スリップサイン直前のタイヤは新品と12m違う?出どころをJATMA・JAFのデータと保安基準で検証

タイヤのスリップサインが出る残り溝1.6mm。動画では「濡れた路面で、新品とスリップサイン直前では12mも差が出る」と紹介しました。この記事では、その12mはどの資料の、どんな条件の数字なのかを調べ、1.6mmの法的な根拠(保安基準・細目告示・道路交通法)と、違反したときの扱いもあわせて整理します。

結論から言うと、「12m」という数字を載せているのはタイヤ販売店や用語集で、日本自動車タイヤ協会(JATMA)の公開資料で確認できたのは数値の入っていないグラフでした。グラフから読み取ると、1.6mmでの差は約7mで、12mに近づくのは残り溝約1mmのあたりです。条件つきで読むのが正確です。

📋 この記事の要点

✔ 1.6mmの根拠は、保安基準第9条第2項と細目告示第89条第4項第2号。接地部の全幅で、いずれの部分も1.6mm以上。スリップサインで判定してよい。JATMAは「スリップサインが一部でも露出したタイヤは使用してはならない」としている

✔ 「新品と12m差」は、JATMAの試験例(80km/h・濡れた路面・165SR13)の曲線を当サイトが読み取ると、1.6mmで約7m、約12mの差は約1mmの付近。販売店は「45m対57m」と紹介するが、原資料の数値は確認できなかった

✔ JAFのテスト(100km/h・夏用)では、濡れた路面で新品47.6mに対し、残り溝平均3.1mmの2分山は70.5m(+22.9m)。かわいた路面ではほぼ同等だった。ただし1.6mmの状態は測っていない

✔ 距離の差を速度に直すと、80km/hでの7m差は「新品が止まる地点を約30km/hで通過する」計算(当サイト計算・目安)。メーカーとJAFは、安全面から残り溝4mmでの交換検討をすすめている

✔ スリップサインが出たまま公道を走ると「整備不良」。JAFによると普通自動車で2点・反則金9,000円。車検にも通らない。スタッドレスの使用限度は別で、新品の50%摩耗(プラットホーム)

🎬 動画で見る(ショート)

この記事の元になった、かーぎーくんのショート動画です。動画では触れられなかった詳しい内容や条文・公式情報は、このあと記事で確認できます。

▶ YouTubeで見る(YouTube「くるまのかーぎーくん」)

動画の補足と訂正:動画は「濡れた路面の制動距離は、新品とスリップサイン直前で12mも差が出る」と言い切っていました。今回、一次情報に当たったところ、(1) 12mは販売店等が「JATMAのデータ」として紹介する数字ですが、JATMAの公開資料(『タイヤの選定・使用基準』『タイヤのおはなし』)にはその数値が見当たらず、グラフのみでした。(2) 差は速度・路面・タイヤで大きく変わります。今回確認できたテストでは、約7m(JATMAのグラフ・80km/h・1.6mm)から22.9m(JAFのテスト・100km/h・平均3.1mm)まで幅がありました。正しくは「条件によるが、濡れた路面ではスリップサイン付近で数m以上長くなる」です。「車検に通らない」「出たまま走ると整備不良」の説明は、JATMAなどの記載と一致しています。

1. 「1.6mm」は法令のどこに?測り方と例外

1.6mmの根拠となる法令と、違反したときの扱い
図:1.6mmの根拠から反則金までのつながり(自作の図。令和8年10月に確認した内容)

タイヤの溝の限度は、法律ではなく国土交通省の告示に書かれています。つながりは次のとおりです。

📜 道路運送車両の保安基準 第9条第2項(条文の引用)

自動車の空気入ゴムタイヤは、堅ろうで、安全な運行を確保できるものとして、強度、滑り止めに係る性能等に関し告示で定める基準に適合するものでなければならない。

📜 道路運送車両の保安基準の細目を定める告示 第89条第4項第2号(条文の要約。括弧書き・末尾の協定規則に関する一文は省略)

接地部は、滑り止めを施したものであり、滑り止めの溝は、空気入ゴムタイヤの接地部の全幅にわたり施されている凹部(サイピング、プラットフォーム及びウエア・インジケータの部分を除く。)のいずれの部分においても1.6mm(二輪自動車及び側車付二輪自動車に備えるものにあっては0.8mm)以上の深さを有すること。この場合において、滑り止めの溝の深さについての判定は、ウエア・インジケータにより判定しても差し支えない。

