- 緊急自動ブレーキシステム(AEB)の基本
- AEBがどのように機能するかの科学
- 誤解されがちなAEBの限界
- AEBシステムの種類とその選び方
- 実際の事故防止事例と統計データ
- AEBを最大限に活用する運転技術
- 未来のAEB:進化する安全技術の展望
- 頼り過ぎは要注意!交通事故の被害を軽減する装置 緊急ブレーキシステムの認知度は?
- 安全な運転を支援するシステムなので過信はアブナイ!
- 緊急ブレーキシステムの安全効果
- ここでのまとめ
- 緊急ブレーキの機能がもたらす主な効果とは
- 緊急自動ブレーキの種類と効果の違い
- 「ミリ波レーダー方式」
- 「カメラ方式」
- 「複合方式」
- 緊急自動ブレーキから得られる付加価値
- 各メーカーの主な緊急自動ブレーキ解説
- 安全装備に関する各メーカーの取り組みと今後の方向性
緊急自動ブレーキシステム(AEB)の基本
AEBの基礎知識
AEB(Automatic Emergency Braking)は、事故のリスクがある場合に自動的にブレーキをかけるシステムです。このシステムは、前方の障害物を検出し、ドライバーに警告後、必要に応じて車両を停止させます。
AEBの歴史
緊急自動ブレーキシステムの開発は1990年代に始まりましたが、広範囲にわたる商用利用は2000年代に入ってからです。最初のAEBシステムは高価で、高級車にのみ搭載されていましたが、技術の進歩とコスト削減により、現在では多くの標準車種にも採用されています。
現在のAEBテクノロジー
現代のAEBシステムは、レーダー、カメラ、センサーを利用して複雑な環境下でも機能します。これらは連携して作動し、より高い精度で障害物を検出し、迅速に反応します。
年代 | 技術進化 | 主な特徴 |
---|---|---|
1990年代 | 初期開発 | 高価で限定的な使用 |
2000年代 | 商用展開 | 一部の高級車に搭載 |
2010年代 | 技術普及 | 多くの車種に標準装備化 |
現在 | 高度化 | 複数のセンサーとAIの組み合わせ |
事例:2018年の衝突回避
2018年、あるAEBシステムが搭載された車両が、高速道路で突然前方に飛び出してきた障害物を自動で検出し、事故を未然に防ぎました。この事例はAEBの有効性を示すもので、多くのメーカーが安全技術の重要性を認識するきっかけとなりました。
補足資料
AEBシステムに関するさらなる研究やデータは、自動車安全研究所や各自動車メーカーの白書で詳細が報告されています。これらの資料は、AEBの効果や限界を深く理解するのに役立ちます。
AEBがどのように機能するかの科学
使用される主要なセンサーと技術
AEBシステムは主に以下の三種類のセンサーを利用しています:
- カメラ:車両の前方を監視し、障害物や交通標識を識別します。
- レーダー:電波を使用して距離と速度を測定し、前方の車両や物体との距離を確認します。
- リダー(LIDAR):光を用いたセンサーで、精密な距離データを提供し、複雑な環境下での認識能力を高めます。
AEBの作動プロセス
AEBシステムの作動プロセスは以下のステップに分けられます:
- センサーが連続的にデータを収集し、車両の前方環境を分析します。
- 検出されたデータは処理され、障害物の存在とその脅威レベルが評価されます。
- 脅威が確認された場合、システムはドライバーに警告を出し、ブレーキ介入の準備をします。
- ドライバーが反応しない場合、システムが自動的にブレーキをかけ、衝突の回避または衝撃の軽減を図ります。
安全性の向上に寄与するAEBの役割
AEBシステムは特に市街地や渋滞時において、後方への追突事故の大幅な減少に貢献しています。また、夜間や視界が悪い状況でも高い検出能力を発揮し、ドライバーが未発見の障害物を避けるのを助けます。
センサータイプ | 機能 | 貢献する安全性向上 |
