2026年9月のオークション平均落札価格は127万5千円で、前年同月を2.2%下回りました。
2023年度から続いていた値上がりが、この月に初めて前年割れに転じています。
ただし車の品質をそろえて比べた指数は前年同月比+3.35%で、まだ上がっています。
この記事では、この2つの数字が食い違う理由を、
オークション大手2社と自販連が公式に出しているデータで確かめます。(2026年10月29日時点)
📋 この記事でわかること
- オークション平均落札価格が2026年9月に前年割れしたこと(USSの公式月次)
- それでも品質をそろえた指数は前年比+3.35%であること(オークネット×東大系UTEcon)
- 🚨 2つが食い違う理由 — 相場が下がったのではなく、売られる車の構成が変わった
- その裏づけ — 国内で買われる台数は前年比99.0%なのに、出品台数は+19.2%
- 売る人・買う人が、この先どの数字を見ればよいか
⚠️ この記事で扱うのは業界全体の相場データです。
個別の車種・年式・グレードの価格を示すものではありません。
また、ここでいう「価格」は業者間オークションの落札価格で、
販売店の店頭価格ではありません。店頭価格には整備費用・保証・販売店の利益が乗ります。
2026年9月に起きたこと — オークション単価が前年割れ
中古車オークション最大手のUSS株式会社(東証プライム上場)は、
出品台数・成約台数・成約率・成約車両単価を毎月公式に開示しています。
2027年3月期(2026年4月〜)の月別の推移はこうなっています。
| 2026年の月 | 成約車両単価 | 前年同月比 | 成約率 | 出品台数の前年比 |
|---|---|---|---|---|
| 4月 | 1,221千円 | 114.6% | 64.2% | 106.4% |
| 5月 | 1,310千円 | 110.6% | 65.8% | 97.0% |
| 6月 | 1,315千円 | 106.9% | 65.5% | 110.4% |
| 7月 | 1,345千円(この期の最高) | 108.1% | 63.8% | 115.0% |
| 8月 | 1,248千円 | 101.9% | 66.8% | 109.2% |
| 9月 | 1,275千円 | 97.8% | 64.4% | 119.2% |
| 4〜9月の累計 | 1,286千円 | 106.5% | 65.0% | 109.5% |
出典: USS株式会社「月次データ」(2026年10月29日閲覧)。前年同月比は同社の開示値です。
読み取れることは3つあります。
- 単価のピークは7月の1,345千円で、そこから8月・9月と下がりました
- 9月は前年同月比97.8%。4月の114.6%から伸びが消え、ついに前年を下回りました
- 🚨 出品台数は前年比119.2%なのに、成約率は64.4%(前年同月70.3%)に落ちています。
売りに出る車が増え、買い手がついていない状態です
USS自身も9月度のコメントで、曜日をそろえて前年と比べた数字を併記しています。
その比較でも成約車両単価は1,275千円に対し前年1,290千円(98.8%)で前年割れでした。
開催日数の差による見かけの変動ではない、ということです。
年度でみた推移 — どこまで上がってきたのか
| 年度(USSの決算期) | 成約車両単価(年度累計平均) | 前年度比 | 成約率 |
|---|---|---|---|
| 2024年3月期(2023年4月〜2024年3月) | 1,055千円 | 100.6% | 64.4% |
| 2025年3月期(2024年4月〜2025年3月) | 1,206千円 | 114.3% | 67.0% |
| 2026年3月期(2025年4月〜2026年3月) | 1,255千円 | 104.1% | 67.0% |
| 2027年3月期(2026年4〜9月の6か月) | 1,286千円 | 106.5% | 65.0% |
出典: 前掲 USS「月次データ」の各年度ページ。
2027年3月期は年度途中(6か月)の累計です。
値上がりの勢いがもっとも強かったのは2025年3月期の+14.3%で、
そこから+4.1%、+6.5%と落ち着いてきた流れの先に、9月の前年割れがあります。
ところが「品質をそろえた指数」は上がっている
もう一つの公式データを見ます。業界大手のオークネットが
東京大学エコノミックコンサルティング(UTEcon)と開発した
「中古車市場価格指数」です。こちらは単純な平均ではなく、
車種・年式などの属性を統計モデルで調整して、同じ品質の中古車の値段の変化だけを取り出した指数です
