ステアリング(かじ取り装置)は、ハンドルの操作を車輪に伝えて、進行方向を決める装置です。この記事では、かじ取り装置の構成と点検基準、症状の見分け方、直進しにくいときの確認の順番、点検を任せる範囲を、国土交通省の自動車点検基準、JAF、ダイハツ、ミシュランの公開情報で確認できた範囲に絞って整理しました。費用の金額は、公式に確認できる数値がないため、掲載していません。
📋 この記事の要点
✔ 自家用乗用自動車の定期点検では、かじ取り装置について、ハンドルの操作具合、ギヤ・ボックス、ロッド及びアーム類、ホイール・アライメント、パワー・ステアリング装置などが点検項目
✔ 「ボール・ジョイントのダスト・ブーツの亀裂及び損傷」は、自動車点検基準の点検項目であり、劣化・摩耗により生ずる状態としても挙げられている
✔ JAFは、まっすぐな道でハンドルを取られる原因として、左右の空気圧の違いを最初に挙げている。次に、ブレーキの引きずり、アライメントの狂い
✔ ある速度域でハンドルが振動する場合、JAFは、ホイールバランスの狂い、アライメント不良などを挙げている
✔ ミシュランは、偏摩耗に気づいたとき、ハンドリングやステアリングに変化を感じたとき、新しいタイヤを装着したときに、アライメント点検を受けるよう案内
📑 目次
1. かじ取り装置の構成と、点検基準
かじ取り装置は、ハンドル(ステアリングホイール)から車輪までを結ぶ、複数の部品で構成されています。自動車点検基準(別表第6)は、自家用乗用自動車の定期点検の項目として、次の部品を挙げています。2年ごとの点検は、1年ごとの点検に、次の点検を加えたものです。
📊 かじ取り装置の点検項目(自家用乗用自動車)
| 部品 | 役割(ダイハツ等の説明) | 点検項目(自動車点検基準 別表第6) | 点検時期 |
|---|---|---|---|
| ハンドル | 運転者が操作する部分 | 操作具合 | 2年ごとに加わる |
| ステアリングギヤボックス | 左右のフロントホイールをハンドルで操舵する機構の一つ。ハンドル操作で回転するステアリングシャフトの力を、歯車で増幅し、軽い力で操舵できるようにする(ダイハツ) | 取付けの緩み(注記あり) | 2年ごとに加わる |
| ロッド及びアーム類 | アーム類には、サスペンションアームとステアリングアームがある。車輪の位置決めと、動く方向の制御も担う(ダイハツ) | 緩み、がた及び損傷。ボール・ジョイントのダスト・ブーツの亀裂及び損傷 | 2年ごとに加わる |
| かじ取り車輪 | アライメントは、ホイールの取付け角度の状態 | ホイール・アライメント(注記あり) | 2年ごとに加わる |
| パワー・ステアリング装置 | ハンドル操作を補助する装置(油圧式・電動式) | ベルトの緩み及び損傷(1年ごと)。油漏れ及び油量、取付けの緩み(2年ごとに加わる) | 1年ごと/2年ごと |
※表は横にスクロールできます
📊 点検の判断の基準として挙げられている状態
| 劣化・摩耗により生ずる状態(別表第8) | 内容 |
|---|---|
| かじ取り装置 | ハンドルの操作具合の不良、ギヤ・ボックスの油漏れ、ロッド類又はアーム類の緩み・がた・損傷、ボール・ジョイントのダスト・ブーツの亀裂又は損傷、かじ取り車輪のホイール・アライメントの不良、パワー・ステアリング装置のベルトの緩み又は損傷・油漏れ |
📌 補足
自家用乗用自動車の定期点検は、国土交通省によると、1年ごとに29項目、2年ごとに60項目(1年ごとの項目を含む)です。ステアリング関連の項目は、日常点検の項目(別表第2)には含まれておらず、定期点検で確認されます。パワーステアリングについては、当サイトの別記事でも整理しています。
2. 症状の見分け方と、公開情報が示す手がかり
📊 症状と、手がかり
| 症状 | 公開情報が示す手がかり | 出典 |
|---|---|---|
| まっすぐな道で、ハンドルを取られる | 原因として多いのは、左右のタイヤの空気圧の違い。空気圧の低い側が抵抗となり、まっすぐ走りにくくなる。次に、片側のブレーキの戻りが悪く、引きずった状態。アライメントの狂いで、タイヤがうまく接地していない場合もある | JAF |
| ある速度域で、ステアリングが振動 | ホイールバランスの狂い、アライメント不良(偏摩耗の原因)、いわゆるシミー現象など。まず空気圧を確認し、整備工場で点検 | JAF |
| ハンドルが重い・円滑に操作できない・異音・直進安定性の低下 | ステアリングギヤボックスに問題が出た場合の症状として案内。通常の使用では壊れにくく、事故などによる損傷が原因になり得るとしている | ダイハツ |
| 直進・コーナリングでの安定性の低下、乗り心地の悪化、きしみ音 | ロッド・アーム類に問題があると、ホイールアライメントが適正でなくなり、症状が出るとして案内 | ダイハツ |
| タイヤの偏摩耗 | アライメントに問題がある可能性を示すサインの一つ。偏摩耗に気づいたときは、アライメント点検を受けるよう案内 | ミシュラン |
⚠️ 注意
ハンドルの操作に関わる不具合は、走行の安全に直結します。ハンドルが重い、取られる、大きな異音がするなど、いつもと違う症状に気づいたときは、安全な場所に停車し、販売店・整備工場・JAFなどに相談してください。症状だけで原因を断定して、自己判断で走り続けることは避けましょう。
3. ハンドルが取られるときの、確認の順番
JAFは、まっすぐな道でハンドルを取られる場合の原因を、次の順で挙げています。まず手軽に確認できる空気圧から見ていくのが基本です。
