国土交通省のQ&Aは、チェーン規制中に通れるタイヤチェーンを「自動車用品店などで販売されているものであれば問題ありません」とし、薬剤を吹き付けるスプレー式は通れないとしています。JASAAの語は出てきません。
タイヤチェーンの販売ページや証票には、「JASA432規格品」(JASAAの認定マーク)や「新チェーン規制対応」(カーメイト公式ストアの商品ページ)といった表示があり、布製を含めて、どれがチェーン規制で通れるのかは分かりにくいところです。この記事では、国土交通省のQ&A、標識令、警察庁、NEXCO、JAF、国民生活センター、日本自動車交通安全用品協会(JASAA)、メーカー各社(カーメイト・コイズミ・AutoSock Japan・SCC Japan)の公式の文面を原文で読み、「誰が何と書いているか」を整理しました。順位・おすすめ・価格は書いていません。
- 国土交通省のQ&Aは、スタッドレスでも4WDでも、チェーン規制中はチェーンなしでは通れないと書いています。
- 通れるチェーンの種類について、国土交通省は金属・ウレタン&ゴム・布製の3種類を例示し、「自動車用品店などで販売されているもの」なら問題なし、スプレーのように薬剤を吹き付けるタイプは通れないとしています。金属・ウレタン&ゴム・布製のあいだで線は引いていません。
- JASAAの認定品の一覧に載っているのは、乗用車用の非金属チェーン(接地部がウレタン・合成ゴム)だけです。はしご型・亀甲型などの鎖チェーンと布製カバーは一覧に載っていません。国土交通省のQ&Aに「JASAA」の語はありません。
- それでも、JAFは布製に「規制に対応できない可能性」と、カーメイトは「通行できない場合があります」と書いています。JAF・イエティ・JASAAの文面は、現場の係員の指示に従うよう書いています。
- 走行速度の上限は、種類ではなく製品ごとに違います。同じ会社のカタログにも、30km/hの製品と50km/hの製品があります。
「チェーン規制」と「冬用タイヤ規制」は別の規制
言葉が混ざりやすいところです。JAFは、次のように説明しています。
- JAF:「高速道路での降雪時の規制は、速度規制、冬用タイヤ規制、チェーン規制、通行止めの4種類があります。2018年のチェーン規制関連の改正に伴い、これまでチェーン規制と呼ばれていたものは、冬用タイヤ規制と呼ばれることが一般的になりました。この冬用タイヤ規制は、「駆動輪へのチェーン装着」または「全車輪に冬用タイヤ装着」することとされています。」
- NEXCO中日本のFAQ:「「チェーン規制」の場合は、スタッドレスタイヤなどの冬用タイヤであっても、チェーンが必要です。」「冬用タイヤ規制時は、冬用タイヤで通行することができますが、大雪特別警報や「大雪に対する緊急発表」が出されるような異例の大雪の時には、全車輪が冬用タイヤでもチェーンを装着しないと走行できない「チェーン規制」がおこなわれることもあります。」
- 国土交通省のQ&Aも、チェーン規制は「大雪特別警報や大雪に対する緊急発表が行われるような異例の降雪があるときに行います。」としています。
用語は、メーカーのサイトでも混ざっています。カーメイトのバイアスロンのサイトは、「冬の高速道路等「タイヤチェーン規制」が出ている場合は、駆動輪へのタイヤチェーンの装着または全車輪への冬用タイヤ装着が必要です。」と、JAFの言い方では「冬用タイヤ規制」にあたる内容を「タイヤチェーン規制」と書いています(このページの見出しは「冬用タイヤ規制について」です)。
