して通話するのは禁止(第71条第5号の5)なので、同乗者に頼むか、ひとりならSA・PAなどに停めてから通報
✔ 妨害運転罪は3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金(第117条の2の2第1項第8号)、妨害運転の罪を犯し、高速自動車国道等で他の自動車を停止させ、その他道路における著しい交通の危険を生じさせた場合は5年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金(第117条の2第1項第4号)。違反点数は25点・35点で、免許取消し
✔ 対象の違反類型は2026年4月1日から11類型(自転車等の右側を通過するときの通行方法の違反が追加。警察庁)。JAFなどの旧ページにある「10類型」は古い
🎬 動画で見る(ショート)
この記事の元になった、かーぎーくんのショート動画です。動画では触れられなかった詳しい内容や条文・公式情報は、このあと記事で確認できます。
▶ YouTubeで見る(YouTube「くるまのかーぎーくん」)
📑 目次
1. クイズ3問の答えと根拠
動画の3問を、根拠の出典とあわせて整理します。いずれも2026年10月に公式ページを開いて確認しました。
📊 動画のクイズ3問の答えと出典
| 問 | 答え | 根拠(出典) |
|---|---|---|
| 第1問 あおり運転を受けた。正しい対応は? |
C 避難して110番 (急ブレーキで止める・加速して振り切るは不正解) |
JAF:人目の多い安全な場所へ避難し、ドアをロックして110番。JAF Mate:急ブレーキや急加速は非常に危険で、スピードを上げて逃げたりしない |
| 第2問 高速道路であおられた。避難先は? |
A サービスエリアなど | 警察庁:SA・PA等、交通事故に遭わない場所に避難。JAF:車線上や路側帯に停車すると後続車に追突される危険がある |
| 第3問 走行中に通報したい。同乗者がいたら? |
B 同乗者に頼む | JAF:同乗者がいれば、走行中でも通報を頼む。JAF Mate:運転者が携帯電話を使うのは道路交通法違反。ひとりならSA・PAなど安全な場所に停めてから通報 |
警察庁は、妨害運転を受けるなどした場合は、サービスエリアやパーキングエリア等の交通事故に遭わない場所へ避難し、車外に出ず、ためらわずに110番通報するよう案内しています。
2. 避難先はなぜSA・PA?各機関の案内を比べる

避難先の書き方は、資料ごとに少しずつ違います。語のちがいをそのまま並べると次のとおりです。
📊 避難先についての各機関の書き方
| 資料 | 避難先の書き方 | 止まってはいけない・避けたい場所 |
|---|---|---|
| 警察庁 | サービスエリアやパーキングエリア等、交通事故に遭わない場所 | (記載なし) |
| 政府広報オンライン(取材協力:警察庁) | サービスエリアやパーキングエリア(PA)などの安全な場所。人目のある駐車場やPA等へ移動 | 事故の危険があるため、道路上には停車しないようにする |
| NEXCO中日本 | サービスエリアなどの安全な場所に避難し、ためらうことなく110番 | (記載なし) |
| JAF | 高速道路ではサービスエリア(SA)やパーキングエリア(PA)などの休憩施設 | 車線上や路側帯に停車すると、後続車に追突される危険がある |
| JAF Mate | あおりが続く場合は、パーキングエリアやサービスエリアへの避難を検討。無理に速度を上げて逃げない | トンネルや橋の上は路肩がなく、無理な車線変更は危険。無理に路肩に寄ったり、危険な場所で譲る行為は避ける |
政府広報オンラインは、あおり運転を受けた車が高速道路上で停止させられ、後ろから来た車に追突されて、乗っていた人が死傷する事故も発生していると紹介しています。「止まる場所」が命にかかわる、というのが各機関の共通した考え方です。
避難の前にできること(JAF Mate)
JAF Mateは、高速道路であおられたときの基本として、次の点を挙げています。
| 場面 | JAF Mateの案内 |
|---|---|