🧭 ハンドルが取られるときの確認の順番(JAFの案内に基づく)
左右のタイヤの空気圧を点検する
JAFは、空気圧が左右で違うという原因が多いため、まず空気圧を点検するよう案内しています。指定空気圧は、一般的に運転席ドアの開口部に記載されています。
ブレーキの引きずりを疑う
空気圧が適正なのに直進しない場合、片方のブレーキの戻りが悪く、引きずった状態になっていることも考えられます(JAF)。整備工場で点検を受けます。
アライメントの点検を受ける
アライメントの狂いで、タイヤが適切に接地していない場合もあります(JAF)。段差や縁石への衝撃のあとに生じやすいトラブルです。
偏摩耗の有無を確認する
JAFは、放置すると偏摩耗が進み、アライメントを修正したあとも偏摩耗で進路が乱されることがあるとして注意を呼びかけています。
原因が分からないときは、販売店・整備工場へ
複数の原因が重なっていることもあります。症状と、いつから出ているかを伝えましょう。
📊 アライメントとバランスの違い
| 作業 | 目的 | 点検・実施の目安(出典) |
|---|---|---|
| ホイールアライメント | ホイールの角度を、自動車メーカーの規定に合わせて調整 | ミシュラン:偏摩耗に気づいたとき、ステアリングの感触が変わったとき、新しいタイヤを装着したとき。縁石・段差の衝撃のあとも(JAF) |
| ホイールバランス | タイヤとホイールの重さの偏りを補正 | ミシュラン:新しいタイヤを装着したとき。JAF:ある速度域でハンドルが振動するとき |
💡 ポイント
タイヤの空気圧や偏摩耗は、ハンドルの症状と深く関わります。当サイトの関連記事(タイヤの点検と交換時期ガイド、タイヤの偏摩耗の原因)も、あわせてご覧ください。
4. ダスト・ブーツ、ロッド・アーム類の点検と、任せる範囲
ロッド・アーム類のボール・ジョイントには、ゴム製のダスト・ブーツ(ほこりや水の侵入を防ぐカバー)が付いています。自動車点検基準では、その亀裂及び損傷が、点検項目です。ダイハツ U-CATCHの中古車チェックポイントでは、ステアリングのロッド・アーム類の緩み、がた、損傷とあわせて、確認する項目として案内されています。
📊 自分でできる範囲と、任せる範囲
| 作業・確認 | 進め方の考え方 | 根拠・出典 |
|---|---|---|
| ハンドルの重さ・戻り・異音・直進性の確認 | 使用者が、日ごろの運転で確認 | 一般的な確認事項 |
| タイヤの空気圧・偏摩耗の確認 | 使用者が点検(空気圧は月1回程度が目安) | 自動車点検基準 別表第2、JAF |
| ダスト・ブーツの亀裂・損傷、ロッド・アーム類の点検 | 下回りの確認が必要。定期点検で整備事業者が実施 | 自動車点検基準 別表第6 |
| アライメントの測定・調整 | 専用の設備が必要。整備工場・タイヤ専門店に依頼 | ミシュラン |
| ステアリングギヤボックス、ロッド類の交換・調整 | 安全に直結する作業。整備書の手順と専用工具が必要。整備事業者に依頼 | 一般的な区分 |
📝 ステアリングまわりの確認チェックリスト
☑️ まっすぐな道で、進路が左右に取られない
☑️ 左右のタイヤの空気圧に差がない
☑️ ある速度域でのハンドルの振動がない
☑️ 縁石・段差に強くぶつけたあと、直進性・ハンドルの位置を確認した
☑️ ハンドルの重さ・戻り・異音に違和感がない
☑️ タイヤに偏摩耗がない
☑️ 定期点検で、ステアリング関連の項目(ダスト・ブーツを含む)を点検している
☑️ リコール・不具合情報に該当していないか確認した
- 自動車点検基準(e-Gov法令検索・昭和26年運輸省令第70号)
- 国土交通省「点検整備の種類」
- 国土交通省 リコール情報検索(自動車不具合情報ホットライン)
- JAF クルマ何でも質問箱「真っ直ぐな道でハンドルを取られる」
- JAF クルマ何でも質問箱「クルマの振動からトラブルを発見するには」
- 日本ミシュランタイヤ ホイールアライメントとホイールバランス
- ダイハツ U-CATCH「ステアリングギヤボックス」
- ダイハツ U-CATCH「ロッド・アーム類」
5. よくある質問
📚 あわせて読みたい
▶ パワーステアリングの種類と点検の基本|油圧式・電動式の違いと警告灯の見方
▶ タイヤの点検と交換時期ガイド|溝・空気圧・製造年・ひび割れの見方
まとめ
ステアリングは、ハンドルの操作具合、ギヤ・ボックス、ロッド・アーム類、ダスト・ブーツ、アライメント、パワー・ステアリング装置が、自動車点検基準の点検項目です。ハンドルが取られるときは、JAFの案内に沿って、まず左右の空気圧を確認し、次にブレーキの引きずりやアライメントを疑うのが基本です。ハンドル操作に関わる不具合は安全に直結するため、いつもと違う症状に気づいたら、整備工場や販売店に相談しましょう。
※本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。制度・料金・基準・製品仕様は変更されることがあるため、最新の内容は、公的機関・メーカー・各公式サイトでご確認ください(2026年10月時点)。
アイキャッチ画像: Chevrolet Logo on Car Steering Wheel by Tony Webster, CC BY 2.0, via Wikimedia Commons


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