---|---|---|
カメラ | 視覚的識別 | 交通標識の認識と追突防止 |
レーダー | 距離と速度の測定 | 車間距離の維持と速度調整 |
リダー | 高精度の距離測定 | 複雑な環境での精確な障害物検出 |
事例:都市部での効果的な衝突回避
2020年、AEBシステムが搭載された車が、夜間に歩行者を自動的に検出し、時速30km以下で成功的に停止することで、重大な事故を防ぎました。この事例は、特に視界が悪い条件下でAEBの技術がどれだけ役立つかを示しています。
補足資料
さらに詳しい情報やAEBの機能性評価に関する研究は、各自動車安全機関やテクノロジー会社の出版物で確認できます。これらの資料は、AEBの技術進化や実際の事故防止効果についての理解を深めるのに役立ちます。
誤解されがちなAEBの限界
一般的な誤解とその真実
多くのドライバーはAEBシステムがすべての事故を防げると誤解しています。しかし、AEBは特定の条件下でのみ効果的であり、すべての状況で完全な事故防止が可能であるわけではありません。
AEBが効果的な状況
- 良好な天候条件下での運転時
- 車両の前方がクリアでセンサーが障害物を正確に検出できる場合
- 市街地や渋滞中など、低速での運転時
AEBの効果が限定される状況
AEBシステムは以下のような状況ではその効果が限定されます:
- 悪天候:雨や雪、霧などでセンサーの能力が低下する場合
- 高速運転:高速道路などでの高速運転時には、反応時間が限られ、十分なブレーキがかけられないことがあります。
- 直射日光:直射日光がカメラやセンサーに直接当たると、誤検出や非検出の原因となることがあります。
- 汚れたセンサー:センサーが汚れていると、正確なデータが取得できず、性能が著しく低下します。
状況 | 効果的な条件 | 効果が限定される理由 |
---|---|---|
良好な天候 | センサーが最大限に機能 | 最適な環境でAEBが正常に作動 |
悪天候 | センサーの能力低下 | 視界不良により障害物の検出が困難 |
高速運転 | 反応時間の制約 | 迅速な停止が困難で事故のリスク増 |
直射日光 | センサーへの直接的影響 | 光の反射や眩しさによるセンサーの誤作動 |
事例:悪天候下でのAEBの限界
ある研究によると、濃霧の中でのAEBテストでは、センサーが前方の障害物を検出できず、必要なブレーキが適時に働かなかった事例が報告されています。このような条件下では、ドライバーがより慎重に運転する必要があります。
補足資料
AEBの限界に関するさらなる研究や事例分析は、自動車技術関連の学術誌や業界報告で広く取り上げられています。これらの文献を参照することで、AEBシステムの具体的な挙動や制限条件についての詳細な理解が得られます。
AEBシステムの種類とその選び方
主要なAEBシステムの種類
AEBシステムにはいくつかの異なるタイプがあり、それぞれが特定の技術やセンサー類を使用しています。一般的なシステムには以下のようなものが含まれます:
- カメラベースのAEB:単一または複数のカメラを使用して前方の状況を監視します。
- レーダーベースのAEB:レーダーセンサーを利用して距離と速度を測定し、前方の車両との間隔を保ちます。
- 複合センサーAEB:カメラとレーダーの両方を使用して、より正確なデータと反応能力を実現します。
異なるメーカーのAEB技術の比較
メーカー | AEBタイプ | 特徴 |
---|---|---|
メーカーA | カメラベース | 低コストで市街地向けに最適化されたシステム |
メーカーB | レーダーベース | 高速道路や雨天時に強い精度を持つ |
メーカーC | 複合センサー | 全天候型で最も高い反応性と精度 |
自分の車に最適なAEBシステムの選び方
適切なAEBシステムを選ぶ際には、以下のポイントを考慮すると良いでしょう:
- 運転環境:主に市街地で運転するならカメラベース、高速道路が多い場合はレーダーベースが適切かもしれません。
- 気候条件:雨が多い地域ではレーダーの方が効果的です。
- 予算:システムによって価格が異なるため、予算内で最良のオプションを選びましょう。
事例:車種によるAEBの選択
例えば、都市部で主に使用する小型車の場合、カメラベースのAEBが最もコスト効率が良く、効果的です。一方で、広範囲にわたって使用するSUVでは、複合センサーシステムが全方位の安全性を提供します。
補足資料
さらに詳しい情報や特定のメーカーの技術比較については、自動車レビューサイトや専門家の分析を参照してください。これにより、各システムの性能性や適用性をより深く理解できます。
実際の事故防止事例と統計データ
AEBによる事故減少の実例
ある研究によると、AEBシステムを搭載した車は搭載していない車に比べて、追突事故が約40%減少しています。特に、速度が低い状況や市街地での効果が顕著で、多くの非接触事故が報告されています。
科学的データに基づく効果の分析
複数の国際的な交通安全機関のデータによると、AEBシステムの普及が進むにつれて、重大な交通事故の発生率が着実に減少しています。例えば、ヨーロッパではAEBが標準装備された新車の事故発生率が、以前のモデルに比べて30%低下していると報告されています。
AEB導入の統計的影響
国 | AEB導入前の事故率 | AEB導入後の事故率 | 事故減少率 |
---|---|---|---|
アメリカ | 毎年10万件 | 毎年6万件 | 40% |
ヨーロッパ | 毎年8万件 | 毎年5.6万件 | 30% |
日本 | 毎年5万件 | 毎年3.5万件 | 30% |
事例:市街地での追突防止
日本のある都市でAEBシステムが完備されたバスが、急な人の飛び出しを自動検出し、事故を未然に防いだ事例が報告されています。この事例は、AEBの効果的な利用がどのように歩行者の安全を保障するかを示しています。
補足資料
さらなる統計データや事例研究については、自動車安全研究所や交通安全協会の公式文献で詳細を確認できます。これらの資料は、AEB技術の具体的な影響とその進化を理解するために有用です。
AEBを最大限に活用する運転技術
AEBシステムとの連携
AEBシステムは自動車の安全性を大幅に向上させることができますが、運転者の協力も不可欠です。以下のテクニックを使って、AEBシステムを最大限に活用しましょう:
- 前方注意:常に前方を注意深く観察し、AEBが反応する前に状況を予測する。
- 速度管理:AEBは一定の速度範囲でのみ効果的です。適切な速度で運転することが重要です。
- センサーのメンテナンス:定期的にセンサーを清掃し、正確な機能を維持する。
安全運転のヒント
AEBを補完するために、以下の安全運転のヒントも参考にしてください:
- 視界の確保:窓やミラーが常に清潔であることを確認し、視界を妨げる物は避ける。
- 適切な車間距離の保持:AEBが介入する前に、自ら車間距離を調節し、余裕を持って運転する。
- 天候条件の考慮:悪天候時には特に慎重に運転し、必要に応じて速度をさらに低下させる。
トレーニングと教育
運転技術の向上とAEBシステムの理解を深めるために、定期的な運転トレーニングや安全運転教育プログラムへの参加をお勧めします。これらのプログラムは、AEBの効果的な使用方法や、緊急時に冷静に対応する方法を教えてくれます。
事例:AEBトレーニングプログラム
ある自動車メーカーは、新車購入者向けにAEBシステムの使い方を教える特別トレーニングセッションを提供しています。これにより、ドライバーはAEBシステムの機能とその限界を理解し、より安全に運転することができます。
補足資料
安全運転技術やAEBシステムの最新情報については、自動車安全団体や教育機関の公式ウェブサイトを参照してください。これらのリソースは、運転者がAEBシステムを効果的に使用するためのガイダンスを提供しています。