| 速度 | 急ブレーキや急加速は避け、速度を一定に保つ。相手を刺激しない |
| 追越車線にいるとき | 安全なタイミングで走行車線に移り、相手を先に行かせる。無理な移動はしない |
| トンネル・橋 | 路肩がなくスペースが限られるため、無理に車線変更せず、走行車線で一定の速度を保って通り過ぎるのを待つ |
| あおりが続くとき | 無理に逃げず、警察やパトロールカーが到着するまでSA・PAに避難することを検討 |
3. 高速道路で停まってよい場所は?第75条の8を読む
高速道路(高速自動車国道と自動車専用道路。条文では「高速自動車国道等」)での停車・駐車は、道路交通法第75条の8で原則禁止されています。条文は次のとおりです(現行条文・e-Gov、一部抜粋)。
📜 道路交通法 第75条の8第1項(条文の抜粋)
自動車は、高速自動車国道等においては、法令の規定若しくは警察官の命令により、又は危険を防止するため一時停止する場合のほか、停車し、又は駐車してはならない。ただし、次の各号のいずれかに掲げる場合においては、この限りでない。
一 駐車の用に供するため区画された場所において停車し、又は駐車するとき。
二 故障その他の理由により停車し、又は駐車することがやむを得ない場合において、停車又は駐車のため十分な幅員がある路肩又は路側帯に停車し、又は駐車するとき。
(第三号・第四号は、乗合自動車の停留所での停車と、料金所での停車)
ポイントは3つです。
| ポイント | 内容 |
|---|---|
| 原則 | 高速自動車国道等では、停車も駐車も禁止。例外として、警察官の命令や危険を防止するための一時停止などがある |
| 路肩・路側帯の例外 | 「故障その他の理由」で停車が「やむを得ない場合」に、「十分な幅員がある」路肩または路側帯に限って認められる。条文は「路肩又は路側帯」と並べて書いており、JAFは「路側帯」、JAF Mateは「路肩」と書いている |
| あおり運転のとき | 条文の「その他の理由」に、あおり運転を受けた場合が含まれるかを明記した公的資料は、今回確認できなかった |
また、あおる側が高速道路でむやみに駐停車する行為そのものが、妨害運転の類型のひとつ(第75条の8第1項の違反となるような行為)になっています(第5節)。
故障などで本線車道や路肩・路側帯で運転できなくなったときは、第75条の11で、停止していることを表示する義務(停止表示器材など)があります。こちらは別の記事で詳しくまとめています。
4. 110番のしかた:運転中の通話と伝える情報
通報の前に押さえたいのが、運転中の携帯電話の扱いです。道路交通法第71条第5号の5は、次のように定めています(一部省略)。
📜 道路交通法 第71条第5号の5(条文の抜粋・一部省略)
自動車、原動機付自転車又は自転車を運転する場合においては、当該自動車等が停止しているときを除き、携帯電話用装置その他の無線通話装置(その全部又は一部を手で保持しなければ送信及び受信のいずれをも行うことができないものに限る。)を通話(傷病者の救護又は公共の安全の維持のため当該自動車等の走行中に緊急やむを得ずに行うものを除く。)のために使用し、又は当該自動車等に取り付けられ若しくは持ち込まれた画像表示用装置に表示された画像を注視しないこと。
| 場面 | JAF・JAF Mate・政府広報の案内 |
|---|---|
| 同乗者がいる | 同乗者が110番通報する。走行中でも、同乗者に頼む |
| ひとりで運転している | SA・PAなど安全な場所に停めてから通報する |
| NEXCO中日本(運転中の通話一般) | 運転中の通話は道路交通法で禁止。休憩施設など安全な場所に停車して電話をかける |
条文が対象にしているのは、手で保持しなければ送受信できない装置での通話と、画像の注視です。ハンズフリーの扱いは、今回確認したJAF・NEXCO・警察庁の資料には書かれていないため、この記事では判断しません。また、「傷病者の救護又は公共の安全の維持のため緊急やむを得ず」行う通話は除かれますが、あおり運転の通報がこれに当たるかを明記した公的資料も確認できませんでした。JAFとJAF Mateが「同乗者に頼む」「停めてから通報する」と案内していることを、実用上の基準にするとよいでしょう。

