台風・大雨で車が冠水・水没したら|アンダーパスの危険、脱出方法、保険の使い方を公式情報で解説

Photo(資料写真・イギリス・2019年9月撮影): Paul Collins / Geograph Britain and Ireland via Wikimedia Commons, CC BY-SA 2.0(一部をトリミング)

台風25号が関東に近づいている今、注意したいのが「道路の冠水」です。2026年8月の千葉豪雨では、国道のアンダーパス(立体交差の下をくぐる低い道路)が冠水し、車内にいた男性1人が亡くなる事故が起きました。この記事では、JAF・国土交通省・損害保険会社などの公式情報をもとに、冠水した道路の危険、水没しそうになったときの脱出、水が引いたあとの対処、車両保険の使い方をまとめます。

📋 この記事でわかること
・冠水路は「何cm」から危険か(JAFのテスト結果)
・アンダーパスが特に危ない理由と、千葉豪雨の事例
・車が水没しそうなとき、脱出するための行動
・水が引いたあと「やってはいけないこと」
・車両保険で補償される範囲と、等級への影響
・台風の前にできる備えのチェックリスト

💡 先に結論(5つの鉄則)
冠水した道路には入らない。見た目が浅くても、迂回する。
アンダーパスは、大雨・台風のときは通らない。
③ 水没しそうになったら、窓が水面より上にあるうちに、窓から脱出する。ドアは水圧でほとんど開かない。
④ 水が引いても、自分でエンジンをかけない。販売店・整備工場・JAFに連絡する。
⑤ 台風・洪水による水没は、車両保険を契約していれば補償される。ただし使うと、翌年の等級が1つ下がる。

千葉豪雨で起きたこと(アンダーパス冠水事故)

2026年8月13〜14日、千葉県を記録的な豪雨が襲い、千葉市の国道16号「村田町アンダーパス」が冠水しました。乗りものニュースや日本経済新聞などによると、この冠水で車内の男性1人が亡くなり、アンダーパスに設置されていた排水ポンプが、停電のときに作動しなかったことが判明しています。千葉国道事務所が原因を調べており、調査は続いています。

アンダーパスの冠水事故は、以前から繰り返されてきました。国土交通省は2008年9月、栃木県鹿沼市と広島県広島市でアンダーパスが冠水して車が水没する事故が起きたことを受け、都道府県・政令市に「道路冠水による事故の防止」について通知しています。短時間の豪雨で、低い場所に雨水が急に集まることが原因とされています。

冠水路は、何cmから危険か?(JAFの走行テスト)

JAFは、2024年10月28日〜30日に、三重県伊賀市のジェイテクト伊賀試験場で、電気自動車(BEV)・ハイブリッド車(HV)・ガソリン車(軽自動車)を使った冠水路走行テストを行いました(プロのスタントマンが運転)。水深は30cmと60cm、進入速度は10km/h・30km/h・40km/hで検証しています(40km/hは水深60cmのみ)。

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水深・速度 電気自動車(BEV) ハイブリッド車(HV) ガソリン車(軽自動車)
30cm・10km/h 走り切った 走り切った 走り切った
30cm・30km/h 走り切ったが、アンダーカバーが外れ、ボンネット内に浸水 走り切ったが、ホイールカバーと牽引フックが外れ、ボンネット内に浸水 走り切ったが、車内とボンネット内に浸水
60cm・10km/h 走り切った 走り切った 走り切ったが、エアクリーナーの一部が濡れた
60cm・30km/h 走り切ったが、複数の警告灯が点灯 走り切ったが、エアクリーナーが完全に濡れた 走り切ったが、エアクリーナーが完全に濡れ、車内に水が大量に侵入
60cm・40km/h 走り切ったが、複数の警告灯が点灯 走り切ったが、走行後にエンジンが停止し、複数の警告灯が点灯 走り切れず、28.5m地点で停止。車内に水が大量に浸水