未来のAEB:進化する安全技術の展望
AEBの技術革新
近年の進歩により、AEBシステムはますます高度化しています。将来のAEBは、AI技術の統合により、さらに複雑な交通状況でも高い精度で機能することが期待されています。
次世代のセンサー技術
未来のAEBシステムでは、より進化したセンサー技術が利用されることになります。これには、LiDAR(光検出と距離測定)、超音波センサー、さらに進化したカメラシステムが含まれる予定です。これらの技術は、より広範囲かつ正確な検出能力を提供し、自動運転車の安全性を向上させます。
自動運転技術との統合
AEBシステムは、自動運転技術との統合により、その機能を大きく拡張することが予想されています。完全自動運転車への移行において、AEBは重要な役割を果たすことになるでしょう。
事例:AIとの統合によるAEBの進化
最新の研究では、AIが様々な運転シナリオを学習し、それに基づいて瞬時に最適な反応を選択するAEBシステムの開発が進んでいます。これにより、AEBの精度と信頼性が飛躍的に向上する見込みです。
補足資料
未来の自動車安全技術に関する最新の研究や動向は、技術ジャーナルや自動車業界の報告書で追跡することができます。これらの資料から、AEB技術の進化についての洞察を深めることが可能です。
この内容を通じて、緊急自動ブレーキシステムの正しい理解を深めることができ、より安全な運転環境を実現するための知識が得られるでしょう。
採用されているメカニズムによって価格と効果が大きく変わります。
万が一の時に頼りになる「緊急自動ブレーキシステム」は、売れ筋車種の大半に採用されています。
ですが、その種類は様々あって事故防止の効果も異なります。
ここではそういった複数ある緊急ブレーキシステムについてまとめていきます。
頼り過ぎは要注意!交通事故の被害を軽減する装置 緊急ブレーキシステムの認知度は?
JAF(日本自動車連盟)が3万5000人以上を対象にアンケート調査を行ったところ
97%の人が「知っている」と回答
そのうち
45%が「自動で勝手にブレーキをかってにかけてくれる装置」と誤解していることが判明。
基本性能は衝突被害の軽減が本当の所で、勝手にブレーキをかける装置ばかりではありません。
安全な運転を支援するシステムなので過信はアブナイ!
「今後新車を買うなら、緊急自動ブレーキの装備されたクルマを選びたい」と考える人は多いでしょう。
実際の所、販売ランキング上位に入る車種を見ると大半は緊急ブレーキが採用されていて、エコカー減税と併せて緊急自動ブレーキは“売れるクルマの条件”になっています。
緊急自動ブレーキは2010年頃から普及を普及を開始していて、このシステムを搭載したクルマを求める人が古いクルマから買い替えるメリットにもなっています。
ドライバーの高齢化もあいまって、年を追うごとに緊急ブレーキの必要性が高まっている。
ですが、緊急ブレーキにはそのメカニズムによって複数のタイプがあり、事故防止の効果などによって価格が異なります。
基本的に緊急ブレーキは前方の車両を検知しますが、歩行者や自転車になると対応が異なり、作動する速度の上限も変ります。
安全の事を考えると、より高度なシステムをを装備して事故防止の効果や性能が高いものを選びたい所。
ですが、イン急ブレーキシステムは衝突の回避や被害の軽減を支援する装置にすぎない一種の保険ですので、たとえ緊急ブレーキ搭載車に乗っていても注意深く運転することは当然のことです。
緊急ブレーキシステムは補助的な物だということを理解していただけたと思いますので、この先でどのようなシステムがあるか見ていきましょう。
緊急ブレーキシステムの安全効果
緊急ブレーキで分れる性能 歩行者や自転車の検知