📊 条文の読み方

条文の言葉 意味・注意点
全幅にわたり・いずれの部分でも 中央の溝だけでなく、接地部のどの部分も1.6mm以上が必要。JATMAは「スリップサインが一部でも露出したタイヤは使用してはならない」としている
ウエア・インジケータ スリップサインのこと。溝の深さをゲージで測らなくても、スリップサインの露出で判定してよい、という意味
二輪は0.8mm 二輪自動車と側車付二輪自動車は、基準が0.8mm
括弧書きの除外 最高速度40km/h未満の自動車や大型特殊自動車などは、この溝の基準の対象から除かれている(条文の括弧書き)

なお、この告示は国土交通省が公開しているPDF(2025年1月10日版)で確認しました。基準は改正されることがあるため、最新の内容は国土交通省の公開情報でご確認ください。

スリップサインは、タイヤの側面の△印の延長線上にある

JATMAの冊子『タイヤのおはなし』(2022年2月版)によると、スリップサインは接地部の溝に設けられた使用限度の目安で、タイヤがすり減って残り溝が1.6mmになると溝が途切れてサインが現れます。位置を示す△印などが、タイヤの両側面に、それぞれ周上4か所以上表示されています。

「1.6mm」は車種で変わる?

JATMAは、運輸省(当時)自動車局長の通達(昭和58年10月1日付)を引いて、高速走行時の摩耗限度を次のように示しています。

タイヤの種類 溝の深さ限度(高速走行時)
乗用車用タイヤ・軽トラック用タイヤ 1.6mm
小形トラック用タイヤ 2.4mm
トラック及びバス用タイヤ 3.2mm

乗用車でも、LT表示のある乗用車類似タイヤは、80km/h以上の高速走行で2.4mmの使用限度があるとJATMAは説明しています(2023年版『タイヤ選定・使用基準』)。車種やタイヤの種類を確認してください。

1.6mmは「使える下限」で、安全の目安ではない

JATMAは、タイヤの使用限度は残り溝1.6mmで、それ以前に新品タイヤへ交換するよう案内しています。ブリヂストンとJAFは、安全面から残り溝4mm前後での交換検討をすすめています。ブリヂストンは「4mmはあくまで平均で、タイヤの種類や偏平率などで異なる」とも注記しています。

2. 「新品と12m差」の出どころを調べた

「濡れた路面で、新品と1.6mmまですり減ったタイヤの制動距離には12mの差がある」という説明は、複数のサイトで見かけます。確認できた範囲を整理します。

(1) 12mを載せているサイト

タイヤ販売店のオートウェイ(「タイヤの使用限度について」)は、JATMAのデータとして、濡れた路面での新品と1.6mmまですり減ったタイヤの制動距離に12mの差があると書き、注で、80km/hの実験で新品が45m、1.6mmのタイヤが57mだったと載せています。日刊カーセンサーの用語集も、80km/hから0km/hの比較で12mの差が出たというデータがある、と紹介しています。

ただし、これらは「データがある」という紹介で、タイヤサイズ・路面・車などの試験条件や出典の文書名は書かれていません。今回確認したJATMAの資料(『タイヤのおはなし』2022年2月版、『タイヤ選定・使用基準』2023年版)には、45mや57mという数字は見当たりませんでした。

(2) JATMAの資料にあるのは「数値のないグラフ」

両方の資料に、同じ試験の図「溝の深さと制動距離」が載っています(『おはなし』版は80km/hの1本のみ)。2023年版の図9には、次の試験条件が書かれています。

項目 内容(JATMA『タイヤ選定・使用基準2023 乗用車用』図9)
タイヤ サイズ165 SR13、パターン:リブ
空気圧・荷重 170kPa、荷重425kg
車 乗用車(1,800cc)
路面 アスファルト湿潤
速度 40km/h・60km/h・80km/hの3本の曲線
縦軸 補正制動距離(m)。補正の方法は資料に記載がない

縦軸と横軸に目盛はありますが、数値の表はありません。そこで、PDFの図の座標から曲線を読み取りました(当サイトによる読み取り。誤差があります)。

濡れた路面の80km/hでの制動距離と、タイヤの溝の深さの関係(JATMA図9の読み取り)
図:JATMA図9の80km/hの曲線を、当サイトが読み取って作図(自作。値は目安)

📊 80km/hの曲線の読み取り(当サイト)

残り溝 制動距離(約) 新品(約45m)との差(約)
新品(グラフの左端・約8.5mm) 45m ―
4mm 45m 約0m
3mm 47m 約+2m
2mm 50m 約+5m
1.6mm(スリップサイン) 52m 約+7m
1mm 57m 約+12m
完全摩耗(0mm) 75m 約+30m