110番で伝える情報(JAF Mate)
JAF Mateは、高速道路では位置情報(高速道路名・キロポスト番号・最寄りのインターチェンジ名など)、相手車両の特徴(ナンバー・車種・色)、あおり運転の状況(接近・追い越し・急な車線変更など)を伝えると、警察が迅速に対応できると案内しています。キロポストは道路の左側に掲示されている番号で、通報の前に確認しておくとよい、とされています。
#9910(道路緊急ダイヤル)との使い分け
NEXCO中日本は、道路緊急ダイヤル(#9910)を、国道や高速道路など幹線道路の異状(故障・落下物、道路の破損など)を発見したときに通報する専用ダイヤルと案内しています。あおり運転を受けたときの通報先として警察庁・JAF・政府広報が案内しているのは110番です。非常電話や#9910については、別の記事で使い分けをまとめています。
ドライブレコーダーと、相手が降りてきたとき
政府広報とJAFは、ドライブレコーダーなどで相手の行為を記録しておくと、相手が現場から立ち去った後でも捜査に役立つとしています。警察庁も、ドライブレコーダーは妨害運転等の悪質・危険な運転行為の抑止に有効としています。JAF Mateは、ドライブレコーダーがない場合は、車両のナンバーや特徴、時間・場所をメモする、同乗者がいればスマートフォンで撮影してもらう、と案内しています。相手が追ってきて脅したり挑発したりしても、不用意に車外に出ないことは、政府広報とJAFが共通して挙げています。
5. 妨害運転罪の罰則と11類型

妨害運転罪は、他の車両等の通行を妨害する目的で、交通の危険を生じさせるおそれのある方法により、定められた違反行為をした者を罰するものです。現行条文では道路交通法第117条の2の2第1項第8号にあります。刑罰は、2025年6月1日から「懲役」が「拘禁刑」に変わっており、現行条文は拘禁刑です。
📊 妨害運転の罰則・点数・免許の処分(現行条文で確認)
| 区分 | 根拠 | 罰則 | 違反点数 | 免許の取消し(前歴なしの場合の欠格期間) |
|---|---|---|---|---|
| 妨害運転(交通の危険のおそれ) | 道路交通法第117条の2の2第1項第8号 | 3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金 | 25点 | 取消し・欠格期間2年 |
| 妨害運転の罪を犯し、高速自動車国道等で他の自動車を停止させ、その他道路における著しい交通の危険を生じさせた | 同法第117条の2第1項第4号 | 5年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金 | 35点 | 取消し・欠格期間3年 |
点数は道路交通法施行令別表第二(25点=一般違反行為、35点=特定違反行為)で、欠格期間は同施行令第38条で確認しました。前歴や累積点数がある場合は、欠格期間が最大で5年(25点の場合)・10年(35点の場合)になります(JAF・千葉県警察の説明と施行令の定めが一致)。
さらに、妨害目的運転で人を死傷させた場合は、自動車運転死傷行為処罰法の危険運転致死傷罪に当たることがあります。同法第2条第9号(2026年7月21日施行の改正前は第6号)は、高速自動車国道または自動車専用道路で、自動車の通行を妨害する目的で、走行中の自動車の前方で停止するなどして、走行中の自動車に停止または徐行をさせる行為を挙げています。人を負傷させた場合は15年以下の拘禁刑、死亡させた場合は1年以上の有期拘禁刑です(第2条柱書)。
対象の違反類型は11類型(2026年4月1日から)
妨害運転罪の対象は、条文では次の11類型の行為です。警察庁は、2026年4月1日に施行された第18条第3項(自動車等が自転車等の右側を通過する場合の通行方法)の違反が、妨害運転の違反類型に追加されたと説明しています。従来の「10類型」に1つ加わりました。JAFや政府広報オンラインの旧ページに残る「10類型」の表記は、この追加の前のものです。
📊 妨害運転の対象となる11類型(第117条の2の2第1項第8号)
| 違反の類型(条文) | 例(JAFの説明) | |