歩行者や自転車を運転中の人が自動車との交通事故にあうことも多いもので、そういった歩行者や自転車を感知するにはカメラが必要になる。
緊急ブレーキで分れる性能 作動速度の制限
緊急ブレーキシステムはメカニズムによって作動する速度の上限に違いがあります。
時速80km、時速50km、時速30kmという制限がタイプよってありますので注意が必要です。
ここでのまとめ
どのタイプでも車両は検知しますが、歩行者や自転車はセンサーによって反応が違います。
緊急ブレーキは赤外線レーザー、ミリ波レーダー、カメラなどをセンサーに使って対象物を認識する。そして危険が生じる警報を発したり、ドライバーが回避行動をしない時は緊急自動ブレーキを作動させたりします。
どのセンサーも前方を走る車両は検知しますが、歩行者や自転車はカメラを使った映像検知処理でないと今の所処理できない。
こういった機能の違いを知っておきましょう。
緊急ブレーキの機能がもたらす主な効果とは
車線逸脱警報
カメラを装着すれば路面上の車線を検知できます。ハンドル操作を間違えて車線を逸脱しそうになった時、警報を鳴らしたり、タイプによっては電動パワーステアリングに修正操舵の力を加えます。また、カメラを使って歩行者を検知できるタイプもある。
後方車両の検知
前方のクルマを検知するミリ波レーダーと同様の機能をボディの後部に装着すると、ドライバーの死角に入る後方の並走車両も検知可能。高速道路などで車線変更する時の事故防止に役立つ。機能によっては車庫から後退しながらでる時の事故も防げます。
誤発進防止機能
対象物を検知するセンサーを利用すると、ペダルの誤動作に基づく急発進を防止する。壁などに向けてアクセルペダルを踏み込むと、誤操作と判断して駆動力を弱める。また、後方に向けた誤発信を防ぐ機能もあります。
クルーズコントロールで車間距離を制御する
緊急自動ブレーキのセンサーを使って、車間距離を自動調節できるクルーズコントロールを備えた車種も多い。センサーが先行車を検知してアクセルペダルとブレーキペダルを制御するため、運転手はペダル操作を軽減できる。
緊急自動ブレーキの種類と効果の違い
緊急自動ブレーキは「赤外線レーザー方式」「ミリ波レーダー方式」「カメラ方式」「複合方式」の4種類に大別されます。
ここではそれぞれの特徴を一つ一つ詳しく説明して行きます。
「赤外線レーザー方式」
反射を利用して対象物を検知するため、車両には反応しますが歩行者や自転車は対応できません。また、作動速度の上限も30kmを低く、渋滞時などの追突を防ぐことを主な目的としています。そういった機能を限定することで安価に抑えている。
メリット
価格が安く2~3万円で装着できる。システムもコンパクトで小さなクルマに適する
デメリット
赤外線レーダーだけでは歩行者や自転車は検知できない。また、作動速度の上限も30kmと低い。
センサーの位置
赤外線レーザーのセンサーはフロントガラスやグリル内部に装着される
取り付け主要車種
価格が安いため、ワゴンRなどの軽自動車やコンパクトカーの多くが採用しています。
赤外線レーザー方式の特徴
価格が安い軽自動車などの小型車に普及されています。
緊急自動ブレーキの中でも簡易型と呼べるのが赤外線レーザー方式です。検知できる範囲は8m~10m程度なので、各システムとも作動速度の上限が時速30km低い。歩行者は検知できず、機能の主とした所は市街地での追突防止です。そのかわりオプション価格は2~3万円と比較的に安価。
「ミリ波レーダー方式」
この方式も反射を利用するため車両のみ対応で歩行者を検知できない。ですが、照射距離が長いので作動速度の上限も高くなり高速道路でも作動します。赤外線レーザー方式の上版という所。
メリット
高速道路でも作動して安心感が高い。レーダークルーズコントロールも備える。
デメリット
設計の古いタイプも混在しることと、単体では歩行者を検知できないので対応するためには複合方式にする必要があります。
センサーの位置
