対人・対物賠償はなぜ「無制限」が基本なのか、適切な補償額の考え方

自動車保険の見積もりで補償額を選ぶとき、対人賠償・対物賠償の欄には「無制限」という選択肢があります。なぜこの2つだけは無制限にすることが強く推奨されるのか、その理由と考え方を解説します。

📋 この記事でわかること

  • 対人賠償・対物賠償が補償する内容
  • 自賠責保険だけでは不十分な理由
  • 賠償額が高額化する背景
  • 無制限にしても保険料への影響が小さい理由

対人賠償・対物賠償とは

対人賠償保険は、事故で相手を死傷させてしまった場合の損害賠償責任をカバーする補償です。対物賠償保険は、相手の車や建物、ガードレールなど「物」を壊してしまった場合の賠償責任をカバーします。どちらも「自分が加害者になったとき」に、相手に対して支払う損害賠償金を補償するものです。

自賠責保険だけではカバーしきれない

すべての自動車に加入が義務付けられている自賠責保険は、被害者に対する最低限の補償を目的とした強制保険です。しかし対人分野に限っても支払い上限が設けられており、対物に関する賠償は自賠責保険の対象外です。交通事故の損害賠償額は、後遺障害の程度や被害者の年齢・収入などによって大きく変動し、自賠責保険の上限を超えるケースも珍しくありません。任意保険の対人・対物賠償は、この自賠責保険で足りない部分を補う役割を担っています。

賠償額が高額化する背景

交通事故の損害賠償額は、被害者が重い後遺障害を負ったり、事故によって働けなくなったりした場合、将来にわたる逸失利益(本来得られたはずの収入)まで含めて算定されます。若く収入の高い被害者ほど、算定される逸失利益は大きくなる傾向があります。対物事故でも、店舗や住宅への衝突、積み荷の損害などが重なれば、賠償額が高額になることがあります。こうした高額賠償のリスクに備えるため、対人・対物賠償は上限を設けない「無制限」が基本とされています。

無制限にしても保険料への影響は小さい

対人賠償を「3000万円」から「無制限」に引き上げても、保険料の増加幅は他の補償項目に比べてわずかであることがほとんどです。一方で、上限を低く設定して万一高額な賠償が発生した場合、超過分は自己負担になってしまいます。保険料への影響が小さいにもかかわらず万一のリスクを大きく減らせるため、対人・対物賠償を無制限にすることは、費用対効果の高い選択といえます。

示談交渉サービスの有無も確認する

任意保険に加入していれば、通常は保険会社が契約者に代わって被害者との示談交渉を行ってくれます。この示談交渉サービスがあるかどうかも、保険選びの際に確認しておきたいポイントです。ただし、自分の過失がゼロの「もらい事故」では、弁護士法の規定により保険会社が示談交渉を代行できないため、この場合に備えるなら弁護士費用特約の検討も有効です。

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まとめ

対人・対物賠償は、自分が加害者になったときに相手の人生や生活に大きな影響を与えうる補償です。保険料への影響が小さい一方でリスクの大きさは計り知れないため、無制限に設定しておくことが基本的な考え方として広く推奨されています。

アイキャッチ画像: 「Car seat belt 20160810」by Santeri Viinamäki(Wikimedia Commons, CC BY-SA 4.0)

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