読み取りの結果、次のことが言えます。

▶ 溝が約4mmまでは、制動距離はほぼ横ばいです。これは、メーカーやJAFが「4mm前後」を交換検討の目安にしていることと、向きが合っています。

▶ 1.6mm(スリップサイン)での差は、約7mと読み取れます。販売店が書く「45mと57m」の57mは、曲線上では約1mmの付近です。「1.6mmで12m差」は、このグラフからはやや大きめの表現と言えます。

▶ グラフには試験点とみられる白丸もあり、約1mm付近では約61mです。曲線の読み取りには数mの幅があると考えるのが安全です。

▶ 60km/hと40km/hの曲線も読み取ると、60km/hでは新品約22mが1.6mmで約24m(約+1.5m)、40km/hでは約8mがほぼ同じで、速度が低いと差は小さいことが分かります。

(3) JAFのテスト(100km/h・夏用タイヤ)

JAFは2015年3月22日にGKNテストコースで、溝の深さが違う夏用タイヤの制動距離を測っています。JAFの解説(「雨天時のスリップ事故を防止するポイント」)では、溝は新品が平均7.6mm、5分山が4.7mm、2分山が3.1mmで、「山」は新品の溝の深さから使用限度の1.6mmを引いた数値を10分山として数えています。

JAFテスト:100km/hからの制動距離(ウェットとドライ)
図:JAFユーザーテストの直線ブレーキ(100km/h)の結果(自作の図)
夏用タイヤ(平均の溝) ウェット 100km/h ウェット 60km/h ドライ 100km/h
新品(7.6mm) 47.6m 16.7m 47.5m
5分山(4.7mm) 50.8m 16.7m 44.1m
2分山(3.1mm) 70.5m 18.0m 42.6m

濡れた路面で、2分山は新品より22.9m長く(約1.5倍)なりました。一方、かわいた路面では、3本ともほぼ同等でした(JAFの測定値は47.5m・44.1m・42.6mで、浅い溝のほうがむしろ短い結果。1回の測定のばらつきの範囲とみるのが妥当です)。つまり、溝の差は濡れた路面で効くということです。

JAFの2分山は、スリップサインの1.6mmではありません。平均3.1mmで、1.6mmより約1.5mm深い状態です。「2分山の22.9m差」をそのまま「スリップサイン直前の差」とは言えません。また、JAFのページに載っているのは距離の数値で、1.6mmの状態の測定はありません。

(4) ブリヂストンの試験:水深6mm・80km/hで1.6mmはほとんど浮く

ブリヂストンは、水深6mm・80km/hのハイドロプレーニングの試験(2011年6月19日、185/60R15、ブリヂストンのテスト場)で、溝7.1mm(新品)・3.5mm(50%摩耗)・1.6mm(使用限界)の接地の様子を比べています。同社は、「1.6mmの段階ではほとんどタイヤが浮いてしまう」、濡れた路面での制動距離は、残り溝が4mmを下回ったあたりから急激に長くなる傾向が確認されていると説明しています。こちらは制動距離の数値ではなく、接地の様子の試験です。

📊 資料ごとの条件と結果(まとめ)

資料 条件 確認できた内容 注意
JATMA 図9 80km/h・湿潤・165SR13・1,800cc乗用車 曲線の読み取りで、新品約45m、1.6mm約52m(約+7m)、約1mm約57m(約+12m) 数値の表はない。読み取りは当サイト
JAFテスト 100km/h・夏用・2015年 ウェットで新品47.6m、2分山(3.1mm)70.5m(+22.9m) 1.6mmは未測定
ブリヂストン 水深6mm・80km/h・2011年 1.6mmでほとんど接地できない(接地の試験) 制動距離の数値ではない
販売店・用語集 80km/h→0km/h 45m対57m、差12m(JATMAのデータとして紹介) 原資料の数値は確認できず

3. 差は「何m」より「何km/hで当たるか」

「7m」「12m」と言われても、イメージしにくいかもしれません。新品なら止まれる地点まで、溝の浅いタイヤはまだ何km/hで走っているかに直すと、差の意味が見えます。次の計算は、同じ強さで止まり続けると仮定した当サイトの計算(目安)です。

新品が止まる地点を、溝1.6mmのタイヤが通過するときの速度
図:80km/hからのブレーキで、新品が止まる地点を溝1.6mmのタイヤが約30km/hで通過する計算(自作の図・当サイト計算。左側通行で上半分は右向き)
比較 差 新品が止まる地点での速度(計算)
JATMA図9(80km/h)の読み取り: 約45mと約52m 約7m 約30km/h
販売店の紹介する数字(80km/h): 45mと57m 12m 約37km/h
JAFテスト(100km/h): 47.6mと70.5m(2分山) 22.9m 約57km/h