法令上の根拠:2018年12月14日の標識令(道路標識、区画線及び道路標示に関する命令)の改正で、規制標識「タイヤチェーンを取り付けていない車両通行止め」(310の3)が新設されました。別表第一の「意味」の欄は、「道路法第四十六条第一項の規定に基づき、又は交通法第八条第一項の道路標識により、タイヤチェーンを取り付けていない車両の通行を禁止すること。」です。警察庁の通達(平成30年12月20日)は、チェーン規制を「タイヤチェーンを取り付けていない車両の通行を禁止する規制」と定義し、「従来であれば車両の通行止めとなる状況において、タイヤチェーンを取り付けている車両のみ通行を可能とするものである。」と書いています。罰則は、条文の上では、道路法第103条第1項第3号(第46条第1項の禁止・制限に違反して道路を通行したとき)が「六月以下の拘禁刑又は三十万円以下の罰金」、道路交通法第119条第1項第2号(第8条第1項違反)が「三月以下の拘禁刑又は五万円以下の罰金」です。実際にどちらがどう適用されるかは、確認していません。
国土交通省のQ&Aは、何を書いているか
国土交通省の「チェーン規制について(Q&A)」の主な文面です。
- スタッドレス:「そのため、今回のチェーン規制では、スタッドレスタイヤを着けていても、タイヤチェーンをしていない自動車はチェーン規制中に通ることはできません。」
- 4WD:「大雪の時の峠などでは、4WD車両は重量が大きいため、下り坂で急ブレーキをかけた時に、止まるまでの距離が長くなることから、チェーン規制中はタイヤチェーンを着けていないと通ることはできません。」
- チェーンの種類:「チェーン規制中に通ることのできるタイヤチェーンは、自動車用品店などで販売されているものであれば問題ありません。ただし、スプレーのように薬剤を吹き付けるタイプのものではチェーン規制中に通ることはできません。」
- 例示された種類:「(1)金属チェーンタイプ : 金属製のチェーンやワイヤーの製品」「(2)ウレタン&ゴムチェーンタイプ : ゴムなどの樹脂製の製品」「(3)布製カバータイプ : アラミドなどの特殊繊維製の製品」
- 同じ回答に添えられた参考:「【参考:道路運送車両の保安基準】(走行装置等)第9条第4項 タイヤ・チェーン等は走行装置に確実に取り付けることができ、かつ、安全な運行を確保することができるものでなければならない。」
- 装着位置:「駆動輪にタイヤチェーンを着けることが基本です。」
- 実施する場所:「急な上り下りがある峠などで、過去に雪による立ち往生や通行止めが起こった場所の中で、タイヤチェーンを着脱できる場所や通行止めが解除されるまで待機できる場所がある区間で実施します。」「なお、チェーン規制時には、規制区間の手前でタイヤチェーン装着状況の確認を行います。」
- このページには「JASAA」「認定」の語はありません(当サイトで文字列検索して確認)。
- 国土交通省は、布製カバーを含む3種類を名指しで例示していますが、布製は通れる、通れない、と種類ごとに可否を書いた文はありません。
- 規制区間の表には、直轄国道6区間・高速7区間が載っています。各区間のリンク先の資料は日付がまちまちで(2018年12月の報道発表が多く、東北の月山道路は2019年12月掲載の資料)、ページに更新日の記載は見当たりません。同じページの画像の表と本文の表でも、月山道路の区間・延長が違います。NEXCO中日本のFAQでは、管内の区間は「中央道の「飯田山本IC~園原IC」、「須玉IC~長坂IC」、北陸道の「丸岡IC~加賀IC」、「木之本IC~今庄IC」の4か所」と書かれています。現在の区間は変わりうるので、道路管理者の最新の案内を見てください。
種類ごとに、誰が何と書いているか
| 種類 | 国土交通省Q&A | JAF(Q&A) | メーカー・協会の表示 |
|---|---|---|---|
| 金属チェーン | 例示された3種類の1つ | 「金属チェーンタイプ、ウレタン&ゴムチェーンタイプならまず問題なく通行可能です。」 | JASAAの認定品一覧には載っていない(協会の基準のページは、ケーブル式にも触れています) |
| ウレタン&ゴム(非金属) | 例示された3種類の1つ | 同上。JASAAの認定品について「非金属チェーンではこちらの認定品から選ぶのがよいでしょう。」 | イエティ(コイズミ)の公式FAQ:「高速道路のチェーン規制時にも使用できますか? はい、チェーン規制時にも使用できます。走行する際は現地の規制内容をご確認のうえ、道路管理者や現場係員の指示があればそちらに従ってください。」 |