|---|---|---|
| 1 | 通行区分違反(第17条第4項) | 対向車線にはみ出す |
| 2 | 自転車等の右側を通過するときの通行方法の違反(第18条第3項) ※2026年4月1日追加 |
自転車などの右側を通過する際、十分な間隔がないのに、間隔に応じた安全な速度で進行しない(条文の要旨。JAFの旧ページには記載なし) |
| 3 | 急ブレーキ禁止違反(第24条) | 不要な急ブレーキをかける |
| 4 | 車間距離不保持(第26条) | 車間距離を極端に詰める |
| 5 | 進路変更禁止違反(第26条の2第2項) | 急な進路変更 |
| 6 | 追越しの方法の違反(第28条第1項・第4項) | 左からの追い越し |
| 7 | 減光等義務違反(第52条第2項) | 執拗なパッシング |
| 8 | 警音器使用制限違反(第54条第2項) | 不必要なクラクションの反復 |
| 9 | 安全運転義務違反(第70条) | 幅寄せや急な加減速 |
| 10 | 最低速度違反(第75条の4) | 高速自動車国道の本線車道での低速走行 |
| 11 | 高速自動車国道等での停車・駐車の禁止の違反(第75条の8第1項) | 高速自動車国道や自動車専用道路での駐停車 |
6. よくある質問
まとめ
高速道路であおられたときの避難先として、警察庁・政府広報オンライン・NEXCO中日本・JAFが挙げているのは、SA・PAなどの安全な場所です。JAFは、車線上や路側帯に停車すると後続車に追突される危険があると説明しています。道路交通法第75条の8は高速道路での停車・駐車を原則禁止しており、故障などでやむを得ない場合の路肩・路側帯への停車は例外です。あおり運転を受けて本線上や路肩で止まった場合の公的な案内は、確認できませんでした。
避難したら、ドアをロックし、車外に出ず、110番に通報します。運転中に手で保持して通話するのは禁止なので、同乗者に頼むか、ひとりならSA・PAなどに停めてから通報します。妨害運転罪は3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金(25点・免許取消し)で、妨害運転の罪を犯し、高速自動車国道等で他の自動車を停止させ、その他道路における著しい交通の危険を生じさせた場合は5年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金(35点・免許取消し)です。2026年4月1日から、対象の違反類型は11類型になりました。
※本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。法令・罰則・各機関の案内は改正・更新されることがあるため、最新の内容や個別の判断は、警察庁・各都道府県警察・NEXCO各社・JAFなどの公式情報でご確認ください(2026年10月時点)。危険を感じたときは、安全を最優先に、ためらわず110番通報してください。JAF・JAF Mate・政府広報オンラインの該当ページには、更新前の記載(「懲役」「10類型」)が残っているものがあり、本文では現行の条文と警察庁の案内を優先しています。
参考(一次情報・公的機関・JAF): e-Gov法令検索 道路交通法(第71条・第75条の8・第75条の11・第117条の2・第117条の2の2・別表第二)/同 道路交通法施行令(第38条・別表第二)/同 自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律(第2条)/警察庁「危険!「あおり運転」はやめましょう」/政府広報オンライン「あおり運転は犯罪です!」/NEXCO中日本 走行時のマナー/NEXCO中日本 事故・故障が発生!/NEXCO中日本 道路緊急ダイヤル/JAF「あおり運転をされたら、どうすればよいのでしょうか?」/JAF Mate「街中や高速道路であおり運転を受けたら」/千葉県警察「妨害運転罪の創設について」
図はすべて自作のイラストです(AI生成なし)。実際の道路の形状は場所によって異なります。


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