ミリ波レーダーのセンサーはフロントグリル内に装着されることが多い
取り付け主要車種
アルファードなどのミドルサイズ以上の車種を中心に採用されています。
ミリ波レーダー方式の特徴
高速域まで作動するので安心感が高い。
ミリ波レーダーは遠方まで検知するので高速域でも作動します。車間距離を自動制御するクルーズコントロールの機能を備えることも可能。ですが、対象物の反射を利用するので歩行者は検知できません。安価なタイプであればオプション価格は6万円前後です。
「カメラ方式」
カメラ方式の仕組みはレーザー方式と全く異なり、対象物を映像として検知します。そのため歩行者にも対応しているのが最大の特徴。危険を感知したら警報を発したり緊急自動ブレーキを作動する事が可能です。
メリット
歩行者を検知できるので、市街地走行を含めて安全性能が幅広向上します。
デメリット
カメラセンサーが直射日光を浴びて逆光になったり、雨や霧の時には性能が低下したりします。
センサーの位置
スバルのアイサイトは2個のカメラを使って、歩行車や車両を高速域でも検知します。
取り付け主要車種
WRX S4などのスバル車はカメラ方式のアイサイトを搭載。
カメラ方式の特徴
対象物を映像として検知するので高性能
カメラ方式は対象物を画像として検知して、それを解析することで警報を発したり緊急自動ブレーキを作動させたりします。
車両が視覚を装備したような感覚です。そのため歩行者の検知も可能で、スバルアイサイトは自転車にも対応しています。価格は8~11万円ぐらいです。
「複合方式」
上記3方式タイプを組み合わせてコンセプトによって使い分けているのが複合方式です。それぞれのシステムには一長一短あるので最近では複合方式を採用する車両が増えていて、赤外線レーザーやミリ波レーザーにカメラを組み合わせたものが多い。
このように反射と映像を両方使うことで対象物の検知範囲が広がり、道路標識を認識して制限速度などをモニターに表示させるタイプもある。
一方でカメラを併用しながら、警報を発するのは主に車線逸脱というタイプもあり、カメラが装備されているからといっても必ずしも歩行者を検知できるタイプであるとは限りません。
メリット
対象物を幅広く検知するのでさまざまな事故を防ぐことが出来、気象状況にも影響されにくい。
デメリット
カメラが備わっていても歩行者を検知できないタイプもあり、車種によっては価格が割高。
センサーの位置
ミリ波レーダーやカメラを併用してフロントガラスやバンパーなど物により場所が変わります。
取り付け主要車種
最近ではCX-5といったマツダ車などに、複数のセンサーを使うタイプが増えました。
複合方式の特徴
複数のセンサーを使って安全性を向上させていいます。
複合方式では複数のセンサーを使っている事が特徴で、赤外線レーザーやミリ波レーダーに、単眼カメラを組み合わせたタイプが多い。
赤外線やミリ波単体では映像認識はできないが、カメラを併用することで路上の白線を検知して車線逸脱を警報したり、タイプによっては歩行者も認識可能になります。
緊急自動ブレーキから得られる付加価値
緊急自動ブレーキの基本機能は前方に生じた危険を検知して警報で運転手に知らせる。そのまま回避行動が取られなければ自動的にブレーキを作動させることです。
この装置を駆使すれば他にも有効的に使える機能に変ります。
カメラを使うと車線の認識が可能になり、車線逸脱の警報がおこなえます。システムによってはパワーステアリングにクルマの進路方向を元へと戻す力を加えることも可能。
各メーカーの主な緊急自動ブレーキ解説
トヨタ
機能の異なる2種類のトヨタセーフティセンスを設定しています。
トヨタセーフティセンスCは、衝突が迫った時の警報を高速域でも行いますが、緊急自動ブレーキは時速80km以下の作動で歩行者も見分け出来ない。また、トヨタセーフティセンスPは高速でも自動ブレーキが作動して歩行者も検知可能。