| 布製カバー | 例示された3種類の1つ | 「「チェーン規制時には現場係官の指示に従ってください」という注意書きがある通り、緊急時の脱出用という位置づけの製品ともいえます。」「デメリットは耐久性の低さ、規制に対応できない可能性があることです。」 | カーメイト:「布製で作られていて、日本では「緊急用タイヤ滑り止めカバー」として扱われています。乾燥路には弱く、タイヤチェーン規制時には通行できない場合があります。」/AutoSock Japan:「チェーン規制時のタイヤチェーンの種類に関する情報は、以下の国土交通省の案内を参照下さい。」 |
| スプレー式 | 「通ることはできません」 | ― | カーメイト:「耐久性は全く無いことと、タイヤチェーンとしては扱われないことに注意が必要です。」 |
- つまり、国土交通省の文面は種類で区別していませんが、JAFは布製について「規制に対応できない可能性」、カーメイトは「通行できない場合があります」と、注意書きを書いています。AutoSock Japanのサイトは、種類の可否について国土交通省の案内を見るよう促しています。
- AutoSock Japanの販売者ブログには、「オートソックのような布製チェーンは、チェーン規制時にも使用が認められています。」という文があります。これは販売者の主張で、国土交通省の文面は上のとおりです。
- JAFの「まず問題なく」は、金属とウレタン&ゴムについての表現で、布製には使っていません。
JASAA認定は、何の認定か
JASAAは、一般財団法人 日本自動車交通安全用品協会(平成23年10月3日に一般財団法人へ移行)です。協会のサイトの記述は次のとおりです。
- 事業:「当協会は、自動車用タイヤチェーンのうち、非金属製タイヤチェーンについて、性能に関する基準を作成し、その性能の審査を行い、合格品について認定を行うことを主な事業としています。」
- 対象:「当協会が行っている事業は、乗用車(多目的車を含む。)用非金属製タイヤチェーンの認定です。非金属製とは、トレッド部(地面と接触する部分)の主な材料が、ゴム系、樹脂系及びその他の非金属系のものをいいます。」
- 試験:「認定試験は、例年1月に実施し、北海道において制動試験、登坂試験、耐空転試験、静的けん引試験、耐久試験、緩衝試験及び着脱試験を実施します。」
- 表示:「認定マーク タイヤチェーン収納ケースの外側に表示 JASA432規格品」、「認定票 タイヤチェーン本体に表示 乗用車関連用:JASA、00-000 (「00-000」には当該タイヤチェーンの認定番号が入ります。)」
基準(規格名JASA432)は、協会のページに次のように載っています。
| 項目 | 協会のページの原文 |
|---|---|
| 制動性 | 「現在の認定品との対比で、圧雪路及び氷盤路で基本的に同等以上であること。」(既存の認定品との相対比較で、絶対値ではありません) |
| 登坂性 | 「勾配平均12%の圧雪路及び勾配平均8%の氷盤路で一旦停止後、再発進したときに滑らかに登坂できること。」 |
| 耐久性 | 「630㎞ (目安として70%は圧雪路)の距離を走行したとき、装置に著しい摩耗がなく、破損、スパイク金具の脱落など各部に異状がないこと。」 |
| 緩衝性 | 「70㎞/hの速度で連続して5㎞走行したとき、装置の破損、スパイク金具の脱落、車体への接触など各部に異状がないこと。」 |
- 協会のページには、この表の4項目のほかに、耐空転性(氷盤での空転の試験)の基準もあります。
- 認定委員会は、委員長が北海道大学で、委員に科学警察研究所、警察庁交通局、高速道路総合技術研究所、日本自動車連盟(JAF)、協会が挙がっています(協会のページ)。