出典:JAFユーザーテスト「冠水路走行テスト〜電気自動車(BEV)・ハイブリッド車(HV)・ガソリン車で検証〜」

JAFは、テスト結果を次のようにまとめています。

  • 走り切れた場合でも、ボンネット内や車内に水が入ったケースが多かった。
  • 電気自動車はモーターが止まらなかったが、複数のシステム故障の警告が出た。「エンジンがないから大丈夫」と安易に冠水路へ入るのは危険。
  • 速度が高いと巻き上げる水が増え、エンジンルームに水が入りやすくなる。ハイブリッド車もエンジンを積んでいるため、同様のリスクがある。
  • 実際の冠水路は濁って水深を見た目で判断しにくく、マンホールが開いていたり、見えない側溝があったりする。浅く見えても進入は危険。遭遇したら、できるだけ迂回する。

ドアが開かなくなる水深

乗りものニュースによると、国土交通省は「水深がドアの下端に達すると、水圧で内側からドアを開けるのが困難になり、ドアの高さの半分を超えるとほぼ開けられなくなる」としています。また、JAFによれば、乗用車が走れる水深の目安は、車の床面が浸からない程度が一般的とされています。東京都は「水深が30cm以上になるとエンジンが停止する危険性がある」としています。

アンダーパスが特に危険な理由

  • 周囲より低い場所にあり、短時間の豪雨で雨水が急激に集中して冠水する(国土交通省)。
  • 見た目では水深がわかりにくく、進入してみて初めて深さに気づくことがある(JAF・乗りものニュース)。
  • 排水ポンプが停電などで止まると、水位が急に上がる(千葉豪雨の事例)。

大雨警報が出ているとき、台風が近づいているときは、アンダーパスや線路・河川の下をくぐる低い道路を避けるルートを、出発前に決めておきましょう。ナビが最短ルートとして案内しても、冠水の危険がある場所は自分で避ける判断が必要です。

車が水没しそうになったら:脱出の手順

国土交通省の「水中に転落したときの脱出方法」を、冠水・水没時にも当てはまる考え方として整理します。自動車は、状況や車種にもよりますが、水没しても数分間は浮いています。その間に脱出します。

  1. 窓が水面より上にあるうちに、シートベルトを外し、窓を開けて脱出する。電動窓でも、開かないとは限らないので、とにかく開けてみる。
  2. ドアは水圧のため、ほとんど開かない。窓から出る。
  3. 窓が十分に開かないときは、水面より上にある側面・後面のガラスを脱出用ハンマーで割る。ハンマーは手の届く位置に固定しておく。前面のガラスは割ってもひびが入るだけで、脱出できない。
  4. 窓から出られないときは、車室内の水位が胸か首まで来るのを待ち、大きく息を吸ってから、ドアを開けて脱出する。車内外の水圧差が小さくなると、ドアが開けられるようになる。電磁式ドアロックでも、各ドアの手動レバーやノブで解除できる。

⚠️ 水没してからでは、脱出しにくくなります
水中に沈んでからの脱出は難しくなります。危険を感じたら、水位が低いうちに、車を捨てて安全な場所へ避難するのが最優先です。無理に走り抜けようとしないでください。

水が引いたあと:「やってはいけない」こと

水が引いたあとも、危険は残ります。レスポンスが国土交通省・JAFの呼びかけをまとめた記事によると、次のとおりです。

  • 自分でエンジンをかけない。外見に問題がなくても、電気系統のショートによる火災・感電、エンジンやブレーキの異常が起きている可能性があります。JAFは、車内まで冠水した車は、各部の点検が終わるまでエンジンを始動しないよう呼びかけています。
  • 販売店や整備工場に相談する。再び使用する場合は、自分で判断せず、購入した販売店や最寄りの整備工場に相談してください。
  • 使用するまでの間の発火を防ぐため、バッテリーのマイナス側の端子を外し、外した端子がバッテリーに接触しないようテープなどで覆うよう、国土交通省が案内しています。
  • ハイブリッド車・電気自動車は、むやみに触らない。高電圧のバッテリーを搭載しているためです。
  • 海水(高潮など)に浸かった車は、塩分の影響で電気系統がショートし、火災が起きる可能性があります(JAF)。自己判断せず、点検を受けてください。

車両保険は使える?等級はどうなる?