トヨタセーフティセンスC
低下価格で幅広い車種に搭載されています。
赤外線レーザーと単眼カメラを併用して、緊急自動ブレーキや車線逸脱警報を行う。低価格でアクアやヴォクシなどに搭載されています。
トヨタセーフティセンスP
歩行者も検知する上級性能。
ミリ波レーダーと単眼カメラを使用して、緊急自動ブレーキが高速域でも作動することと歩行者も判断可能です。国内ではプリウスなどがさいようしています。
プリクラッシュセーフティ
高速域でも作動するが設計が少し古い
ミリ波レーダーを使って高速域でも緊急自動ブレーキを作動できますが、歩行者を見分ける機能も無くで設計が古いもの多い。
日産
単眼カメラを中心に幅広い車種が装着しています。
日産は3種類を用意しており、主力はノートやセレナなどが採用する単眼カメラ方式です。車両に対しては時速80km、歩行者は60kmを上限に作動します。ミリ波レーダーは車両のみが対応ですが検知能力は高い性能。
赤外線レーザー
軽自動車には低速用を採用。デイズとデイズルークスは販売を停止していますが、時速30km以下で作動する赤外線レーザーを使用します。OEM車のNV100も同様の機能を用意。
単眼カメラ方式
80km以下で歩行者も検知します。日産車の主力はこの単眼方式でエクストレイルなどに採用されています。時速80kmを上限に緊急自動ブレーキが作動可能で歩行者も検知可能です。
ミリ波レーダー
2台先を走る車両も検知する。
スカイラインなどが採用しているミリ波レーダー方式は、2台先を走る車両も検知して緊急自動ブレーキを作動させますが、それ単体では歩行者までの検知はできません。
ホンダ
3種類の機能をクルマや正性格に応じで採用しています。
軽自動車やコンパクトカーには時速30km以下で緊急自動ブレーキが作動する赤外線レーザーを採用して、中級以上の車種はミリ波レーダーと単眼カメラの併用で作動速度が高く、歩行者も検知します。
シティブレーキアクティブシステム
安心パッケージに採用。
軽自動車やフィットなどのコンパクトカーには低速用の赤外線レーザー方式がサイド&カーテンエアバックとセットで用意されています。
ホンダセンシング (ステップワゴンなど)
ミリ波レーダーとカメラを組み合わせた高効率。
ステップワゴンなどは、ミリ波レーダーと単眼カメラを併用しています。高速域でも緊急自動ブレーキが作動して歩行者も検知します。
ホンダセンシング (レジェンド、アコード、オデッセイなど)
車線逸脱時の修正操舵も可能。
上級車種では、車線を逸脱しそうになると、パワーステアリングにもとに戻るような操舵支援を行う機能も備わります。
マツダ
前後に左右にセンサーを配置して安全性を向上
マツダの小型や普通車はデミオとロードスターを除くと安全装備が充実しています。赤外線レーザー、ミリ波レーダー、カメラを併用して後方の車両も検知します。歩行者の対応を除けば先進的です。
スマートシティブレーキサポート
デミオは低速用を採用。
コンパクトカーのデミオは時速30km以下で緊急自動ブレーキが作動する赤外線レーザー方式を採用し、価格を低く抑えています。
スマートブレーキサポート
ミリ波レーダーの併用で高性能。
CX-5やアテンザは赤外線レーザーに加えてミリ波レーダーとカメラを採用しています。緊急自動ブレーキも作動対応速度が高速域まで対応し、車線逸脱も警報で知らせます。
ブラインドスポットモニタリング(追加機能)
後方の並走車両も検知する。
デミオからアテンザまで、ドライバーの死角に入る斜め後方の並走車両知らせる機能が追加可能で、より安全性を高めることが可能です。
スバル
アイサイトをより進化させて安全性能を向上させる。
スバルはレーダーなどを使わずに2個のカメラで危険を認識するアイサイトを進化させています。歩行者や自転車の検知可能で、全車速追従型のクルーズコントロールも含めて、機能が全体的に高い。
アイサイトバージョン2/3