- 認定品の一覧(メーカー別)に載っているのは、乗用車用で、接地部がウレタン・合成ゴムの非金属チェーンだけです。協会の基準のページは、「非金属製及びケーブル式タイヤチェーンの認定品は」と、ケーブル式にも触れていますが、一覧にケーブル式の製品は見当たりません。はしご型・亀甲型などの鎖チェーンと布製カバーも、一覧に載っていません。JASAA認定がないことは、金属・布製の性能が低いことを意味しません。
- JASAA認定があれば規制で通れる、とは、国土交通省の文面からは読めません(上のとおり、Q&AにJASAAの語はありません)。
- 耐久性の数字は、協会のページでは、基準が「630km」、認定品の長所を説明する文が「600km以上」です。カーメイトのサイトは「JASAA認定品は600km走行可能。バイアスロンは1,000km走行可能です。※走行速度50km/h以下での走行してください。」と書いています。同じ「◯◯km」でも、基準の数字、認定品の目安、メーカー独自の数字が並ぶので、どれを指すかを見分ける必要があります。
- カーメイトは「JASAA認定基準について 一般財団法人日本自動車交通安全用品協会規格JASA432(非金属製タイヤ滑り止め装置)及びJASA433(ケーブル式タイヤ滑り止め装置)に基づいて製造された製品」と書いています。協会の認定マークのページが挙げる規格名はJASA432だけで、基準のページは「非金属製及びケーブル式」と書いており、規格名の挙げ方は資料ごとに揃っていません。
- カーメイト公式ストアの商品ページにある「新チェーン規制対応」のような表示は、国土交通省や業界団体の定義文書が見つからず、各社の自社表示として読むほかありません。
「走行速度の上限」は、種類でなく製品で違う
| 資料 | 速度についての原文 |
|---|---|
| 国民生活センター(2017年1月、金属製12銘柄の取扱説明書などを調査) | 「金属製チェーン使用時の速度の目安は商品によって異なりますが、おおむね30km/h以下とされています。」。取扱説明書の注意として「「走行速度の上限(50km/h、安全な速度は30km/h以下)」を守り」とも |
| SCC Japan(カタログ2022-2023) | 鎖チェーン(DB・KA・MG。DBは亀甲型):「装着時は必ず 30km / h 以下で走行してください。」/AutoTrac:「装着時は必ず 50km / h 以下で走行してください。」/ケーブルチェーン:「装着時、ケーブルチェーンは必ず 50km / h 以下で走行してください。」 |
| カーメイト バイアスロン(非金属) | 「雪路・非雪路にかかわらず、時速50km/h以下で「安全にコントロールできる速度」で走行してください。」 |
| イエティ スノーネット(コイズミ・非金属) | 「装着中は何km/hまで走行できますか? いかなる場合も時速50km以下です。」 |
| JASAA(協会のサイト) | 「50km/hを超える速度では、遠心力でタイヤチェーンが膨れあがり、車体にぶつかって切れて思わぬ事故につながります。」 |
| AutoSock プレミアム(布製) | 商品ページ:「オートソック装着時は、天候、路面状況等に適した速度で安全に走行して下さい。」(数字なし)。販売者のブログ:「一般的な乗用車であれば時速50km以下、バスやフォークリフトであれば時速30km以下での走行を推奨しています。」 |
| ホンダ フィット(車の取扱説明書。ページのURLは「fit/2023」) | 「タイヤチェーンを装着したときは、30km/h以下の速度で走行してください。」 |
| 日産 スカイライン(車の取扱説明書。ページのURLは「SKYLINE_1402」) | 「タイヤチェーンを装着したときはタイヤチェーンに付属の取扱説明書で指示された速度で走行してください。」 |
- 金属は30km/h、非金属は50km/hという言い方は、目安としては合いますが、SCC Japanのカタログのように、同じ会社の金属チェーンでも30km/hの製品と50km/hの製品があります。製品の取扱説明書の数字が基準です。