計算の考え方は、「ブレーキの強さが一定なら、止まるまでの距離は速度の2乗に比例する」というものです。たとえば80km/hで、新品が45mで止まり、溝の浅いタイヤが52mかかるなら、新品が止まる地点でのタイヤの速度は、80km/h × √(7÷52)≒0.37倍、つまり約30km/hになります(図から読み取った小数値で計算しても約30km/hです)。

注意:実際のブレーキは一定の強さとは限らず、路面・タイヤ・車・ABSの作動で変わります。この計算は公的機関の数値ではなく、差の大きさを実感するための目安です。「止まれる距離の差」は、「障害物に届いたときの速度」の差としても読めます。

4. スリップサインが出たまま走ると

1.6mm未満(スリップサインの露出)のタイヤは保安基準に適合しないため、次の扱いになります。

📜 道路交通法 第62条(整備不良車両の運転の禁止。条文の要約)

車両等の使用者その他車両等の装置の整備について責任を有する者又は運転者は、その装置が道路運送車両法第三章若しくはこれに基づく命令の規定に定めるところに適合しないため交通の危険を生じさせ、又は他人に迷惑を及ぼすおそれがある車両等(整備不良車両)を運転させ、又は運転してはならない。

📊 スリップサインが出たまま走ったときの扱い(普通自動車)

項目 内容 根拠・出典
違反の名称 整備不良(車両の運転の禁止) 道路交通法第62条
違反点数・反則金 2点・9,000円(JAFの解説)。大型車12,000円・二輪車7,000円・原付等6,000円は施行令別表第六 JAF、警視庁の点数表(自動車等整備不良(制動装置等)2点)、道路交通法施行令別表第六(十六)
罰則(本則) 三月以下の拘禁刑又は五万円以下の罰金 道路交通法第119条第2項第2号
車検 残り溝が基準未満のタイヤは「整備不良」として使用禁止または車検不合格 JATMA『タイヤのおはなし』
使用者の義務 使用者は点検・整備をして保安基準に適合するよう維持する義務(日常点検を含む) 道路運送車両法第47条・第47条の2
整備命令 保安基準に適合しない状態のとき、地方運輸局長は必要な整備を命じることができ、従わなければ使用を停止できる 道路運送車両法第54条

なお、整備不良の点数・反則金は、タイヤの溝そのものを名指ししたものではなく、道路交通法施行令別表第二の備考にある「自動車等整備不良(制動装置等)」(制動装置、かじ取装置、走行装置、自動運行装置、騒音防止装置に係るもの)の区分です。タイヤは保安基準第9条の「走行装置等」の条にあり、JAFもこの区分で2点・9,000円と説明しています(この整理は当サイトによるものです)。運用の詳細は、警察など公的機関にご確認ください。

JAFは、日常点検の項目として「タイヤの溝の深さ」を挙げ、溝の不足によるトラブル例に「制動距離が長くなる」を示しています。溝は4本すべて、複数の箇所で確認しましょう。偏った減り方(偏摩耗)で、一部だけスリップサインが出ることもあります。

5. スタッドレスの使用限度は別(プラットホーム)

冬用タイヤ(スタッドレス)には、スリップサインのほかに「プラットホーム」があります。JATMAは、プラットホームを「日本国内における道路交通法施行細則等によって定められた冬用タイヤとしての使用限度を示すために、接地部の溝に設けられている目印」で、残り溝が新品時の50%になると現れると説明しています。

項目 内容 出典
冬用としての限度 積雪・凍結路では、残り溝が新品時の50%未満のタイヤは使用しない。プラットホームが設けられていれば、露出しているかで判断する JATMA
50%摩耗後の使い方 50%以上摩耗した冬用タイヤは、1.6mm(スリップサイン露出)までは夏用タイヤとして使用できる JATMA(2023年版)
大型車への注意喚起 運行前に、溝深さ50%を示すプラットホームで確認する 国土交通省
新品との目安 新品の約10mmから50%摩耗の約5mmが交換の目安 JAF

JAFのテストでは、プラットホームが出現したスタッドレスは、濡れた路面の100km/hで制動距離が72.2m、60km/hの旋回ブレーキで26.7mでした(夏用の10分山は旋回19.4m、2分山は20.6m)。JAFは、スタッドレスはドライ・ウェットのどちらでも制動距離が伸びることから、路面に応じた使い分けが望ましいとまとめています。なお、このテストはタイヤの種類が違うため、摩耗の影響だけを比べたものではありません。