2個のカメラを有効活用。
2個のカメラを使い歩行者や自転車も検知します。高速域でも緊急自動ブレーキを作動させ、車線逸脱時の警告も行う。
リヤビークルディテクション(追加機能)
後方の車両を検知する。
レヴォーグやフォレスターにはドライバーから見えない後方の並走車両を知らせる機能が備わり、車線変更時の事故を防いでくれます。
アダプティブドライビングビーム(追加機能)
フォレスターが備える装備。
カメラが対向車や先行車を検知するとLEDヘッドランプシェードを作動させてハイビーム状態を保ちながら眩しさを抑える。
スズキ
車種に応じて3種類のセンサーを活用。
軽自動車には低価格の赤外線レーザー、高速移動を重視車種には車間距離をコントロールできるクルーズコントロール付きミリ波レーダー、市街地向けの小型車にはカメラ方式を使用。
レーダーブレーキサポート
低速用ですが低価格で装着可能。
軽自動車には赤外線レーダー方式を採用。作動速度は時速30km以下で歩行者も検知しませんが、アルトには2万1600円で装着可能です。
レーダーブレーキサポートⅡ
クルーズコントロールも採用。
エスクードとバレーノはミリ波レーダー方式です。歩行者は検知しませんが高速でも作動するレーダークルーズコントロールも備わる。
デュアルカメラブレーキサポート
車両だけでなく歩行者も検知可能。
イグニス、スペーシア、ハスラーのXなどはセンサーに2個のカメラを使用。歩行者の検知と車線逸脱の警報も行える。
ダイハツ
新設計の車種はスマートアシストⅡを採用
一部の設計の古い車種を除くと緊急自動ブレーキがずいぶん普及されています。ミライース赤外線レーザーのみですが、ほかの車種は単眼カメラを併用。緊急自動ブレーキは時速50km以下で作動して歩行者も検知します。
軽自動車やコンパクトカーは赤外線レーザーとカメラ方式
ブーンのスマートアシストⅡは、赤外線カメラと単眼カメラを併用しています。歩行者も検知して車線逸脱の警報機能も備わります。
三菱
OEM車を除くと緊急自動ブレーキは2車種が採用。
アウトランダーがミリ波レーダーと単眼カメラの複合型で、ミラージュは時速30km以下で作動する赤外線レーザー方式を採用しています。デリカD:5はどには設定がありません。
アウトランダーはカメラとミリ波レーダーを併用していますが、カメラは車線逸脱の警報は行いますが、歩行までは検知できません。
安全装備に関する各メーカーの取り組みと今後の方向性
各メーカの緊急自動ブレーキについて紹介してきましたが、複数の種類がラインナップされています。傾向としては軽自動車やコンパクトカーなどの低価格車には赤外線レーザー方式で、中級クラス以上にミリ波レーダー方式というような採用が見てとれます。中には単眼カメラを併用してより高機能にしている。
ですが、厳密な区別はなく、トヨタセーフティセンスCは赤外線レーザーを使いますが、ヴォクシーやエスティマ、オーリスにも採用されています。
トヨタセーフティセンスCのオプション価格は5万4000円の車種が多く、プリウスが使う上級のトヨタセーフティセンスPでも8万6400円です。3万2400円の上乗せで緊急自動ブレーキが歩行者を検知して、作動上限が80kmから100kmにアップします。
さらに車間距離を自動制御するクルーズコントロールまで加わるので、トヨタセーフティセンスPに統一してもいのではないかという意見もあります。
同様なことは他のメーカーでもおこっており、快適装備では「この程度でも十分」判断もありえますが、命を左右する安全装備はそうともいきません。
考え方次第では、全車の取り付け義務化を検討してもいいと思う人も今後多くなっていく考えもあります。そうなれば、量産効果で価格もどんどん下がって行くでしょう。価格を抑えるために低速限定で歩行者を検知できないという緊急自動ブレーキは効果が限定的なのでもっと高性能なシステムがひろく普及されていくべきではないでしょうか。