- 車側の取扱説明書は、ホンダが数字(30km/h)を、日産が「付属の取扱説明書で指示された速度」と、書き方が分かれています。数字が食い違うときは、遅いほうに合わせる、が安全側です(これは当サイトの整理で、各社の表示ではありません)。
- 国民生活センターのアンケート(金属製チェーンの使用経験者457人、トラブルがあった人184人)では、チェーンが緩んだ、または切れた136人のうち、「約4割が30km/hを超える速度での走行でトラブルに遭っていました」(52人、38.2%)。緩んだ状態の再現テストでは、「30km/hでも遠心力でチェーンがタイヤから浮き上がり、車体に接触するようになりました。」とあります。
「適合サイズ」の表示:同じサイズ表示でも付くとは限らない
- カーメイト:「タイヤチェーンの適合サイズは、必ず装着するタイヤで確認してください。」「車種別適合表は、純正装着銘柄のタイヤサイズと純正ホイールの組合わせを基準にしています。タイヤまたはホイールが純正と異なると、同じサイズ表示のタイヤでもきつかったり、ゆるくなる場合があります。」
- カーメイト:「バイアスロンを装着していない状態でタイヤ周囲のフェンダーまわりに3cm以上、タイヤ裏側に2cm以上のすき間があることを確認してください。」
- イエティ(コイズミ)のFAQ:「装着前の状態で、タイヤ周辺の各部に20mm以上の隙間が必要です。1か所でも不足すると装着できません。」
- AutoSock Japan(プレミアムの商品ページ):「製品パッケージ裏面に記載されているタイヤサイズは、対応する一般的なサイズの一部のみを表示しています。」
- JASAAの「ご購入時の注意」:「ご使用車のタイヤサイズの確認」「タイヤハウスのクリアランスの確認。販売店または現車で、ご確認下さい。」「装着が不可能な車種があります。販売店又はメーカーにご確認下さい。」
- カーメイトは、「運転補助システム(トラクションコントロール、横滑り制御システム、アイサイト等)が装備されている場合は、タイヤチェーンを装着することで本来の機能を損なうことがあります。」とも書いています。
カーメイトの公式ストアの品番表示は、品番ごとに代表車種が並び(例:「QE12 ステップワゴン、レヴォーグ、アクセラ、エクシーガ、プリウス」)、同じ車種名が複数の品番に出てきます。車種名だけでは品番が決まらず、タイヤサイズ・ホイール・クリアランスで確認する作りです。
どの車輪につけるか
- 国土交通省のQ&Aは「駆動輪にタイヤチェーンを着けることが基本です。」とし、掲載の図では、小型車のFFは前輪、FRは後輪、4WDは「前輪または後輪」と注記しています(図には大型車・トレーラーの場合もあります。図を当サイトで目で読んだもので、文字列での照合はしていません)。
- カーメイト:「タイヤチェーンは、必ず駆動輪に装着してください。装着輪については、車の取扱説明書でご確認ください。特に4輪駆動車(AWD、4WD等)の場合は、指定装着輪以外に装着できない場合もあります。」「1BOXで4輪共普通タイヤの場合、必ず4輪にバイアスロンを装着してください。」「軽自動車の1BOXやミニバンは2輪に装着してください。」
- イエティ(コイズミ)のFAQ:「車両の取扱説明書で指定された車輪に装着します。駆動方式だけで判断せず、車種別マッチングリストもご確認ください。」
- NEXCO中日本の表は、チェーン規制の欄が「全車輪または駆動輪」、NEXCO東日本の表は「全車輪に冬用タイヤを装着していても、駆動輪にチェーンの装着が必要です。」です(冬用タイヤ規制の欄は「<チェーンの場合>駆動輪への装着が必要です。(一部の県では全車輪へ装着が必要)」)。装着輪の書き方は、管理者によって揃っていません。