(2008年7月=1が基準、年間50万台を超える同社の会員流通データを使用)。
| オークネットの指標 | 2026年9月 | 2026年8月 | 2025年9月 |
|---|---|---|---|
| 中古車市場価格指数(品質調整済み) | 2.435 | 2.428 | 2.356 |
| 前月比 | +0.29% | — | — |
| 前年同月比 | +3.35% | — | — |
| 平均取引価格(実額) | 99万2,104円 | 約99万669円 | — |
出典: オークネット循環型経済ラボ「2026年9月の中古車市場価格指数」(2026年10月29日閲覧)。
同レポートの見出しは「2026年9月の中古車市場価格指数は横ばい」です。
平均取引価格は指数作成のための外れ値処理を行ったデータによる値で、
同社の対外公表値と異なる場合があると注記されています。
🎯 2つが食い違う理由 — 相場ではなく「売られる車」が変わった
平均落札価格は前年割れ、品質調整済み指数は前年比プラス。
この食い違いについて、オークネットのレポート自身が理由を書いています。
「中古車市場価格指数」と「平均取引価格」の差に着目すると、
同じ品質のクルマの相場は大きく変わらないものの、
比較的安価なクルマの流通比率が増加していると考えられます。出典: 前掲 オークネット循環型経済ラボ 2026年9月分レポート
整理するとこうなります。
| 見ている数字 | 何を測っているか | 9月の動き | 言えること |
|---|---|---|---|
| USSの成約車両単価 | その月に売れた車の平均額 | 前年割れ(97.8%) | 売れた車の顔ぶれが安いほうへ寄った |
| オークネットの価格指数 | 同じ品質の車の値段の変化 | 前年比+3.35% | 同じ車の値段は下がっていない |
この2つを合わせると、「中古車が値下がりし始めた」とは言えません。
正確には「安い車が多く出回るようになり、平均額が下がった」です。
自分の車を売るときに関係するのは後者(同じ品質の車の値段)なので、
平均単価の前年割れだけを見て「もう高く売れない」と判断するのは早すぎます。
なおボディタイプ別では、前年同月比は全カテゴリが上昇しており、
上げ幅がもっとも大きいのはミニバンの+5.93%でした。
一方、前月比だけ見るとミッドサイズ・SUV・ラグジュアリーは低下しています。
裏づけ — 買われる台数は増えていないのに、出品が増えている
「安い車が多く出回るようになった」なら、国内で買われる台数そのものは
増えていないはずです。これは自販連(日本自動車販売協会連合会)の公式統計で確かめられます。
| どこの数字か | 期間 | 台数 | 前年比 |
|---|---|---|---|
| 国内の中古車登録台数(乗用車) 自販連 |
2026年1〜9月累計 | 2,367,684台 (前年同期 2,392,422台) |
99.0% |
| オークションの出品台数 USS |
2026年4〜9月累計 | 1,887,810台 (前年同期 1,724,682台) |
109.5% |
| 同(9月単月) | 2026年9月 | 329,966台 | 119.2% |
出典: 一般社団法人 日本自動車販売協会連合会「中古車統計データ」(中古車車種別月別登録台数、2026年10月8日公表)および前掲USS「月次データ」。
⚠️ 集計期間が違う(暦年1〜9月と年度4〜9月)ため、厳密な対比ではありません。
また登録台数は小売台数ではなく、新規登録・移転登録・変更登録の合計です(自販連の注記)。
それでも方向ははっきりしています。
国内で登録される台数はほぼ横ばい(むしろ微減)なのに、オークションに出てくる台数は1割以上増えている。
買い手の数が変わらないまま品物が増えれば、成約率は下がり、
売れるのは値段の折り合うものから、という順になります。
9月に成約率が64.4%(前年同月70.3%)まで落ちたのは、この需給の緩みの表れと考えられます。
⚠️ 「輸出が好調だから」という説明について
中古車相場の記事では「輸出需要が強いから相場が高い」という説明をよく見かけます。
当サイトも以前この記事で、日本中古車輸出業協同組合(JUMVEA)の発表として
「2025年の中古車輸出台数は前年比9.1%増の170万8,604台で3年連続過去最高」
と書いていました。
しかし今回あらためて確認したところ、この数字の出どころを特定できませんでした。
JUMVEAの公式サイトは英語の案内サイトで、輸出台数の統計は掲載されていません。