冬用タイヤの使用限度(新品時の50%)は、JATMAによると「道路交通法施行細則等で定められた」ものです。都道府県ごとに規定が異なり、JATMAが掲載する抜粋(2026年8月現在)では、岩手・宮城・秋田・山形・福島・石川・福井・兵庫・鳥取・広島の規則が、スノータイヤを「接地面の突出部が50パーセント以上摩耗していないもの」としています。全国一律の規定ではないため、走行する地域の規則や道路管理者の案内をご確認ください。

6. よくある質問

Q. スリップサインが出る前(1.6mm以上)なら、法的には問題ありませんか?

A. 細目告示の基準は「いずれの部分も1.6mm以上」なので、1.6mm以上あれば溝の基準は満たします。ただし、JATMAは「それ以前に新品タイヤと交換して下さい」とし、ブリヂストン・JAFは安全面から残り溝4mm前後での交換検討をすすめています。

Q. 残り溝4mmが目安になるのはなぜですか?

A. ブリヂストンは、濡れた路面での制動距離が、残り溝が4mmを下回ったあたりから急激に長くなる傾向が確認されていると説明しています。JATMAの図9の曲線でも、約4mmまではほぼ横ばいで、その先で上向きます。ただし4mmは平均で、タイヤにより異なります。

Q. スリップサインが1か所だけ出ていても使えませんか?

A. JATMAは「スリップサインが一部でも露出したタイヤは使用してはならない」としています。JAFも、1か所でも現れたタイヤで公道を走行すると保安基準不適合(整備不良)になると説明しています。

Q. 「新品と12m差」は本当ですか?

A. 条件つきでなら、近い数字は出ます。JATMAのグラフ(80km/h・濡れた路面・165SR13)の読み取りでは、新品との差は1.6mmで約7m、約1mmで約12mです。JAFのテスト(100km/h)では平均3.1mmで22.9mでした。速度が低いと差は小さくなります。「12m」は目安の一つとして読んでください。

Q. かわいた路面なら、スリップサインが出ていても大丈夫ですか?

A. いいえ。JAFのテストでは、かわいた路面の制動距離は溝が浅くてもほぼ同等でしたが、溝の基準(1.6mm以上)は路面の状態に関係なく適用されます。スリップサインが出たタイヤでの走行は、整備不良の対象です。

まとめ

スリップサインが出る残り溝1.6mmは、保安基準第9条第2項と細目告示第89条第4項第2号に基づく使用の下限です。接地部のどの部分も1.6mm以上が必要で、スリップサインが一部でも出たら使えず、出たまま走ると整備不良(普通自動車で2点・反則金9,000円。JAF)、車検も不合格です。

「新品と12m差」は、JATMAのグラフからの読み取りでは1.6mmで約7m、約1mmで約12m、JAFのテスト(100km/h)では平均3.1mmで22.9mでした。数字は速度・路面・タイヤで変わるため、条件つきで読むのが正確です。溝の差が出るのは濡れた路面で、安全面では残り溝4mm前後での交換検討がすすめられています。動画の後半で触れた空気圧と製造年週も、あわせて点検しましょう。

※本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。法令・基準・反則金は改正されることがあるため、最新の内容や個別の判断は、国土交通省・警察庁・各都道府県警察などの公式情報や、タイヤ販売店・整備工場でご確認ください(2026年10月時点)。「当サイト」とあるグラフの読み取り・計算は、公的機関の数値ではなく目安です。

参考(一次情報・公的機関・業界団体・JAF・メーカー): e-Gov法令検索 道路運送車両の保安基準(第9条)/国土交通省 細目告示 第89条(走行装置)(2025.1.10版)/同 道路運送車両法(第41条・第47条・第47条の2・第54条)/同 道路交通法(第62条・第119条)/同 道路交通法施行令(別表第二・別表第六)/警視庁 違反点数/JATMA 安全に乗るために/JATMA タイヤ選定・使用基準2023 乗用車用(図9・第2章)/JATMA タイヤのおはなし 乗用車用タイヤ編(2022年2月)/JATMA 冬道走行とタイヤ/JAFユーザーテスト 摩耗タイヤの検証/JAF 雨天時のスリップ事故を防止するポイント/JAF タイヤ交換の目安/JAF 日常点検15項目/ブリヂストン ハイドロプレーニング現象/ブリヂストン タイヤの寿命・交換目安/国土交通省 冬用タイヤの溝深さに注意/オートウェイ タイヤの使用限度について(「12m」の紹介例)/日刊カーセンサー スリップサイン(同)

図はすべて自作です(AI生成なし)。図1・図4の数値は、JATMA図9のPDFデータから当サイトが読み取った目安です。

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