- JAF(2018年のテスト。前輪駆動のトヨタ プリウス、ノーマルタイヤにチェーン):後輪(非駆動輪)に装着した場合は、勾配12%の圧雪路の坂で「坂道の途中でタイヤがスリップしてしまい、上りきることができなかった。」。参考の制動テスト(平坦路、40km/hから急ブレーキ、ABS作動)では、「前輪(駆動輪)に装着した場合と比べて、約7mも制動距離が延びた」とあります。
JAFのテスト:条件つきの「一例」
JAFのユーザーテストは、いずれも北海道士別市の交通科学総合研究所で行われたもの(2017年のテストは氷盤路も)で、車やタイヤの条件がページごとに違います。JAFは2019年の登坂のページに「結果は一例であり雪道や車の駆動方式、タイヤの種類などで結果が変わることがある。」と書き、同年の旋回・急制動のページにも同趣旨の注意があります。
| テスト(実施年) | 条件 | 結果の原文 |
|---|---|---|
| 登坂(2019年2月) | 「①金属チェーン(亀甲型)②金属チェーン(はしご型)③非金属チェーン(ウレタン系)」「新品のノーマルタイヤにタイヤチェーンを装着」「坂道は全長50m」「テスト車は、前輪駆動のコンパクトカー」「テストはそれぞれ3回実施」 | 「勾配20%の坂道では、金属チェーン(亀甲型)のみ上りきることができたが、金属チェーン(はしご型)と非金属チェーン(ウレタン系)は坂道の途中でスリップし、上りきることができなかった。」「勾配15%の坂道ではすべてのタイプで上りきることができた」。ほかに、勾配20%の亀甲型について「タイヤが空転し、車の挙動も乱れた」ともあります |
| 旋回と急制動(2019年2月) | 旋回路(半径25m)。ノーマルタイヤにチェーン | 「時速20km/hではすべてのチェーンで安定し走行することができた。時速30km/hになると非金属チェーンのみ安定し走行できた。」「時速40km/hからの急制動の結果は、非金属チェーンが最も短い距離で止まることができた。」 |
| 登坂(2017年2月) | 6種類(ノーマル、スタッドレス、オールシーズン、ノーマル+一般的な非金属チェーン、ノーマル+オートソック、ノーマル+スプレー)。勾配12%の圧雪路で、坂の途中から発進(JAFのページには、勾配12%と20%、平坦路発進と坂の途中からの発進の4条件があり、ここでは一部を載せています) | 「スタッドレスタイヤとチェーン、オートソックは上れたが、ノーマルタイヤとオールシーズン、スプレーチェーンは上れなかった。」(6種類のうちチェーンを含むのは「ノーマルタイヤ+一般的な非金属チェーン」だけなので、ここでの「チェーン」はこれを指すと読めます)。勾配20%の圧雪路で平坦路から発進した場合は、「坂道を上れたのはスタッドレスタイヤのみ」。氷盤路は勾配9%で、スタッドレス単独では上れず、スタッドレスにチェーンを付けると上れた |
| 制動(2017年2月) | 「時速40kmから急ブレーキを踏み、制動距離を6種類のタイヤ(すべて新品)で測定した(ABS作動)。路面は圧雪路と氷盤路の2種類。」 | 圧雪路:「オートソックやスプレーチェーンは短い距離で止まれたものの、路面や走行距離によって繊維が傷んだり、スプレーした液剤が取れてしまい、安定した性能を得ることが難しいので、あくまでも緊急用として使う。」氷盤路:「ノーマルタイヤ、オールシーズンタイヤ、オートソック、スプレーチェーンは軒並み制動距離が長くなり」 |
| 旋回(2017年) | 非金属チェーン、半径20m、横滑り防止装置を解除(JAFのページの記述による) | 「チェーン装着車は、前輪と後輪のグリップバランスの差が大きく、時速30kmで急に後輪が滑り出し、前輪を軸にスピンしてしまった。」 |
2019年のテストでは、登坂は金属の亀甲型、旋回と急制動は非金属が優位でした。一方、2017年の旋回テストでは、非金属チェーンが30km/hで後輪が滑り出してスピンしており、2019年の結果と逆に見えます。半径(20m/25m)、速度の上げ方、チェーンの記述(一般的な非金属タイプ/ウレタン系)が違い、横滑り防止装置を解除したとあるのは2017年のページだけです(どちらも前輪駆動のコンパクトカーで、車種は書かれていません)。どちらが正しいというより、条件が変われば結果が変わる例です。JAFの雪・凍結のユーザーテスト一覧(13本)には、装着にかかる時間を種類別に比べたページは見当たりませんでした。