裏が取れたのは2024年の約156万台までです。したがって
2025年の台数と「3年連続過去最高」という記述は取り下げます。
当サイトとして一次情報で確認できるのは、
USSの月次コメントが相場の変動要因として輸出事業者や小売店の仕入れ動向に触れているという点までです。
円安が海外バイヤーの購買力を押し上げたという説明も業界メディアで見かけますが、
要確認(二次情報)として扱い、断定しません。
売る人・買う人が見るべき数字
売るとき — 平均単価ではなく指数を見る
平均単価が下がっても、自分の車と同じ条件の相場が下がったとは限りません。
見るべきは品質調整済みの指数とボディタイプ別の動きです。
2026年9月時点ではミニバンが前年比+5.93%でもっとも強い一方、
前月比ではSUV・ラグジュアリーが弱含みでした。
買うとき — 成約率を見る
64.4%は前年同月の70.3%から5.9ポイント下がっており、
オークションで売れ残る車が増えていることを示します。
売れ残りが増えれば販売店の在庫も動きにくくなります。
店頭での交渉余地が出やすい局面と見ることはできますが、
これは当サイトによる読み取りで、値引き額を保証するものではありません。
これから見ていく数字
- USSの月次データ — 毎月上旬に前月分が開示されます。
10月分も前年割れを続けるかどうかが分かれ目です(USS株式会社「月次データ」) - オークネットの中古車市場価格指数 — 毎月20日ごろに前月分が公開されます。
こちらが前年比マイナスに転じたら、構成の変化ではなく本当の値下がりです(オークネット循環型経済ラボ「2026年9月の中古車市場価格指数」) - 自販連の中古車登録台数 — 毎月上旬に前月分が出ます。
買われる台数が増えてくれば需給の緩みは解消に向かいます(一般社団法人 日本自動車販売協会連合会「中古車統計データ」)
まとめ
- 2026年9月、オークション平均落札価格は127万5千円・前年同月比97.8%。
2023年度から続いた上昇が初めて前年割れになりました - しかし品質をそろえた指数は2.435・前年同月比+3.35%で、
同じ車の値段は下がっていません - 食い違いの理由はオークネット公式が明記しており、安価な車の流通比率が増えたためです
- 裏づけとして、国内の中古車登録台数は前年比99.0%なのに出品台数は+19.2%、
成約率は70.3%→64.4%と需給が緩んでいます - 「値下がりが始まったか」を判断する鍵は、平均単価ではなく品質調整済み指数です
📋 この記事について
2026年10月29日に、一次情報を取り直して全面的に見直しました。
- 結論を訂正 — 以前は「上昇基調が続いている」と書いていましたが、
USSの公式月次では2026年9月に前年割れ(97.8%)していました。
あわせて、平均単価と品質調整済み指数が食い違う意味を書き加えました - 🚨 確認できなかった数字を取り下げ —
「2025年の中古車輸出台数は前年比9.1%増の170万8,604台で3年連続過去最高」と
JUMVEAの発表として書いていましたが、同組合の公式サイトに輸出統計の掲載がなく、
出どころを特定できませんでした。数字と出典の記載を削除し、
確認できなかったことを本文に明記しました - 出典のリンクを追加 —
以前は「出典:USS株式会社 IR資料」と書くだけでURLを示していませんでした。
USSの月次データページ、オークネットの該当レポート、自販連の中古車統計ページに直接リンクしました - 数値を最新に更新 —
USSは2026年9月分まで(月別の単価・前年比・成約率・出品台数と、過去3年度の累計)、
オークネットは2026年9月分(指数2.435、平均取引価格99万2,104円)まで - 国内の中古車登録台数を追加 —
需給の緩みを裏づけるため、自販連の公式統計(2026年1〜9月累計、前年比99.0%)を加えました。
集計期間が違うことも明記しています - 「オークション落札価格は店頭価格ではない」ことを明記 —
以前はこの区別を書いていませんでした
参照した一次情報(いずれも2026年10月29日閲覧):
USS株式会社「月次データ」、オークネット循環型経済ラボ「2026年9月の中古車市場価格指数」、
一般社団法人 日本自動車販売協会連合会「中古車車種別月別登録台数」
アイキャッチ画像: Car dashboard on highway (Unsplash) by Arkady Lifshits / overdriv3, CC0
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