  • 補償の有無:東京海上日動は、台風や大雨による洪水で車が水没した場合、車両保険を契約していれば補償されるとしています。契約内容の詳細は、各社の車両保険のページで確認できます。
  • 補償されないケース:SOMPOダイレクトの解説によると、地震・津波・噴火が原因の損害は、自動車保険の補償対象外です。また、プランによっては、「自宅・車庫での水災」を補償から外せる設定があり、その場合は自宅の車庫や月極駐車場での水害は補償されません。保険会社・プランごとに違うので、契約内容の確認が必要です。
  • 等級への影響:台風などの水害で車両保険を使うと「1等級ダウン事故」となり、次回の更新時に等級が1つ下がり、「事故有係数適用期間」が1年加算されます(SOMPOダイレクトの解説)。
  • 被害にあったとき:水が車のフロア面を超えた場合は、速やかに車を停め、エンジンを止める。車を動かす必要があるときは、シフトをニュートラルにしてサイドブレーキを解除し、手で押して動かす。完全に水没した場合は、JAFや保険会社のロードサービスに連絡する(SOMPOダイレクトの解説)。

台風の前にできる備えチェックリスト

以下は、公式情報をもとに当サイトが整理した備えです。

  • ☐ 駐車場所の浸水リスクを、国土交通省のハザードマップポータルサイトで確認する
  • ☐ 脱出用ハンマーを、運転席から手の届く位置に固定する(ダッシュボードの中やトランクではなく)
  • ☐ 大雨・台風のときに通るルートから、アンダーパスや低い道路を外しておく
  • ☐ 加入中の自動車保険の、車両保険の有無と水災の補償範囲(自宅・車庫を含むか)を確認する
  • ☐ 保険会社・JAFのロードサービスの連絡先を、スマートフォンに登録しておく
  • ☐ 燃料を多めに入れ、停電に備えて、スマートフォンの充電手段を用意しておく
  • ☐ 水没した車の被害を記録するため、動かす前に、水位がわかる写真を撮る(安全を確保したうえで)

台風・大雨に備えたカー用品は、梅雨・台風対策カー用品まとめもご覧ください。今日の台風25号と渋滞・通行止めの最新情報は、シルバーウィーク×台風25号の記事で更新しています。

よくある質問(FAQ)

Q. 電気自動車なら、冠水路を走れますか?
A. JAFのテストでは、電気自動車は水深60cmでも走り切れましたが、複数の警告灯が点灯しました。JAFは「エンジンがないから大丈夫」と安易に冠水路へ入るのは危険としています。

Q. 水深が何cmまでなら走れますか?
A. 一般には、車の床面が浸からない程度が目安とされています(JAF)。東京都は水深30cm以上でエンジンが停止する危険があるとしています。実際は濁って水深がわからず、見えない危険もあるため、冠水路には入らず迂回するのが基本です。

Q. 濡れただけなら、乾かせば乗れますか?
A. 外見に問題がなくても、電気系統のショートによる火災・感電、エンジン・ブレーキの異常が起きている可能性があります。自分でエンジンをかけず、販売店・整備工場・JAFに相談してください。

Q. 保険を使うと、保険料は上がりますか?
A. 台風などの水害で車両保険を使うと、1等級ダウン事故となり、次回の更新時に等級が1つ下がって保険料が上がる場合があります。詳細は加入中の保険会社に確認してください。

出典(2026年9月20日確認)

※本記事は、2026年9月20日時点で公開されている公式情報・報道をもとに、当サイトが整理したものです。保険の補償範囲・等級の扱いは、保険会社・契約内容によって異なります。緊急時は、110番・119番、JAF(ロードサービス短縮ダイヤル #8139)などにご連絡ください。事故の原因調査は継続中であり、今後の発表で内容が変わる場合があります。

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