今回、確認できなかったこと
- 乗用車用の金属チェーンの、メーカー公式の製品ページと取扱説明書(装着輪・速度・距離の表示)。取れたのは、国民生活センター、SCC Japan(乗用車用のAutoTrac・Icemanと、トラック・バス用などを併載)、自動車メーカーの取扱説明書までです。SCC Japanでは、乗用車用のAutoTracとケーブルチェーンが50km/h、鎖チェーンのDB・KA・MGが30km/hで、金属は30km/hという目安に当てはまらない乗用車用の金属チェーンもあります。はしご型などの乗用車用の鎖チェーンの公式製品ページと取扱説明書は、確認できていません。
- 国土交通省・NEXCO・警察庁が「布製は規制で使える」と明言した一次の文書。見つかったのは、上に引用した国土交通省Q&Aの種類の例示だけです。NEXCO東日本の2019年12月の会見資料には、4つの管理事務所で、大型車用すべり止め装置(布製カバータイプタイヤチェーン)をパトロールカーなどに積載し、立ち往生した大型車などを迅速に移動させる取り組みを試行する、とあります。規制で一般の車の布製カバーが使えるかを示す文書ではありません。
- 現在有効なチェーン規制の区間と、実際にチェーン規制が実施された事例。
- カーメイトの「関越トンネルを走行できるのはJASAA認定品に限ります。」と、JASAAの「関越トンネルを装着したまま走行できる(係員の指示をお守りください)」は、それぞれ自社の記述です。NEXCOの一次資料は取れていません。
- 都道府県ごとの道路交通法施行細則の条文(東京都の規則のみ確認)、罰則の実際の適用や反則金。
- カーメイト クイックイージーの取扱説明書(画像のみのPDF)、AutoSockのFAQ、イエティの2026年カタログ。ソフト99「救急隊ネット」の公式ページは、サイト内検索で見つかりませんでした。
- JASA432規格の本文(協会のページに基準の概要のみ)。
出典(確認日: 2026年11月4日)
- 国土交通省「チェーン規制について(Q&A)」、北陸地方整備局 2018-12-27発表、警察庁通達 丁規発第137号
- 道路標識、区画線及び道路標示に関する命令、道路法、道路交通法(e-Gov法令検索)
- JAF Q&A、JAF 登坂テスト(2019)、同 旋回・急制動(2019)、同 装着位置(2018)、同 登坂(2017)、同 制動(2017)、同 旋回(2017)
- NEXCO中日本 FAQ、NEXCO東日本 FAQ、国民生活センター「金属製タイヤチェーン使用時のトラブルに注意」、NEXCO東日本 定例会見資料(2019年12月)
- 日本自動車交通安全用品協会(協会概要)、認定の基準、認定マーク・購入時の注意、走行の注意、認定品一覧
- カーメイト バイアスロン(タイヤチェーンについて)、同(サポート)、カーメイト公式ストア QE12、イエティ スノーネット FAQ、AutoSock Japan(トップページ)、AutoSock Japan プレミアム、同ブログ(耐久性)、同ブログ(高速道路)、SCC Japan カタログ2022-2023
- ホンダ フィット 取扱説明書、日産 スカイライン 取扱説明書
この記事は、公式の資料と表示の整理です。広告・アフィリエイトのリンクは含まれません。
アイキャッチ画像: “Cable chains on car tire.jpg” by Steve Morgan (Wikimedia Commons, CC BY-SA 3.0。今回取り上げた製品とは関係のない、ケーブル式チェーンのイメージ写真です)

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